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【告知】4月4日は、村上春樹の短編で「読書会」開催致します。

これは実話であり、それと同時に
寓話である。そしてまた、我らが
一九六〇年代のフォークロア
(民間伝承)でもある。

僕は一九四九年に生まれた。
一九六一年に中学校に入り、
一九六七年に大学に入った。
そして例のドタバタ騒ぎの中で
二十歳を迎えた。だから僕らは
文字通り六十年代の子供たちで
あった。人生の中でいちばん
傷つきやすく、いちばん未成熟で、
それ故にいちばん重要な時期に、
タフでワイルドな空気をたっぷりと
吸い込んで、そして当然のことながら、
宿命的にそれに酔ってしまったのだ。
ドアーズやビートルズから
ボブ・ディランまで、BGMも
ばっちりと揃っていた。


………と、長々と書いたのは、
これは村上春樹の初期短編
『我らの時代のフェークロア』の
冒頭をそのまま引用しました。
私が読んだ中でいちばん美しい
短編の書き出しです。
あまりに美し過ぎて、自分も
この見本のような冒頭を真似て
何度か短編を書こうと、真似を
したくなりました。

村上春樹は実は冒頭の書き方が
とても美しい作家の一人では
ないかと思っています。
なかでも、この『我らの時代の
フォークロア』は何度も繰り返し
読んできました。
やはり冒頭は大切ですね。
まどろっこしい冒頭では、
最初はまあちょっとガマンして
読んでみるか…という感じで
作者についていきますが、
シャープさと、
引き込まれる奥深さを兼ね備えた
冒頭というのは、なかなか
そう多くはないと思います。

六十年代の話を始めるのに、
こんなにこなれた書き出しは
まさに冒頭の教科書でしょう。

来月4月4日は、また、
このnote上で、
村上春樹の短編を課題作品として、
読書会を開催いたします。
いくつか代表的な作品を3つ
選んでご提案しました。
もちろん、それ以外の短編でも、
印象や感想、思い出、違和感など、
その4月4日の私の投稿記事にて
前回の宮沢賢治の時のように
コメント欄に、自由にお気軽に
記入してご参加ください。

ちなみに、
課題作品としてご提案したのは
『アイロンのある風景』
『午後の最後の芝生』
『パン屋再襲撃』です。

4月4日の
読書会の開催告知でした。


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