【文豪】夏目漱石を、もっともっと知りたい方のための読書案内
夏目漱石でいえば
『こころ』や『坊っちゃん』
『三四郎』『それから』『彼岸過迄』
などは読んだけれど、
その先に進むためには、
次はどんな作品を読めばいいだろう?
という人のために
漱石の読書案内を
ご紹介してみたいと思います。
まず、私が個人的に好きなのは、
文鳥を飼ってみたものの、
不慣れで、死なせてしまった、
そんな一連を描いたエッセイ
『文鳥』が大好きで、オススメです。
その次は、シュールで不気味な
『夢十夜』でしょうか。
漱石の、無意識に内在する
生きる不安やトラウマを背景に
奇妙な夢を書き連ねた名作。
それから、初期作品『倫敦塔』。
倫敦塔を初めて訪れた観察紀行。
まだ、英国生活に馴染めていない
漱石の不安に満ちた体験エッセイ。
その次は、『永日小品』。
お正月のゆる〜い日常などを
ゆる〜く描いたエッセイですが、
漱石宅に集まる友人やお弟子さんとの
陽気な1日を活写しながら、
漱石のおおらかさを忍ばせる
不思議なエッセイです。
『抗夫』は漱石ゆいいつの
ノンフィクション小説。
炭坑に働く青年の話を聞いて、
ノンフィクションに仕立てたもの。
漱石にこんな一面があったかと
感銘を受ける異色作。
マニアックと言えるかどうか
わかりませんが、
漱石ゆいいつの私小説『道草』。
漱石ファンなら
読んでるかもしれないけれど、
意外にその価値が忘れられがちな
私小説です。
私小説好きにはたまらない傑作。
『硝子戸の中』
大病で苦しみ、入退院を
繰り返していた漱石が
自室の窓硝子から見える世界を
綴った、これまたエッセイ。
漱石のエッセイでは、
これがいちばん内容が濃いかも。
初期の恋愛小説を描きつつ、
なぜ男と女は恋におちるのかを
追求した『幻影の盾』も面白い。
『虞美人草』は擬古文で書かれ、
ちょっと古めかしい文体ゆえ
読みづらいから敬遠されがち。
読み通すのが難しい作品ですが、
テーマは『三四郎』とよく似ている
融通不断で軟弱な男性と、
明快な現実主義者の女性との
悲劇的な葛藤の恋愛ドラマ。
向田邦子がドラマ化しようと
あの事故にあった飛行機に
持っていたという作品です。
『坊っちゃん』『こころ』や
『吾輩は猫である』『三四郎』
『それから』『彼岸過迄』など、
名作はあらかた読んだ方で、
漱石のまだまだ底の深い魅力に
接したい方にオススメな作品を
独断でチョイスしてみました。。
『文鳥』
『夢十夜』
『倫敦塔』
『永日小品』
『坑夫』
『道草』
『硝子戸の中』
『幻影の盾』
『虞美人草』