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【戦争】85年めのノモンハン事件

昨日は、ドゥマゴ文学賞が
高野秀行さんに決まった日でした。
その話もしたいのですが、
でも、今日はどうしても
早めにお話したいことがあります。

ノモンハン事件です。

85年前の春と夏に、
日本(&満州国)とソビエト(&モンゴル)が
国境を巡って戦ったことが
ありました。

村上春樹好きなら、
すぐ「あ、ねじ巻鳥クロニクル」で
残酷な場面が何度も何度も 
描かれるあのノモンハンか?
となる、あのノモンハンです。

モンゴルとそのバックにいた 
ソビエト連邦と、
日本・満州との戦いでした。

真珠湾攻撃とか、
ヒロシマやミッドウェー海戦に比べると、
あまり知名度が弱いような…。

『ねじ巻き鳥クロニクル』で
村上春樹があんなに執拗に執拗に
描いてくれていなければ
私なんかはノモンハンを今も
過小評価していたかもしれません。

でも、ノモンハンでの日本の
惨敗こそが、その後の日本を
象徴しているから、
もっともっと研究するべきだという 
歴史家もたくさんいますね。

さて。
今年、ノモンハン事件から
85年めなんですねえ。
ウランバートルでは、
戦勝記念式典が開催されました。

そこにロシアのプーチン大統領も
招かれたのでしょう、やってきた。
日本に対する勝利を一緒に
祝ったんだそうです。

モンゴル側、ロシア側にとって
ノモンハンは、
当然、貴重な勝利を得た戦争という
認識なんですね。

そのロシアが、
ウクライナに対して、
ある日突然、軍隊を仕向け、
ウクライナの日常を奪ったのは
私たちもよく知るところです。

85年前は、この日本が、
正確には、大日本帝国と満州国が
モンゴルに軍隊を仕向けたんでしょう。

モンゴル国の戦勝記念式典、
更には、ロシア大統領プーチンが
戦勝を共に祝ったということを
新聞で知った時は、
腕に少し鳥肌が立ちました。

85年という長い時間が
流れてきたにも関わらず、
いや、なんだか、
昔と何も違わないような気も
してきたからです。

村上春樹は、
それにしても、
感度、アンテナがいい作家だなあ。

ノモンハン事件について
日本でこんなに本が出る前から
彼はノモンハン事件を描き、
ノモンハン事件はまだ今も
現実に起きているんだと
いうのですから。比喩ではなく。

その言葉が、今までは 
ピンと来なかったんですが、
戦勝記念式典がモンゴルで
盛大に行われ、
プーチンが招かれたと聞いて、
やっと、春樹の言葉が
リアルに腑に落ちました。

もう、いつ日本が
ウクライナみたいになる可能性も
ゼロではないんだな、と。

いや、逆もあるかもしれない。
日本がある日どこかの国や地域に
軍隊を仕向けてるかもしれない。

何ひとつとして、
「それはあり得ないでしょ?」
と言えることは無い気がします。
無い時代になった気がする。

今日は、村上春樹の
旅エッセイ集『辺境・近境』の
ノモンハンの話を読み返そう。
ノモンハンはまだ
きちんとは終わっていないのですから。

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