【書店】書店まわりはほどほどに!?
書店まわり、という
恒例行事が出版界にはあります。
といっても、ブラブラ
本屋さんをまわることではありません。
新しい本が発売になった日に、
作家さんを書店にお連れして、
書店の担当者に
「新刊をよろしくお願いします」
とご挨拶しに行く行事です。
お願いされれば、
その書店の在庫本にサインをしたり。
これを、新宿、池袋、丸の内など
大型書店をまわって行くんです。
時には、書店の担当者さんが、
お連れした漫画家さんの
大ファンだったりして、
漫画家さんの前で感動して
泣いてくれることもママありました。
普段は、編集者としか
会う機会がない漫画家さんにとり、
書店の担当者さんに会ったりして
刺激を受けたり、
自分のファンと直に触れたりする、
そんなことが漫画家さんには
きっと良い結果になるだろう、
そう私は思っていたんです。
書店まわりは素晴らしい、と。
ところが、
漫画家さんの中には、
書店まわりをすると
自信がなくなったり、
どれだけのライバルがいるか痛感し、
漫画家を辞めたくなる、
そんな漫画家さんもいました。
だって、
書店まわりに行くとします。
すると、誰もが知ってる大作家の
描いたサイン色紙が
壁にはびっしり並んでいる。
何十枚ものサイン色紙を
色々な書店で目にするうち、
自分が漫画家になる前から
大好きだった天才やら名人やら
大作家の現役ぶりを
目の当たりにしてしまうと、
自分なんか絶対に敵わないと、
落ちこんでしまうらしい。
まさか、作家の書店まわりで
作家が落ちこんでいたなんて…。
でも考えたら、
そもそも漫画家さんは繊細だし、
大作家以外にも、
現役ライバルだっていっぱいいるし、
ノミの心臓ならば、
まわる途中で倒れても
おかしくないにちがいない。
私はそんな心理を察せず、
書店担当さんが
漫画家さんを見て泣いてくれたことで
きっと、漫画家さんをすっかり
励ますことが出来たにちがいない、
頑張るモチベーションにもなって
くれたにちがいないと喜んでました。
単細胞にも程がある(汗)。
もし、また万が一、
編集者になる機会があっても、
書店まわりをマストに考えないことを
しっかり心に刻みたい。
まあ、今月55才になる私が
漫画編集に返り咲きする機会は
まずないでしょうけれど…。