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【読者】読者はどこにいるだろう?

『読者はどこにいるのか?〜読者論入門』。石原千秋。河出文庫。
「読者論」???
「読書論」の間違いでは…?
あまり聞き慣れないフレーズですよね。

でも「読者はどこにいるのか?」
これは、作家や編集者、出版社、
本屋さんには、実に切迫した問題です。

編集者は毎日、このことについて
頭を悩ませ、考えています。

たとえば、
ちょっとマニアックな
ある作家がいたとして、
彼、彼女の次の新作を、
どう味付けして、
どんな「水域」に狙い定めれば、
読者はたくさん食いついてくれるのか?

売れない場合は、
中身の問題というより、
狙い定めた水域に、
その味付けを好む魚、
もとい、読者がいないから、
ファンもいない場所に投げたからです。

作家には、たいてい
固有の支持者、ファンがいます。
ちょっとマニアックなファン、
哲学的思考が好きなファン、
前向きキャラが好きなファン、
舞台が海外設定好きなファン、
同じ傾向の作家はいないのと同様、
同じ傾向の読者もいないでしょう。

本に対するピッタリな出会いは
なかなかない訳です、本来は。

でも、間口が異常に広い作家も、
たとえば、村上春樹のような、
作家もいるのですが、
彼は例外として、
普通、作家の間口は、
ある程度、限りがあります。

ただ、なんとか起死回生、
ヒットを狙う作家や編集は
時に自分の間口を広げたり、
狙う場所を変えたりします。

間口を広げるのは、
かなり難しいですが、
狙う場所を変えるのは
なんとか出来るかもしれない。

編集者はいつも、
この本の読者はどこにいるのか?
どこに隠れているのか?
と、ターゲットになる読者を、
探し求めています。

明治維新以降、
西欧の印刷技術が輸入された時から。
大量の読者が誕生した時から、
作家や編集者と、
一般読者とのマッチングが
また、ミスマッチが、
起きるようになりました。

それまでは、
誰かによって書き写された写本を
本屋、または貸本屋さんが
これはどうですかあ?
これは○○さんの好みだから
お持ちしましたよ〜などと、
担いて持ってきてくれる。
読み手の好みをよく知る
移動型本屋さんがいた訳です。
読者についてよく知ってるんです。
だから、
読者はどこにいるんだろう?
なんてことにはならない。
そんな質問が誕生するのは、
やはり明治以降の
近代印刷技術が出来てから。
大量に本が出回るようになったから。
便利にはなったけれど、
はたして、余計な気苦労を
増やしたのも事実ですね。

さて。思えば、このnoteでも、
同じことが言えますね。

全然、noteっぽくないテーマを
いくら書いても、きっと
あまり読まれないですね。
露悪的な話は、なかなか
読まれないみたいですね。
それはツイッターがきっと
相性がいいんでしょう。
また、下ネタもキツイでしょう。

反対に、noteでは
クリエイティブな話や読書の話、
また意識高いライフスタイルの
話はたくさん読まれるでしょう。

ただ、たくさん読まれたから
中身が良いとか、
また、あまり読まれないから
中身がわるいとか、
そうした結論は違うんですよね。

さて。
自分の読者はどこにいるのか?
それを見極めている人か?
それを見失っている人か?
その違いでしょうか。

私の読者はどこにいるんだろう?
読者の方々に合った話を
送り届けているんでしょうか?
ちょっとハズしてるんでしょうか?
(汗)

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