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僕は音楽の、君は文学の光りを浴びて、腐ろう。


真夜中4時、
お腹は空いたが、
実に満たされた気持ちだ。


実は先ほどまで、
僕が最大限に推している文学少女と、
Xのスペースで話していたのだが、
彼女の、
素晴らしく儚くも美しく、
そして何よりも真っ直ぐな心に、
僕は久しぶりに
「生きてて良かった!」
とさえ思ったのだ。

ことの発端は、
スペースで話し始めてから40分程経過した23時40分頃、
彼女ののひと言から。

「え、え、え…今?」

ふとDMを開いた彼女に、
とある出版社から彼女がネット上にて発表している小説の書籍化のオファーか届いていたのだ。

顔なじみのスピーカー4人で話していたので、彼女はその内容を共有してスペースを続けた。

ちゃんとした出版社からのちゃんとした依頼だった。
詐欺とか冷やかしではない。

そもそも彼女は才能の塊なので、
書籍化なんて当然あり得る作品を書いていることをリスナーも含め、彼女の作品を読んだ人ならそのことを誰もが疑わないだろう。

情報の共有と詳細の確認、
書籍化のメリットとリスクなどを軽く話している僅か30分の間に、
既に彼女は応えを出していた。


「断る」



ちょっと待て、
もう少し考えよう、
チャンスってのはそうあるもんじゃない。
ひとまず明日ゆっくり考えてからでも遅くないじゃないか。

スピーカーもリスナーのコメントもざわつき始めた。
が、
僕は解っていた。
これはもう既に彼女の最終決断だ。
揺るがない。




「わたしはライトノベル作家じゃないし、
名刺代わりになる作品はこれじゃない。
やる価値がない。
考えれば考えるほど、
断わる理由しか浮かばない。」




しかし、
軽く受け流すような話しでは無かったし、
親しい方々や彼女の作品を評価してるリスナーも多数居る最中だ。
僕は敢えて深掘りを始めた。

彼女は本当に才能の塊だし、
頭の回転もそうは居ない程に早い。

だからこそ30分の間に結論に辿り着いて居たのは解っていたが、
そのディテール、メカニズム、
彼女の頭の中を覗き込む為の会話を始めた。

そこから更にあれやこれや30分くらい話した頃だろうか。

一応ロックバンドでメジャーデビューを果たしている(バンドは既に解散しているが…)プロのシンガーソングライターである僕に彼女はこう例えて言った。


「あなたがデビュー前に、ほんの遊びのつもりで書いた売れ線のポップスを評価されて、
ロックやめてポップシンガーとしてデビューしてみないか?
って言われたらどうする?」




即答である。



「絶対に断わる!」


「でしょ?」




そう、
彼女はチャンスがどうこう、
きっかけがどうこう、
お金や名前、地位や名誉など尚更、
そんなことは最初から測りの上に乗せてすら居ない。



自分が何の為に小説を書いているのか?
何処へ向かっているのか?



その理由が明確であり、
揺るがない信念や誇りを持っているのだ。






会話の途中で僕はそれに気付いていたし、
応えが変わらないことも承知の上で話していたのだが、
彼女から放たれる真っ直ぐな言葉に、
ずっと心が震え、
嬉しくて口元はニヤついて居た。
そして上記した質問に僕が即答で断言する回答を放った時、
親しいスピーカーもリスナーも彼女の真意を理解した。



居る?
今時こんな娘、居る?





もう…
僕はずっとこのコの心の美しさや強さ、
勿論才能や頭の回転も含めて、
彼女の全てが大好きで、
ずっと見守り応援して居たいと願っているが、
それにしても、
こいつは…

たまらんな!!!




本当に嬉しい。
いやー…
人間まだまだ捨てられないよな。






その後、
いつものよう笑い声の絶えない雑談が3時過ぎまで続いたが、
誰も何もその話題には触れず、
最後は僕と彼女だけで話して居たが、
ひたすらずっと楽しかった!


彼女は明日、
正式に書籍化を断わるのだろう。


何が良かったのか?
それで良かったのか?
後悔はしないのか?


いろいろあるでしょうね。

でも、
彼女も僕もこう言います。


「迷う必要が無い」




ただそれだけ。






信念とはそういうもの。 

安売りしたら終わりだよ。
その時に失った最も大切な想いはもう2度と取り戻せないよ。


「安売りしたら終わりだよ。
その時に失った最も大切な想いはもう2度と取り戻せないよ。」



大切なことなので2度書きました。













 









やはり、
彼女は本当に美しい。
世界が輝いている。
素晴らしい!






















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