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宮沢賢治で一番すぐれた作品は何か?と聞かれたら?

宮沢賢治で一番すぐれた作品は何か?
という質問を、えんえんと
し続けてみたい。
学生時代、私は不毛にも、
この種の問いかけを
太宰治でやっていて、
しばしば、議論に、時には
激しい水掛け論になったこともあった。
若かった、若すぎた(笑)。

ところが、
宮沢賢治となると、
これがたちまち温かい話しあいになる。
『銀河鉄道の夜』かな?
『注文の多い料理店』かな?など
実に不思議なことですが、
温かい話し合いになる。
これ自体が、宮沢賢治の魅力なのかも
しれないですね。 
みんなに好かれ、
また、誰にとっても思い入れ深い
作品があることも確か。
太宰治や三島由紀夫については
「いい加減な解釈は許さないぞ!」
という論客気取りがいますが、
宮沢賢治にはまずそんな人に
出くわしたことはありません。

宮沢賢治は懐が深いんだなあ。

さて。冒頭の問いに戻りましょうか。
宮沢賢治で一番よく出来た作品は何か?
おそらく『銀河鉄道の夜』とする人が
一番多いのではないかしら?

でも、本好きで自意識過剰な者は
そうは思わないと手を挙げるに違いない。

私もそういう自意識過剰人間ですが、
私はもっとミーハーに、
『セロ弾きのゴーシュ』だと
言いたくなる。

本当によくできている。
まずは、セロを弾くのが下手な人が
主人公であり、もしかしたら
首になりそうな窮地にいる。
そんな彼に、3日連続で
動物たちが来訪して、
朝までゴーシュにセロを弾かせる、
そうして知らず知らずのうちに
ゴーシュのセロを弾く腕は、
すっかり上達していた、、、、。

まるでちょっとした少年漫画の
プロット並みによく出来ている。
ここには、
宮沢賢治独特の宗教性や
死生観や宇宙観はいっさいない。
宮沢賢治にしては
あり得ないくらい、
シンプルな現実的なストーリーだ。
と同時に、夜ごと、動物たちが
ゴーシュの部屋に訪れて、
朝までセロを弾かせることになる要素は
絵本らしい楽しみ、
宮沢賢治の作品らしいファンタジーさも
よく出てるんですよね。

でも、宮沢賢治マニアの中にいて、
『セロ弾きのゴーシュ』が
一番好きだというと
かなり恥ずかしい目にあう。
宮沢賢治論として語られる
宗教性や宇宙観がまるでないから。

そんな時は、ちょっと背伸びして
『グスコーブドリの伝記』を 
あげることにしています。
たぶんに、賢治の分身? 
アバター?のようなグスコーブドリには
彼の弱者救済思想がストレートに
描かれているから、です。

それでも、これもまた 
かなり人気の作品ですから、
私がミーハーなのはバレバレだ。
さらに背伸びせねばならない時は、
『黄いろのトマト』を挙げれば、
宮沢賢治マニアさん達にも、
おおおーと、うなずいて貰える率高い。
奇妙な蜂雀の話は、
宮沢賢治的かどうかはさておき、
その幻想性に心奪われるから。 

あ、そういえば、
『風の又三郎』も大好きです。
これまた、激しく賢治的かどうか?
となると疑わしいですけどね(汗)。

結局は好きな作品を素直に
答えるのが一番ということらしい。
『セロ弾きのゴーシュ』が好きな私は
さしずめ、大のミーハーという訳か。
宮沢賢治で何が一番好きか?で、
ちょっとした人間観察ができる。
やっぱり宮沢賢治は懐が広い。

追伸
昔、読んで感動しつつも、 
タイトルを忘れた作品があります。
鳥が夜中に林の中で語り合う作品です。
その鳥はタカだったか、
フクロウだったか?思い出せません。
これは何という作品でしょうか?
お分かりの方がいらしたら
教えてくださると嬉しいです。


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