2021年、映画ベスト10(外国映画編)
あけましておめでとうございます。
2021年も映画をたくさん観ました。
毎年、年末ギリギリまで映画を観てその年のベストを決めていまして、なんとか絞って、日本映画と外国映画とそれぞれ10本ずつ選出しています。
そこから今回、外国映画編を発表したいと思います!
選出のルール
基本的に2021年に公開された新作映画が対象で、動画配信のみは含んでいません。動画配信サイトがメインでも劇場で公開していれば対象になります。
昔の映画のリバイバル作品や公開日が2020年は対象外となります。
それではいってみましょう。
外国映画10位〜6位
10位 『聖なる犯罪者』(1/15公開)
少年院を出たばかりの少年が聖職者になりすます、というストーリーのポーランド映画なんですが、面白かった。
ポーランドではこういうなりすまし事件が度々あるそうなんですが、人が肩書きで信じてしまったりする心理的な闇をうまく描きつつ、いつバレるんじゃないかとハラハラさせられるサスペンスです。
主人公の青年が時折見せる極悪そうな顔もたまらなくいいんです。
年明け早々に観たんですがこのインパクトは忘れられず、しっかりランクインしてきました。
以前にnoteも書いています。
9位 『サマー・オブ・ソウル』(8/27公開)
1969年、ウッドストックがあった年にニューヨークのハーレムで黒人たちだけの大規模なフェスが実は開かれたいた!という伝説のライブを記録した音楽ドキュメンタリー。
そしてこの映像はずっと知られることがなかった幻の作品で、50年以上経ってようやくお披露目になったというすごい映画なんです。
こんなフェスが当時開かれたいたんだっていうのがまず驚きだし、ここに参加しているミュージシャンたちがすごい!黒人音楽の伝説になっているような人たちがカラーで歌っているのが見れるなんて。
BBキングが動いてるの初めて見たかも笑
そして、スティービー・ワンダーがめちゃ若い!そして天才!
音楽好きな人ならまず間違いないし、超貴重な記録映像だし、あまり知らない人でも音楽のパワーがすごいので普通に楽しめます。
8位 『ファーザー』(5/14公開)
こちらは、アンソニー・ホプキンスがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。
認知症の父と、そんな父を心配する娘との話なんですが、すごいのが認知症の父の目線で描いているところなんです。そうすると初めて聞いたのに「何回も説明している」と言われたり、誰か分からない人物が自宅でくつろいでいるから問いただすと知り合いだと言われる、、みたいなミステリーになるんです。この見せ方はすごい新しいし発見。
そしてこの難しい役をやってのけたのがイギリスの名優、サー・アンソニー・ホプキンス。これは圧巻の演技でした。アカデミー賞を受賞するのも納得でした。
この作品もすごいおすすめです。
以前にnoteも書いています。
7位 『ボストン市庁舎』(11/12公開)
ドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマンの新作です。
ワイズマンの特徴としては、効果音的な音楽や説明的なナレーションが一切なくて、ひたすら対象をとり続けるというスタイルです。
観客はその映像を見続けているうちに浮かび上がってくる課題やテーマを読み取っていくという感じになります。
この巨匠の映画は基本長いんですが、本作も堂々の4時間半です。
今回の対象は、アメリカのボストン市庁舎。そこで働く職員の方々や市長の仕事を取り続けていきます。
行政の仕事って街路樹の枝を切ることから、交通違反の取り締まり、住民トラブルまで本当に幅広い。
そしてこのボストンという街の特徴は、様々な人種が混在している多様性のあるところ。そしてのその割合は全米のそれとほぼ同じ。
そんな多様性な環境の舵取りをする市長を中心とする職員の仕事ぶりから浮かび上がってきたのは、分断を進めるトランプ政権に対する姿勢。
この市長は名市長と言われていて、現在はバイデン政権のもとで働いています。
ちょっと長いんですが割と見れちゃいますのでおすすめです。
今年はドキュメンタリー映画が豊作で、雑誌BRUTUSでも特集組まれてました。その時にもnoteで取り上げています。
6位 『ノマドランド』(3/26)
アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演女優賞と主要部門を総ナメにした本作。
企業倒産によるリストラで車上生活をすることになった白人女性を描いた作品です。
これすごいのが主演のフランシス・マクドーマンドらメインの数人以外は、全て本物のノマドの人たちが出演しているところです。フィクションじゃなくて現実と地続きな内容っていうのがすごい。
それをアメリカの雄大な大地を背景にドキュメンタリーじゃないかと思うようなタッチで描いたのが中国出身のクロエ・ジャオ監督です。
こういうアメリカの闇の部分を外国人監督が撮ってアカデミー賞を席巻するっていうのもすごいです。
これも必見の傑作です。
アカデミー賞受賞してるのにパンフレットがない問題なんてのもありました。
外国映画5位〜1位
さあ、それでは後半戦です。
5位 『プロミシング・ヤング・ウーマン』(7/16公開)
こちらも衝撃作でした。
主演のキャリー・マリガンはアカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされています。
夜な夜なバーで酔い潰れては、男にお持ちかえられ、、、と見せかけて実は酔ってなくて男に制裁を加えるという日々を過ごす女性が主人公の作品。
なぜそんなことをしているのか、彼女の過去には何があったのか、そして、、
展開的にも想像を超えてきたし、昨今のシスターフッド的な作品の代表格となる強烈なメッセージが込められていて、これ全男性が観た方がいいやつです。
ポスターデザインも特徴的でかなり前から注目してましたが前評判に違わず良かったです。
4位 『少年の君』(7/16公開)
この作品もめちゃくちゃ良かったです!
進学校の中でも成績優秀、だけど友達のいないいじめられっ子な女子と、一匹狼の不良少年が出会うボーイミーツガールな内容なんですが、いわゆる青春ラブストーリーとは一線を隠してました。
中国の受験戦争で周りを蹴落とすような競争社会や一度脱線したものが這い上がれないシステムの中で、お互い居場所のない者同士が惹かれ合い、そして恋愛を超えた連帯感で社会に向き合っていくんですが、これも思いもよらない方向に話が展開していって面白いです。
主演のチョウ・ドンユ(周冬雨)は、演技も凄くてどう見ても高校生にしか見えないのに実は29歳でキャリアも結構ある女優さんで大注目です。
中国では「13億人の妹」と言われ親しまれているそうです。
3位 『最後の決闘裁判』(10/15公開)
これはめちゃくちゃ傑作でした。
リドリー・スコットは80代を超えているのにコンスタントに作品を作っていてしかもレベルが高い! もう本当にすごいです。
舞台は中世のヨーロッパなんですが、この作品のテーマとしてはとても現代的で男性社会に翻弄される女性の立場を描いた作品です。
自分の妻が陵辱されたとしてある騎士が友人の騎士を訴えます。
二人の騎士と妻の三人、この三者の視点で同じ出来事を見ていく構成が秀逸! 羅生門スタイルで三人の視点が微妙に異なるところがミステリーになっていて、誰の証言が本当なのかという面白さになっていきます。
こんなに面白いのに興行的にはイマイチだったようで目立ってないのが残念。でも絶対に埋もれさせてはいけないタイプの作品です。
レンタルもあるので機会があればぜひ観ていただきたいです。
マット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレックという男優陣も良かったのですが、なんといってもジョディ・カマーが良かったです。
彼女は本作が代表作になると思うし、これで一気に売れっ子になると思います。
2位 『アメリカン・ユートピア』(5/28)
いやー、めちゃくちゃ良かったですね、これは。
やっぱりコロナ禍でライブに行けない中で、こういうライブエンターテイメントはやっぱり刺さります。そして内容的にとても秀逸なパフォーマスで素晴らしかったです!
トーキングヘッズのデヴィッド・バーンが自分の音楽アルバムをブロードウェイの舞台化として作ったものを、スパイク・リー監督が映像化したのが本作です。
もうステージが圧巻で、本当に良かったです。
とてもいいんでぜひ観てほしいんですがこれこそ映画館の大きなスクリーンと最高の音響で体験してほしいやつです。
こちらも詳しくはnote書いてます。
1位 『リトル・ガール』(11/19)
そして、ついに1位の発表です。
これはもうずっと泣いてました。本当に良い作品です。
6歳のサシャは自分が女の子である自覚のある男の子。だけど周囲からは認められずそのギャップに苦しんでいて、サシャを助けたい家族との奮闘記です。
これドキュメンタリーなのがすごい。
サシャも家族も本当だからセリフが全部の心に刺さるんです。
フランス映画なんですがフランスでさえまだまだ理解がなくてすごく苦しむことになる。でもどの国でもあり得る話だしこういう理解を映画から得られることにもなるのでみんなに観ていただきたいです。
映画としてもすごく良い作品です。
ということで堂々の1位となりました。
外国映画ベスト10
最後に
今回は、2021年の映画ベスト10の外国映画編をお送りしました。
10本に絞り込むのが本当に大変でした。
まず30本くらいに絞るんですが、そこからが大変。
そして順位をつけるなんて、、、って言いながらつけてます笑
年末に決めたのが以上の10本となりますので、ぜひ映画選びの参考にしてもらえると嬉しいです。
レンタルで出ているものも多いので鑑賞できる作品が多いと思います。
日本映画編もまた発表します。
最後までありがとうございます。