JUWB

軽く読めるエッセイを書いてみたいと思って開設しました。 甲南大学理工学部教授・渡邉順司です。 専門は生体材料創成学。 疾風知勁草。 https://lit.link/juwb

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最近の記事

推敲

ずいぶん昔のことになるが、ある授業を担当していた先生から、文書は体裁を整えるのはもとより、誤字脱字がなく、かつ簡潔に表現できるように推敲しなければならないと教わった。 その先生曰く、体裁が整っておらず誤字脱字が散見される文書は、その中身自体の信憑性が疑わしく感じるとのことだ。私自身も確かにそのような気がする。仕事柄、学生のレポートや資料を添削する機会が多いが、体裁が整っていて誤字脱字が少ない場合は記述内容が充実している傾向が高いと感じる。 スマホネイティブの世代であり、会

    • 会釈のタイミング

      大学に勤めているので、キャンパス内の廊下や校舎間の移動の折、学生をはじめ、教職員の方々とすれ違うことがよくある。挨拶や会釈をするのだが、この会釈のタイミングを考えすぎるとうまくいかない。 お互いの距離があまりにも遠い段階で会釈しても、相手は気づいていないことが多く、そもそも遠すぎて不自然である。かといって、かなり近くになると会釈ではなく挨拶やちょっとした立ち話を始める距離であり、会釈だけだと不自然である。 お互いが認識できる適度な距離の時に会釈するのが最適であるが、一瞬た

      • 毎日出会う人々

        このnoteで「ルーティーン」なる題目で触れたことがあるのだが、ほぼ毎日同じ電車で通勤している。従って、家から乗車駅までと下車駅から職場までの経路ですれ違う人々もおよそ同じ顔ぶれとなる。もちろん車内の顔ぶれもいつものメンバーだ。 すれ違った人々や乗車していた人の方からも何となくいつも見かけるやつだな、とこちらに気づいていると思われるが、そんなことを意識している人は、ほぼいないだろう。そんなマニアックなことに興味を持っているのは、これを執筆している私くらいだろう。 まれに日

        • 忘れ去られる記憶

          昭和の世代から見ると、平成、令和の時代は、日常生活において記憶しておくことが極端に少なくなった。最近では、郵便番号や住所がわからない(覚えていない)学生も少なくない。郵便を出す機会がないため無理もなく、昨今のアドレス交換は通信で済む時代だ。 鉄道やバスの運賃の記憶も怪しい。IC乗車券での利用が一般化したので、○○駅まで片道○○円、といった切符を購入していた時代には自然に記憶していたことが不要となっている。切符売り場に掲示されている運賃表を見ることもなくなった。電車の選択や乗

          続 対になる視点

          2024年2月15日に「対になる視点」を掲載した。当時は紙と電子媒体における情報伝達の利便性とセキュリティに関して対になる視点で検討した話題提供であった。今回はスポーツにおける勝敗と試合の内容に関して、対になる視点で検討したものである。スポーツの競技の世界では、基本的に勝敗が対になっている。選手や観客、プロチームの場合では特に勝敗にこだわり、勝敗が重要視される。 大学教員の立場では、体育会のクラブ活動での戦績がスポーツ競技の勝敗と密接に関わりがある。所属リーグで1部に所属す

          続 対になる視点

          メールの文章量

          ビジネスチャットも豊富な時代になったが、私の中ではメールの一択。一覧性が良く、検索機能が充実していることが主な理由だ。別のアドレスへ転送する機能もありがたい。 受け取るメールの数も年々増加しているため、さっと処理していかないとあっという間にオーバーフローしてしまう。メールを開封した時に短文のメールはとてもありがたい。 メールの文章には個性が出るようで、バリエーションが大変豊富である。短文の方、箇条書きの方、長文の方などさまざまである。公的機関からの案内や通知に多く見られる

          メールの文章量

          紙の資料から得ているもの

          ペーパーレス化が飛躍的に進み、ほとんどの会議資料は電子ファイルになった。かさばらず、書類の廃棄も簡便であり、保存にも場所をとらない。でも、やっぱり紙資料の方が安心できるんだよなぁ。 資料をパラパラッとめくっていき、探している書類にたどり着く一覧性が紙媒体の資料の方が優れているように思う。膨大な電子ファイルの中から、検索によって瞬時にヒットさせることが電子ファイルのメリットなのだが、候補となるファイル数が案外多い場合は、個々のファイルを開く操作が結構手間であり、全ページをパラ

          紙の資料から得ているもの

          丸投げから見える職場

          あらゆる職場に上司と部下の関係がある。基本的に上司の指示に従い部下が業務をこなす。日常の定型的な業務の場合、部下は自律的に業務をこなし、上司はそれを管理・監督する。この状況は定常状態であるため、いわゆる「丸投げ」は起こらないし、起こりようがない。 丸投げが起こりやすいのは、毎年の予算や業務計画を策定するような未来を考える作業である。部署で担当している業務の大部分は定型的なものが多いが、会社の方針に基づき、新たな業務への展開や従来業務の改善のため、計画策定には工夫が求められる

          丸投げから見える職場

          対になる視点

          世の中の様々なことは、基本的に対になっていると感じることが多い。例えば外食では、好ましい順に「安いのに美味しい」→「高いけど美味しい」→「安いけど美味しくない」→「高いのに美味しくない」になると思われる。ここでは、価格の「安い」と「高い」、味の「美味しい」と「美味しくない」が対になり、合計4パターンが存在する。 次に、情報伝達の手段は、インターネットなどでのやりとりが一般的になった。昔は紙媒体が主であり、やりとりに郵送などの時間がかかるし、同時送付も「煩雑」である。もちろん

          対になる視点

          送迎

          最寄り駅まで徒歩10分程度の自宅だと良いのだが、バス利用が不可欠だったり、坂道の連続だったりすると駅まで自家用車での送迎が必須となる。原付もしくは自転車利用でも良いのだが、駐輪場が必要になり、荒天時には使いづらい。車で送迎してもらうのがとても便利だ。 送迎してもらう側は便利なのだが、送迎する側は結構つらい。自宅を出て車に乗り込み、駅まで往復してから車を駐車して家に戻る。この一連の行動に要する時間は、自宅から駐車場までの所要時間と駅までの距離によって大きく変わってくるが、20

          ルーティーン

          日々の自分の行動を司って定常状態をキープするのに役立っているルーティーン(Routine)、この英単語は日本語ではルーチンともよんでいる。しかしながらルーチンワークというふうに用いると「いつもの作業」というニュアンスになり、自分オリジナルな行動様式を示すニュアンスから遠ざかってしまう。 何かに集中したり、緊張感漂う場面でルーティーンが活躍する。歌のイントロのような位置づけであり、自分の気持ちをうまく整える効果がある。うまく言い表せないが、「落ちつく」のだと思われる。 勤務

          ルーティーン

          時間の感覚

          年末年始や盆休みなどの長期休暇明けは、二日間ほどの勤務であっても一週間働いたように感じる。毎回このように感じるので、時間の感覚はとても不思議だ。いったい何がこの違いを生み出しているのだろう? 普段の勤務は始業・終業時刻を含め、一週間の予定もある程度決まっている。イレギュラーな緊急対応が生じる時もあるが、概ね想定の範囲内だ。一方、休暇中は旅行や趣味などを計画して過ごす時もあれば、家でゴロゴロしたり近所で済ませる時もある。いずれも休暇前に想定していたものではあるが、普段とは異な

          時間の感覚

          暦の重量感

          年末の12月から新年の1月になり、2024年が始まった。毎年のことだが、1月の暦は何となく軽い(軽量)気がする。普段、ファイルネームの始めに年月日をつけることにしており、240101や240103、240108など、数字の1のフォルムが細いことからくる感覚かも知れない。 これが2月以降になると徐々にどっしりとした感覚に変わる。数字に横幅が生じ、重くなっていく気がする。確かに2以降の数字はいずれも横幅がある。10月以降は数字の1があるものの、2桁なので重量感はMaxになってい

          暦の重量感

          式典の挨拶

          式典や結婚式をはじめ、さまざまなイベントには開会の挨拶や来賓の挨拶、閉会の挨拶などが式次第の中に含まれている。しかしながら、記憶には残らず、ものの数分もすれば挨拶の内容を忘れてしまっている。とても不思議だ。 忘れてしまう理由として、形式的な内容が大部分を占めていることが考えられる。会の開催趣旨や出席者、受賞者へのお祝いの言葉、来賓への御礼など、その場に参集している人にとって既知の内容であり、ことさら意識して聞いているわけではないのだろう。挨拶がたいへんもったいない時間になっ

          式典の挨拶

          不思議なこだわり

          普段の通勤電車、乗る時間帯を調整すればとても空いている。ロングシートに空席が結構ある状態だ。乗車区間が短い場合は、敢えて座らずに立つことにしている。まぁ座っても良いのだが、降車駅まで混雑することもないので、何となく習慣としてそうなっている。 割に混雑している電車でつり革につかまって立っていると、目の前の座席が空くことがある。座られていた方が下車するからなのだが、そのまま座ることに何となく躊躇する。座席がホカホカしているのが苦手なのだ。 そばの人がたいてい座ってしまうので、

          不思議なこだわり

          出張先での店探し

          出張で地方都市に出かけた時の楽しみの一つが夕食の店探しだ。ネットで検索して探すのも便利だが、店構えの雰囲気で直感を頼りに選んでみるのも楽しい。特に自分好みの店であった場合は、次回以降も立ち寄ることにしている。1年に1回くらいしか訪ねない店になるのだが、次回の出張時のお決まりコースとなって、まるで地元にいるような快適さになる。 最近は地方都市でも駅前や少し離れた場所にショッピングモールが立地しており、そこに行けば定番のチェーン店からフードコートまで備わっているので、食べること

          出張先での店探し