【生きる】人が小説を読みたくなる謎が分かりました?
本が、というか、小説が好きな理由。
やっとわかりました。それは
ある作家のこんなエッセーに
出会ったからです。
「われわれ小説家は、みなさんと
同じように人生がわからないでいて、
人生に対して結論を出すことが
できないから、手探りするようにして
小説を書いていっているのです。
人生に対して結論が出てしまい、
迷いが去っているならば、
われわれは小説を書く必要がない。
小説家は迷いに迷っている人間なんです。
暗闇の中で迷いながら、手探りで
少しずつでも人生の謎に迫っていきたい
と小説を書いているのです。」
これは遠藤周作さんの
『人生の踏絵』(新潮文庫)の一節。
今まで、なぜ小説が好きなのか?
なぜ小説を読みたくなるのか?
ずっとどこかで探していた「謎」が
この一節でいっぺんにクリアに
なりました。
結論が出ない人生に迷い、
謎に迫ろうとする自分自身を
小説は肯定してくれるから、です。
結論が出ていて、それを説こうとする
ビジネス書や自己啓発書が
なぜ好きになれないか?も
やっとわかりました。
そうなんです。
人生の謎や答えは、
そう簡単にはわからない筈だし、
誰かから論理的に教わりたくないんです。
できたら自分の力で解答に迫りたい。
小説はその助けになる控えめな存在です。
ちなみに上記の文章で、
「書いて」を「読んで」に変えたら、
小説好きな読者全員の心からの願い、
という風に読むことができます。