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コンサルタントの王道:ロジカルシンキングと問題解決(問題分析マンダラート)

多くの職業において特定のスキルや知識が求められますが、それらは独自の業界や職務に特化したものであることがほとんどです。しかし、コンサルタントという職業はその性質上、異なる業界や課題に対応するためには柔軟な思考が必要とされます。そして、その嗜みの代表格として、「ロジカルシンキング」と「問題解決」の二つをしばしば引き合いに出します。

ロジカルシンキングは文字通り「論理的な思考」を意味しますが、単に論理的に考えるだけではなく、思考の枠組みや手法を指します。具体的には、情報を整理し、因果関係を明らかにし、仮説を立て、それを検証するプロセス全体を包括します。コンサルタントのロジカルシンキングは、クライアントのビジネス課題を解決するための道筋を作るための重要なツールであり、またそれ自体が価値を創造する方法とも言えます。

一方で、「問題解決」はその名の通り、問題に対処し、解決策を見つけるスキルです。しかし、この「問題解決」は決して単純な作業ではなく、問題の特定、問題の深堀り、解決策の探求、そして解決策の実行と評価まで、一連のプロセスを必要とします。コンサルタントはクライアント企業の問題を解決するために、これらのプロセスを巧みに操る必要があります。

問題分析マンダラート

問題分析マンダラートは、十年以上の試行錯誤を経て生まれた手法です。マンダラートはサンスクリット語で「円」や「全体」を意味し、その名の通り、問題を全体的に視覚化し、把握するためのツールです。

具体的には、まず中心に問題を配置します。次にその問題の直接的な原因、影響、解決策をその周りに配置します。さらに、それぞれの要素の更なる深堀りを行い、広がりを持たせていきます。このようにして問題をマンダラートの形に展開させることで、一つ一つの要素がどのように連関しているのかを視覚的に理解することが可能になります。

問題解決の難しさの一つは、問題が複雑で、それぞれの要素がどのように関連しているのかを把握することが難しい点です。しかし、問題分析マンダラートは、それぞれの要素の関連性を視覚的に把握し、問題の全体像を理解することを可能にします。

また、問題解決の過程で新たな問題や派生問題が発見されることもありますが、問題分析マンダラートを用いれば、新たな問題も迅速にマッピングし、全体の構造に組み込むことが可能です。

このように問題分析マンダラートは、誰でも簡単に問題解決のストーリー骨子を整理できるフレームワークであり、その有効性は広く認識されています。

この「問題分析マンダラート」の素晴らしさを証明するために、12個の例を作成してみました。

特定のスクリプトをchat-GPTに入力するだけで、短時間で12個の問題解決策を導き出すことができます。例えば、ビジネスの運営問題、プロジェクトの進行問題、パーソナルライフの課題など、さまざまな問題に対して具体的な解決策を形成することができました。

以下は、恋愛リアリティ番組の問題分析をするためのスクリプトです。「#問題分析マンダラートのインプット」パートを書き換えることで様々な問題分析マンダラートを作ることができます。

問題分析マンダラートを作るためのスクリプト

問題分析マンダラートと優先度マトリクスを作成します。
以下の前提1、前提2に基づいて、手順1から4までを実行してください。
回答は、最終的に作成した「問題分析マンダラート」と「優先度マトリクス」だけを示してください。
最後に、結論としてどうしたらよいかを40字以内で回答してください。

#問題分析マンダラートのインプット
①-分析対象:恋愛リアリティ番組
②現在の状況:現実性の欠如、出演者への偽りのイメージの形成、出演者の精神的・感情的な負荷

#前提1
「問題分析マンダラート」というフレームワークがあります。 これは、問題点と解決方針を大まかに把握するために用います。 以下の9個を整理します。

①-分析対象 分析対象を示します。
②-現在の状況 「①-分析対象」が現在置かれている状況を示します。
③a-見つかった問題 「②-現在の状況」について、どんな問題が発生しているか示します。
③b-困っている人 「③a-見つかった問題」によって困る人、組織を示します。
④a-解決すべき課題 「③a-見つかった問題」から解決すべき課題を抽出して示します。
④b-関係する人 「④a-解決すべき課題」によって、「③b-困っている人」に加えて新たに認識された利害関係者を示します。
⑤-解決後の状況 「②-現在の状況」に対して、最終的にどうなりたいかを示します。
⑥a-立案する施策 「④a-解決すべき課題」と「⑤-解決後の状況」をインプットにして、課題解決に有効な施策を示します。
⑥b-新たに巻き込む人 「⑥a-立案する施策」によって、「③b-困っている人」と「④b-関係する人」に加えて新たに認識された利害関係者を示します。

#前提2
課題解決の効果を定量的に表して優先度を判断できるようにします。課題の効果を定量評価する軸はいくつもありますが、私が推奨するのは「解決効果」×「解決率」による2軸整理です。これを「優先度マトリクス」と呼びます。 優先度マトリクスはY軸を「課題の解決率」、X軸を「課題の解決効果」とした4象限です。4つの象限は次のように区分されます。

S1:小さい課題に対して一部のみ解決する
S2:小さい課題に対して大部分を解決する
S3:大きい課題に対して一部のみ解決する
S4:大きい課題に対して大部分を解決する

S1について、さらにX軸とY軸を大(H)、中(M)、小(L)の3段階に詳細化し、次のように9個の領域を設けます。
S1-1:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:小にあたるもの
S1-2:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:小にあたるもの
S1-3:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:小にあたるもの
S1-4:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:中にあたるもの
S1-5:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:中にあたるもの
S1-6:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:中にあたるもの
S1-7:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:大にあたるもの
S1-8:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:大にあたるもの
S1-9:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:大にあたるもの

S2について、さらにX軸とY軸を大(H)、中(M)、小(L)の3段階に詳細化し、次のように9個の領域を設けます。
S2-1:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:小にあたるもの
S2-2:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:小にあたるもの
S2-3:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:小にあたるもの
S2-4:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:中にあたるもの
S2-5:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:中にあたるもの
S2-6:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:中にあたるもの
S2-7:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:大にあたるもの
S2-8:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:大にあたるもの
S2-9:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:大にあたるもの

S3について、さらにX軸とY軸を大(H)、中(M)、小(L)の3段階に詳細化し、次のように9個の領域を設けます。
S3-1:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:小にあたるもの
S3-2:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:小にあたるもの
S3-3:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:小にあたるもの
S3-4:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:中にあたるもの
S3-5:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:中にあたるもの
S3-6:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:中にあたるもの
S3-7:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:大にあたるもの
S3-8:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:大にあたるもの
S3-9:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:大にあたるもの

S4について、さらにX軸とY軸を大(H)、中(M)、小(L)の3段階に詳細化し、次のように9個の領域を設けます。
S4-1:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:小にあたるもの
S4-2:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:小にあたるもの
S4-3:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:小にあたるもの
S4-4:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:中にあたるもの
S4-5:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:中にあたるもの
S4-6:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:中にあたるもの
S4-7:S1の中でも、課題の解決率:小、課題の解決効果:大にあたるもの
S4-8:S1の中でも、課題の解決率:中、課題の解決効果:大にあたるもの
S4-9:S1の中でも、課題の解決率:大、課題の解決効果:大にあたるもの

#手順1
「問題分析マンダラート」の9個の要素について、最初に示した「問題分析マンダラートのインプット」を代入したとき、それ以外の要素も列挙します。

#手順2
さらに③aと④aを多面的に分析します。③aは5個以上、④aは6個以上を挙げた上で、問題分析マンダラートを更新します。

#手順3
さらに⑥aにユニークな視点で考えた施策を追加します。⑥aは8個以上を挙げた上で、問題分析マンダラートを更新します。

#手順4
優先度マトリクスに基づいて、問題分析マンダラートで整理した施策を分類してください。分類はS1-1からS4-9までの36領域のいずれにあたるか示してください。各施策は「解決難度」を追加して評価します。各施策に対して、解決難度を高(H)、中(M)、低(L)の3段階で評価します。解決難度は、その施策を実行するのにどれだけのお金や手間が必要になるかを評価するものです。

これらの問題解決策が非常に具体的かつ実践的であり、問題分析マンダラートのシンプルさと効率性を明確に示しています。12個の作成例を以下に列挙します。

例①:恋愛リアリティ番組のリアリティ問題

例②:メガソーラーの環境破壊問題

例③:配送業の再配達疲弊問題

例④:日本のAI出遅れ問題

例⑤:職場のおっさんネットワーク問題

例⑥:GWの休暇取得格差問題

例⑦:とにかく明るい芸人の再ブレイク問題

例⑧:AKB48の存在感が薄れている問題

例⑨:悟空が全然働かない問題

例⑩:のび太が他力本願過ぎ問題

例⑪:コナンの住む町の殺人事件発生率高過ぎ問題

例⑫:ピーチ姫さらわれ過ぎ問題

問題分析マンダラートを使えば、誰でも簡単に問題の全体像を視覚化し、その結果、問題解決の道筋を明確にすることが可能となります。

「問題分析マンダラート」は、問題解決のフレームワークとして優れたツールであり、具体的かつ実践的な解決策を提供します。私たちが試行錯誤することなく、問題を解決するための道筋を示してくれます。

実践的な使い方を書籍『外資系コンサルから学ぶロジカルシンキングと問題解決の実践講座』(ソーテック社)で具体的&簡潔に解説しています。是非ご一読ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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