見出し画像

【文庫】2024上半期の文庫を振り返る

2024年上半期を振り返ってみたい。

2024年も、あっという間に
半分が過ぎましたね。
文庫好きには当たり年でした。

今年は、
安部公房や吉行淳之介が
生誕100年でした。

今年冒頭は、
安部公房の文庫キャンペーンが
並んでました。

吉行淳之介は
今ひとつ、でしたが、
神保町の東京堂書店では
安部公房フェアと
吉行淳之介フェアが同時に
展開されていました。

それから、
今年2024年は、カフカの
没後100年にも当たってた。
新潮文庫では、
2冊、短編集が出た。

それから、なんと言っても、
南米文学の最高峰、
ガルシア・マルケスの
『百年の孤独』が
刊行50年を経て、
新潮文庫になりました。
話題になり、発売即重版に!
文庫で即重版はなかなかない
レアケースですからびっくり。

あ、それから、
文庫マニアにはたまらない本が
何冊も出ました。

例えば、在野の美術評論家、
洲之内徹の
『洲之内徹エッセイ集』
ちくま文庫。
伝説の美術評論家の文章が
文庫で読める時代が来るとは!

ミステリー好きな坂口安吾の
ミステリに関する文章を集めた
『安吾探偵事件帖』(中公文庫)も
戦後や戦中の話が好きな人間には
よくぞこんな本を出してくれた、
と快哉を叫びそうになりました。

いいぞ、ちくま文庫、
いいぞ、中公文庫。

そういえば、
今月びっくりしたのは、
『遠藤周作短編集』が
岩波文庫から刊行されました。

岩波文庫も、いい加減、
いつまでも、明治から戦前時代の
作家ばかりに、
胡座をかいてられないのでしょう。

でも、考えたら、
遠藤周作は、もはや
立派な「古典」だった。
むしろ、岩波文庫に入るのが  
遅過ぎたくらいでした。

それから、西加奈子の
『夜が明ける』も最近文庫に
なりました。 

また、出版社を一人で始めた
島田潤一郎の
『古くてあたらしい仕事』
新潮文庫も  
これからの出版社のあり方を
しっかり考えさせてくれた。

又吉直樹が敬愛する
古井由吉の『楽天の日々』も
今年2月に発売されました。
草思社文庫。

あ、それから、
中上健次の未刊の遺作
『異族』もついに発売された。
全960ページ。
定価は3850円。
講談社文芸文庫は、
文学的な作品を
世に出してくれる 
貴重なレーベルですが、
なにせ、値段は出版社の言い値  
としか思えない。

これも、『百年の孤独』のように
発売前から宣伝をしていたら、
もう少し売れる類いの
企業努力をしたら、
もう少し売れるでしょうね。
1冊で3850円は高すぎですね。
いつか、講談社文芸文庫は
なくなってしまうかもしれません。
それだけは避けたいなあ。
 
さて、上半期で
一番嬉しかった文庫は
中公新書の『六人の橋本治』。
高橋源一郎や浅田彰ら六人と
橋本治の対談を集めた
オリジナル編集文庫。
橋本治が好きな人には、
たまらない1冊です。

2024年上半期の
ベスト文庫は、
この『六人の橋本治』ですかね。

ちなみに、新書では、
『なぜ働いていると、
本が読めなくなるのか』が
上半期ベスト1位ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?