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マーケターに必要なスキルリストを作ってみた【7つの専門スキルと3つの一般スキル】
このnoteは、外資系マーケティング企業で確立されている、マーケターに必要なスキルリストを、自分なりに定義し直してまとめたものです。
僕は昨年、念願だったマーケターへの転職に成功したのですが、何社も面接を受けては、「実務経験が不足している」「経験のある領域が限定的」という理由で不合格になる日々が続いていました。
その度に「足りてないスキルはなんだろう」「今の会社でどんな経験を積めばいいんだろう」と思い悩み、自信を無くしていました。
このnoteは、マーケターへの転職面接に落ちまくって、「マーケターに必要なスキルリストがあれば、効率的に知識や経験を身につけられるのになぁ…」と悩み苦しんでいた頃の自分をイメージしながら書きました。
マーケティングに興味があるという方はもちろん、既にマーケティングに携わっていて、マーケターとしてのキャリアを広げたい方や、今の業務に飽きてきて、新しい領域にチャレンジしてみたいと思っている方にも、次に目指すべき姿の参考に読んでいただきたいと思っています。
これを読めば、グローバル規模のマーケティング会社で確立されているマーケターのスキルリストを体系的に理解することが出来ます。
外資メーカーではブランドマネジメント制という制度が多く採用されており、1つのチームが商品開発から販促、損益管理など全ての責任を負います。会社運営に関わるほぼ全ての領域をカバーする必要があるので、このスキルリストは自ずと経営やマネジメントに必要なスキルにも直結します。
これを読んで、マーケティングに興味を持っていただいたり、キャリアを広げるきっかけのひとつになってくれたりしたらとても嬉しいです。
早速ですが、マーケターに必要なスキルは以下の10個に定義されています。
細かく分けると、7つの専門スキルと3つの一般スキルに分かれています。
7つの専門スキル(Professional Skills)
① データ収集/分析
② 市場トレンド把握
③ 消費者理解
④ ブランディング
⑤ 商品企画
⑥ メディアプランニング
⑦ ファイナンス
3つの一般スキル(General Skills)
⑧ 戦略立案
⑨ プロジェクトマネジメント
⑩ ブリーフィング
それでは、一つずつ具体的に解説していきます。
①データ収集/分析 … データを適切に収集し、分析・可視化して意思決定に活用できる
このスキルは非常に専門的なので、マーケティングが得意な会社はこのための専門部署があるほどです。既にあるデータを集めてくるだけでなく、不足した情報を集めるための消費者調査の設計・実行のスキルも求められます。
ただ、ここで最も大事なのは、「意思決定に活用できる」という部分です。単なるデータの集計・グラフ作成ならダッシュボードで出来てしまいます。課題は何で、どんな仮説があって、データからどんな発見があって、どんなアクションを取るべきなのかというレベルまで求められるため、このスキルにはビジネス自体への深い理解も求められます。
②市場トレンド把握 … 世の中の流行・トレンドを抑え、新たな市場機会を発見する
世の中で流行っている事、主流になっている価値観を常にキャッチアップして、その時代・ターゲットに受け入れてもらえる商品や広告を考えなければいけません。
広告なら半年~1年、商品を発売するには2~3年企画から時間がかかるため、少し先の未来を予測するスキルも求められます。
ちなみに僕は、意識して女性向けの雑誌や普段行かないスポットに足を運んでみたり、電車で近くに座った人の服装や持ち物、会話などを意識したりして(キモがられない程度に)、トレンド理解に努めています。
③消費者理解 … 消費者の価値観や行動を理解し、消費者インサイトを導き出す
こちらはB to Cならではのスキルですが、無形商材やB to Bの業界にいらっしゃる方にとっても、エンドユーザーの理解という意味でとても重要です。
消費者インタビューなどを繰り返し、潜在意識に眠っている困りごとや欲求を理解し、商品やサービス開発に反映させていきます。
また、消費者が商品を手に取るまでに触れる情報や取る行動を理解し、その行動に沿ったコミュニケーションをすることで消費者に自社の商品を知ってもらい、手に取ってもらうことを目指します。
④ブランディング … 価値や独自性のあるブランド資産を構築・育成する
技術的な差別化が難しいなかで安売り競争に巻き込まれないためには、消費者に選んでもらう理由をつくる必要があり、それがブランディングの力です。
例えば、下図の2つのペットボトル、同じ値段で売っていたらどちらを買うでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1704797752117-T0TRsJjJds.png)
僕は迷わず右を買います。左は誰がどこで取ってきたものか分からないですし、心配性な僕はそもそも本当に水が入っているのかも疑ってしまいます。
これがブランディングの力で、消費者に「このブランドなら安心だ」「このブランドなら価値がある」と思ってもらう事で、価格以外で選んでもらう理由を作ることが出来ます。
ブランド資産には、ロゴ・パッケージ・色・音・イメージキャラクターなど様々なものがあります。自社の商品にとって独自性がある要素何かを判断して、根気強く育てていくスキルが求められます。
⑤商品企画/開発 … 世の中に価値を与える商品を考案し、具現化して市場に提供する
新商品の企画/開発は、マーケターの花形の仕事といえるかもしれません。
商品コンセプトを作り、開発部やデザイン会社と協働しながらアイデアを形にしていきます。
自分が担当する商品を深く理解し、実現できそうなアイデアや改良ポイントを見極めて、アイデアだけで終わらせず具現化させていく能力が求められます。
⑥メディアプランニング … 広告の最適なメディア・タイミング・投下量を配分し、効果検証する
広告を制作することはもちろん、限られた予算の中でテレビ・デジタル・新聞雑誌・屋外広告などどんな媒体にどう予算を配分するべきかを判断する必要があります。
テレビCMは一度放送が決まったらあとは流すだけですが、デジタル広告では日ごと、週ごとに視聴数やクリック率をトラッキングし、リアルタイムで改善していくことも必要です。
また、どんな配分が最適化かは、様々なシミュレーションツールがありますが、視聴者の反応を事前に予測することは難しいので、ある程度経験がモノをいう要素が強いスキルかなと思います。
⑦ファイナンス … P&Lを理解し、ブランドの利益を増やす
企業の目的はどこまでいっても利益を得る事なので、このスキルは避けては通れません。
予算が限られている中で闇雲に色んな施策を打ちまくる事は非効率ですし、利益に見合わないレベルの値下げやキャンペーンなどで売上を増やしても、利益が減ってしまえば元も子もありません。
特に、外資系では前年の利益に応じて翌年のマーケティング予算の配分が決まる事も多いため、利益が減ってしまうとブランドの活動が弱体化し、また利益が減るという負のスパイラルに陥る危険性があります。
ブランドのP&Lをトラッキングしながら利益率が落ちないよう管理することや、施策別に細かくROIを算出し、効率よい施策を選択する能力が求められます。
ここまでが7つの専門スキルでした。もしこの記事が好評だったら、それぞれのスキルについてのおすすめ書籍や僕が行っているスキルアップの手法も今後記事にしていきたいと思います。
残りの3つはマーケティングに関わらず、全ての仕事に関わる3つのスキルです。
⑧戦略立案 … ブランドの成長ドライバーを正しく把握し、選択と集中を行う
戦略立案は、当たり前のようでとても奥が深く、僕自身もまだまだ理解が不足している分野です。人によって戦略の定義が異なり、個人的に議論が嚙み合わなくなるトピックNo.1です。
僕は今のところ、戦略の定義として音部大輔さんの「なぜ戦略で差がつくのか」にある定義を採用させていただいてます。
戦略 = 目的を達成するために、資源をどう配分するかの指針
つまり、①優れた目的を明らかにする能力と、②自社の資源(人材やノウハウなどの強み)を正しく把握し、選択と集中を行い投下する能力が必要です。
詳しく知りたい方は、こちらの書籍を是非読んでみてください。
⑨プロジェクトマネジメント … 様々なステークホルダーと協働し、プロジェクトを期限内に完了させる
アイデアを思いつく事より、実現することの方が100倍難しいと僕の上司は言っています。
よく新しい商品やサービスのニュースに対して「あのくらいのアイデアは俺でも思いついた」「こういうのが来ると俺も思ってた」というコメントをよく目にします。
外から見えない部分なので目立たないですが、優れたマーケターはこの実現する力がとても強いと感じます。
プロジェクトを進めていると、最初は輝いていたアイデアも、「製造の問題でこれは出来ません」「コストの都合でこれは使えません」と、次から次へとあれもダメこれもダメと制約が出てきます。
途中でモチベーションを失い、心が折れて最終的には平凡な製品が出来てしまったというのはよく聞く話です。
また、全ての分野で自分より詳しい専門家の協力を得て、動いてもらうスキルも必要です。それぞれの専門分野を理解してリスペクトを払いながら、時には叱咤して難しいことにもチャレンジしてもらうようモチベートする必要があります。
マーケターにとって、泥臭くタフだけど、非常に重要なスキルです。
⑩ ブリーフィング … 社内の他部門・協力業者に、目的・戦略を正しく伝え、施策の精度を高める
ブリーフィングとは、自分以外の人に業務を依頼する際に、企画の目的、条件や制約などをすり合わせる事前打ち合わせの事をいいます。
全てのマーケティング施策を戦略通りに、一貫性を持たせる必要がありつつも、全てを自分1人で行うのは非現実的なので、様々な業務を外部にお願いする必要があります。
その際にきちんと戦略や目的を共有できないと、施策がチグハグになり、それぞれの効果が弱まってしまいます。
こちらも目立たない地味なスキルですが、戦略を他者に正しく共有し、一貫性を失わないよう軌道修正することは、戦略を立てる事と同じくらい重要なスキルです。
まとめ
マーケターはよくオーケストラの指揮者にたとえられます。それぞれの楽器を完璧に弾けなくても、どんな音が出るのか、どんなメロディが合ってるのかを理解し、各パートのプロの個性を尊重しながら調和を図り、1つの作品を作り上げるという点で共通するものがあります。
このスキルリストを見てマーケターのハードルが上がってしまった方もいるかもしれませんが、僕もまだ全てのスキルにおいて能力も経験も不足しています。指を見ながらドレミファソラシドだけ何とか音が出せるレベルです。
このスキルリストは僕個人の解釈が大いに含まれていますので、皆さんからも、アレが抜けてるんじゃないか?このスキルもあるんじゃないか?など議論させていただきながら、ブラッシュアップしていければと思っています。
先ほども述べましたが、今後もご要望があれば各スキルを詳しく学べるおすすめの書籍や実際に僕が行っている事をまとめたいと思いますので、是非スキ&フォローお願いします!
Xではマーケティングやキャリア形成に関するポストをしてるので、是非フォローお願いいたします🙇♂️
毎年恒例!2023年に読んだベスト本を紹介します📚
— Justin | マーケター (@jstn00400) January 5, 2024
①新マーケティング原論(津田久資著)
②SHIBUYA109式Z世代マーケティング(長田麻衣著)
③商品はつくるな市場をつくれ(和田徹著)
④ THE POP-UP PITCH(D・ローム著)
⑤戦略ごっこ(芹澤連著)
⑥三体(劉慈欣著) pic.twitter.com/QoTJ6xO42b