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映画館が舞台な最近の良作、3選!
2023年も前半から良作多いです。
観るのに忙しくてなかなかnote書けてないのですが、映画館を舞台にした良作を鑑賞できたので、今回まとめて紹介できればと思います!
『エンパイア・オブ・ライト』(2/23公開)
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2022年 アメリカ、イギリス 119分
監督:サム・メンデス
出演:オリヴィア・コールマン、マイケル・ワード、コリン・ファース、他
これはしみじみ良かったです。
映画館が舞台になっているだけでもう贔屓目で見ちゃうんですが、そんな映画館ファンには染み入る作品となってます。
オープン前の映画館に入って一つひとつライトをつけていく、映画館の徐々に火が灯されていくオープニングがもう秀逸!
それだけで大満足で、もうこの後とってもつまらなかったとしてもOK!と思えるほどでした笑
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このクラシックな佇まいがまたいいんです。
ポップコーン売り場がフロントにあって、劇場に向かう大階段が二方向に並んで、そこにそれぞれチケットもぎりのスタッフが立ちます。
劇場の中も広々としていてステージもあり、高級感があって凛としていてとても美しいです。
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オリヴィア・コールマン演じる主人公は映画館で働くマネージャーなのですが、そこに黒人青年が新人スタッフとして入社してくることから彼女に新しい風が吹き仕事や私生活で変化が起きていきます。
そのちょっとした仕草や表情で彼女の心境の変化を演じられるオリヴィア・コールマンの演技力はもうさすがです。その辺りも見どころ。
それにとにかく映像が美しい! ロケーションもとても良くて海辺の映画館っていういい感じの映画館をとても魅力的に映してくれています。
この映画館には今は使っていないフロアがあったり、それが秘密の部屋を見るようなドキドキ感があっていいんです。ここが使えるんだったら自分だったらこうしようみたいなこと考えながら見てるのも楽しい。
屋上から花火を見上げるシーンも良かった。
物語もオリヴィア・コールマン演じる主人公の過去も明らかになってゆくというサスペンス的な要素もあって飽きさせないです。
時代は1980年代、不況にあえぐイギリス、ロンドンの郊外にある海辺のこの映画館にもその時代の変化の波が押し寄せてきます。
そういう時代の転換期を背景に主人公の心の心情の変化を描いていくというとっても心に沁みる作品となってます。
サム・メンデス、最近はアクションものが多かったけど、こういうドラマもやっぱりいいですね。
『銀平町シネマブルース』(2/10公開)
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2022年 日本 99分
監督:城定秀夫 脚本:いまおかしんじ
出演:小出恵介、吹越満、宇野祥平、藤原さくら、日高ななみ、中島歩、他
こちらは、日本のミニシアターを舞台としたドラマ作品です。
館長の独自のセレクトによって個性を出す地方都市のミニシアターってありますが、そういうギリギリの経営をしてそうな(失礼かもですが笑)映画館で常連客とスタッフの距離感も近い感じの舞台だからこそ、そこに集う人たちの人情噺が合うっていうのがこの作品の持ち味かなと思います。
やっぱり映画ファンとしてはこういう映画館が舞台で、映画愛に溢れた作品は無条件で応援したくなってしまいます。(甘すぎる…笑)
最初はこの手書きイラスト風のポスターに全然惹かれなくて(失礼)、観ようとも思ってなかったのですが、映画館が舞台の話だというしキャストも気になるし城定監督だし、そこはやっぱり観ておくかと思って観たらやっぱり良かったです。
小出恵介演じる主人公は一文無しのところをミニシアター「スカラ座」の館長に拾われて住み込みでアルバイトをし始めます。そこで出会った個性的なスタッフや常連客と過ごしながら館長の勘違いもあって、スカラ座の周年記念イベントに自身の未完の作品を完成させて上映することになります。
そうなんです、小出恵介は実は映画監督で色々あって一文無しになって放浪していたんですが、そんな彼の過去も明らかになっていきます。
最後の上映イベントをクライマックスに盛り上がっていきます。
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小出恵介は久しぶりの主演作じゃないでしょうか。
脇を固めるのが館長の吹越満や映画好きなホームレスの宇野祥平、売れない役者の中島歩などがいい味出してます。
あと劇場スタッフの藤原さくらと日高ななみのコンビが良くって、彼女たちはこの撮影で意気投合してポッドキャスト番組を一緒にやり始め、それも人気が出ています。あのノリの感じなので映画が気に入った方はこの番組もぜひ。
「今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?」 (略して"ファミジワ”)
舞台となった映画館は実在する「川越スカラ座」。
川越は観光スポットとしても有名なので観光がてらにこの映画館に聖地巡礼してもいいかもなーと思いました。
実際にこんな館長がいるわけではないと思いますが、そういうのも思い出しながら楽しめそうです。
どうせならこの作品も川越スカラ座で観たいと思っていたのですが、なんとまさかの上映していない! やっとらんのかいって思ったら少し遅れて上映するようです。4月15日より上映とのことなので、せっかくなら川越スカラ座で観たいという方は少し待った方がいいかもです。
『浜の朝日の嘘つきどもと』(レンタル中)
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2021年 日本 114分
監督・脚本:タナダユキ
出演:高畑充希、大久保佳代子、柳家喬太郎、他
この作品は少し前に公開されたので既にレンタルも出ています。(見放題にはまだなってない)
タナダユキ監督による映画館再生物語!
これも映画愛に溢れていてこういうのは無条件に観ちゃいます。
地元で100年続く老舗の映画館「朝日座」もシネコンの波に押され、その上でコロナ禍になり、館長も遂に閉館を決める。
そんな時に東京から来た女の子が、私がこの映画館を再生させる!と乗り込んできて…
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高畑充希が主人公の女の子なんですが、突拍子もない感じとかもかなりコミカル。
それを受ける館長も噺家の柳家喬太郎だけあって、その丁々発止がテンポがよくって落語の世界みたいで楽しい。
彼女がなぜここに来たのか、過去パートも同時に振り返りながら徐々にその理由も明かされていきます。
そしてこの二人に加えて主人公の学生時代の恩師が大久保佳代子で、これまたいい感じなんです。
大久保佳さん、意外と言ったら失礼かもしれませんがかなりハマってました。とても良かったです。
高畑充希はもう誰もが認める俳優ですが、その脇を固めるのが俳優ではない人たちでそれがそれぞれハマり役で良かったです。
竹原ピストルもちょい役で出てくるんですが、そこがドラマ版(映画の後日談)として配信されてます。
映画館を取り壊して地域の人が使える施設に作り変えた方がより地域に貢献できるのではないかという不動産屋の提案が最もで変にご都合主義でなく現実的な問題点がちゃんと提示されてたのがいい。
朝日座は、福島県にある実在する映画館。
現在は定常的な上映は行ってないらしいけど、できれば良い形で残ってほしいものです。
映画は各種配信サイトにてレンタルで観ることができます。
最後に
映画館の魅力、暗闇の世界がなんでこんなに心地良いのか、それぞれの作品にその答えがあります。
映画を愛し、映画館を愛する者にとってやっぱりそこはステキな思い出の詰まった聖地です。
そんな事を改めて思い出させてくれる作品です。
まだ未見の方はぜひこの機会にご鑑賞ください。
映画づくりや映画史を見つめ直す作品も最近多いので、コロナ禍を経てなんだかこのトレンドがあります。
スピルバーグの『フェイブルマンズ』を観たらその辺りもまたまとめてみたいと思います。
最後までありがとうございます。