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【読書と季節】乱歩が読みたい夜もある
ああ、乱歩が読みたい。
先日、涼しくなった夜に、
なぜか無性に乱歩が読みたく
なってしまいました。
謎めいていたり、
スリル感に満ちていたり、
エキセントリックな、
あの独特の世界は、
秋の夜にこそ読みたくなるらしい。
真夏には乱歩は
あまり読みたくないかも(笑)。
先週今週で、
急に涼しくなった夜が
ありましたが、
脳みそは、それでもう秋が来たのかと
感知したらしく、
江戸川乱歩を欲したんでしょうね。
昨日一昨日と、乱歩の短編を
読んでいました。
そんななか、
本屋さんに行くと、
まるでシンクロするかのように、
『江戸川乱歩座談』という
中公文庫がでていました。
対談や鼎談など語り手としての
乱歩をオリジナル編集した文庫です。
うーむ、そりゃあ
その新刊、買ってしまいますね。
ちょうど今いちばん肉声を読みたい
作家の対談&鼎談集ですよ。
まるで私の小さなブームを
知っていたかのような。
いや、それとも、
江戸川乱歩には秋が似合う、
秋に読みたくなる、、、といった
ジンクスがあるのかしら?
それをわきまえている
優秀な編集者が、
秋に乱歩の対談集を
出したのかもしれません。
作家には、合う季節というか
食べ頃、読み頃みたいな旬が
あるのかもしれません。
湿気たっぷりで
汗だらだらな真夏日は、
乱歩は読みたくはないかも?
今よりさらに季節が進んで、
寒さが増してきたら、
今度は何が読みたくなるでしょう?
本格的なエッセイを残した
作家・須賀敦子さんは、
冬に読みたくなりそう。
彼女の書くものには、
霧深いミラノの景色が色濃く
刻まれている。
逆に、夏場には、
須賀敦子の
繊細で緻密な世界は
あまり開けたくないかも。
夏場は、夏を舞台にした
中上健次の『枯木灘』や
その一連の世界を描いた作品群が
なんとなくしっくり来る。
季節を問わず、
どの季節でも読みたい作家もいれば
季節感が著しく豊かな作家もいますね。
読書にも季節は大事らしい。
でもたいていは、夏より、
夏が去った後の秋こそが
読書に向くのは確かです。
読書の秋。
川端康成や太宰治は
なんとなく秋が似合っている。
冬のクリスマスには
サリンジャーやカポーティが
よく似合う。
カズオ・イシグロは
晩春や初夏あたりでしょうか?
では、安部公房はいつだろう?
また、村上春樹はいつが似合うだろう?
う〜ん?
季節によらない作家もいるなあ。
通年で楽しめる作家もいるって
ことでしょう。
そろそろ、新米の季節。
サンマやマツタケが美味しい季節。
食べものだけではなく、
読書にも、季節感は大事らしいと
知りました。