今宵、桜の木の下で
もう20年も前のある日、共通の知り合いから「きっと気が合いますよ」と、紹介された。
Emmeさんという歌い手さん。
Emmeさんの発声は、少し変わっていた。
和風というか、全体的にコブシがおもしろい感じで入っていた。
聞けば、幼い頃から日本舞踊を習い、16才ですでに名取り。短大卒業後には、EPOさん、ユーミンさん、渡辺美里さんなどのコーラスとして、レコーディングやツアーでバリバリに活躍されていたという。
「じゃあ、何処かでお見かけしていたかもしれないですね〜」
と言いつつ、代官山のカフェで紅茶を飲んだ。
2回目にお会いした時には、3曲のアイルランド曲に詞をつけるよう依頼された。
そのうちのひとつが、淡い春の、まだ寒い夜を思い起こさせた。
生きていくことは、桜のように、ただただ、はかない春を繰り返すこと。
そこにあるものを、無条件に受け入れ、抱きしめること。
理由や答えなど、求めず、ただ生きること。
そんな凛とした生き方が、Emmeさんに似合うと思った。
20年経っても、そのイメージは変わらない。
背筋がピンと伸び、それでいて、たおやかな美しいひと。
彼女から学ぶことは、今も沢山ある。
曲 アイルランド民謡
詞 Chang Jung (佐藤純子)
Emme「今宵、桜の木の下で」
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=e3OQ2pzDvBM