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「成長」と「原点回帰」〜『シン・ドゲンジャーズ』感想①

みなさん、『シン・ドゲンジャーズ』観てますか?



前回、こういう記事を書いたわけだが。


新番組『シン・ドゲンジャーズ』、絶賛放送中である。

早いもので、もう第4話。


今週からAmazonプライムでの配信も始まった。

こちらを待っていたTV放送地域外のファンも多いだろう。


と、いうことは。

たぶん、これから視聴者も増えるし。

ストーリー的にも、来週あたりターニングポイントが来そうだし。

ここらで序盤の感想をまとめておこうかなー、と。


今回は、そういう話である。


※ここから先、『シン・ドゲンジャーズ』第1話のネタバレを含みます。



まず、『シン・ドゲンジャーズ』というタイトルについて。


どっかで聞いたような……というのは、とりあえず脇に置いといて。

この「シン」という言葉には、様々な意味がこめられていると思う。


新しいの「新」、真実の「真」、進化の「進」、心の「心」、信じるの「信」、芯を食ってるの「芯」……。


そして、おそらく「物語の要素を分解し、再構築する」という意図もあるのだろう。

元ネタ的に。(結局、そこに戻る)


今回の大きなテーマは「原点回帰」と「成長」。

序盤のストーリーは、第1期の構成・構図をなぞるセルフオマージュのような形で、進んでいく。


第1話では、『ドゲンジャーズ』シリーズのラスボス・ヤバイ仮面が、これまでのシリーズで得てきた、9つの姿……それぞれのヒーローに因縁のあるフォームに変身しながら、ドゲンジャーズにバトルを挑む。


……そんなん、オタクが絶対好きなやつやん。


『ドゲンジャーズ』の歴史は元々、「薬剤戦師オーガマン」のヒーロー番組を作りたいという企画から始まっている。

オーガマンには、仮面ライダーやウルトラマンのような「縦の歴史」がないことを懸念した、株式会社悪の秘密結社の笹井社長が、他の〈実在するヒーロー〉たちと「横並び」で手を結ぶ『ドゲンジャーズ』を発案した。


※その辺の事情は、このあたりの記事がくわしい。↓


でも、いまのドゲンジャーズは、あの頃のドゲンジャーズとは違う。

そう、5期目ともなれば、これまで積み重ねてきた歴史がある。

歴史ができたからこそ、できる戦いがある。

「本当の宝は、これまでの時間すべて」と論ずるヤバイ仮面がめちゃくちゃカッコイイ。


当然、ドゲンジャーズ側も、ただ手をこまねいているわけではない。

特に、シリーズ最初の主人公で、今期も主演である、ルーキー/田中次郎の活躍には、目を見張る。

初めて、ヤバイ仮面と対峙した時は、ヒーローのように活躍する妄想をするも、実際には何もできなかった田中くん。

今期では、似たような状況になりながらも、理想のヒーロー像を現実のものとして手に入れ、迷いなく戦う田中くんの姿を見ることができる。


しかし、今期で新登場したヤバイ仮面の新フォーム〈ホワイトカラー〉は、あまりにも強く、バトルの結果は、負け寄りの痛み分け。

激しい戦いの末、オーガマンとヤバイ仮面は宇宙空間へ飛び出し、他のヒーローたちも各所へ吹っ飛ばされてしまう。


ドゲンジャーズと悪の秘密結社。

双方がリーダー不在のまま、物語の幕が上がった。


果たして、ルーキーを中心としたドゲンジャーズは、「ホールディングス化し、この街を経済的に牛耳った」という悪の秘密結社の手から、この街を取り戻すことができるのか――と、いうのが、序盤のストーリーの主軸となる。



ここで注目したいのが、ヤバイ仮面の新フォーム〈ホワイトカラー〉だ。


これまで、ドゲンジャーズとの戦いで得た、ヤバイ仮面の強化フォームは、金印・へし切長谷部・SSAと、よそから借りてきた物の力が多かった。

ヒーローとワルモノが同じ力を使う展開は、古今東西、萌え&燃え要素だと思う。


しかし、ホワイトカラーは、「ドゲンジャーズを倒した後、何をすべきか」問われたヤバイ仮面が、経営者として悩み、学び、働いて、真っ白に燃え尽きた末に、進化した姿なのだ。

いわば、内側から生み出した力。


ワルモノが自力で成長したのならば、ヒーローも当然、自力で成長しなければならない。


フィクションの世界における成長とは、すなわち変化である。

ドラマティックな場面を描くための、恰好のスパイスだ。

だが、人間とは、そんな劇的に成長を遂げるものだろうか。

場数を踏む中で、少しずつ目に見えない経験値を積み上げ、振り返ってみればいつの間にかできるものが増えている……。

普通は、そんなところだと思う。


ドゲンジャーズは、フィクションのキャラクターであると同時に〈実在するヒーロー〉。

何度も壁にぶつかり、初心という名のコンセプトを振り返りながら、信念を語る。

そういうタイプのヒーローだ。


今期は、これまでの過去作を踏まえ、成長してきたドゲンジャーズたちが、それでも、つまづいてしまう弱点を見つめ、更に一皮むけた姿を見せてくれる。


キタキュウマン、キタキュウマンメタル、ヤマシロン、ビンチョウファイヤー、エルブレイブ……そして、これから登場するヒーローたちが、何を乗り越え、何を語るのか。

各話の個人的なお気に入りシーンを挙げたいところではあるが……。
そこは是非、本編を、その目で確認してほしい。



そして、今期のキャッチコピーである「枠(ローカル)を超えすぎた――」という言葉。

なぜか大気圏を超えてしまったオーガマンとヤバイ仮面。

宇宙的なメインビジュアルは何を示すのか。


このあたりに、ただのセルフオマージュでは終わらない仕掛けが隠されている気がしてならない。


「シン」っていうくらいだし、今までやってこなかった特撮表現へのチャレンジもあるんじゃないかなー、と期待している。

CGもアクションも、めちゃくちゃ進化していることだし。

脚本家のシャベリーマンいわく、今期の撮影にあたって、各所にロケの申請をしたところ、1期の頃には考えられないほど、たいへん快く貸してもらえたそうだ。

成長しているのは、キャラクターだけではない。


そして、わたしたち視聴者も、彼らと共に思い出を作っている存在なのだと。

ドゲンジャーズはそう言ってくれる。


エンドクレジットの

「朝ごはん・ケータリング
 差し入れをくださった全ての皆様」

「制作
 応援してくださる全ての皆様と、ドゲンジャーズ5製作実行委員会」

の文字には、彼らの真心が詰まっているように思う。


「福岡(この街)の文化」として、着々と歩みを進めるドゲンジャーズから、今期も目が離せない。


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