夏のかき氷の思い出withペんぎんさんとペンちゃん
ある夏の日の朝。
三毛猫三姉妹は森の中、仲良く手を繋いでお散歩していました。
鳥さんの囀りやセミの声が聞こえる爽やかな森。三姉妹はおしゃべりしながらてくてく歩きます。
そのうち、急に小雨がパラパラと降ってきました。
「雨が降ると、緑の匂いが濃くなるし、お花や葉っぱについている雫がとてもキレイだにゃ!」なんて話していました。
「本降りになる前に帰ろうかにゃ?どうしようか。」
三姉妹で歩きながら話していると、散歩道の横にある畑の、優しいおばあちゃんが声をかけてくれました。
「あらー、三毛猫三姉妹ちゃんお散歩?急な雨ね。小雨でも傘がないと濡れるでしょう?」と、里芋の茎が長くて大きい葉を、傘代わりに二つ分けてくれました。
「葉っぱが大きいから三姉妹で二つでちょうど良いわね。」
「ありがとうございにゃす!」
葉っぱの傘で三姉妹仲良くあいあい傘しながら、ウキウキと夏の雨を楽しみながら歩いています。
しばらく歩くと、同じように葉っぱの傘を持った、ペんぎんさんに出会いました。
「お久しぶりですね!三姉妹さん。」ニコニコ笑顔のペんぎんさん。
「お久しぶりです!ペんぎんさん。」と、おじぎをする長女ちゃん。
「ペんぎんさん、葉っぱの傘がわたしたちとお揃い♪会えて嬉しいですにゃ!」くるりと回る三女ちゃん。
「お元気でしたか?それにしても…とっても美味しそうなかき氷を持ってますにゃあ!」食いしん坊の次女ちゃんがウィンクしています。
三姉妹は次々とペんぎんさんに挨拶しました。
久しぶりの再会を、みんなとても喜びました。
「今日は、夏の雨を楽しみながら、特別に外で『PUBペんぎん』を開店しようかと思っていまして。
よろしければ、ぜひ三姉妹さんもいらっしゃいませんか?スペシャル南極かき氷を作りますよ!
それに、ペンちゃんも来てくれるそうなんです。」
「わぁー!ご招待してくれるのですか?」
「最近、母ちゃんとお友達になってくれたfluteさんのお家のペンちゃんにも会えるにゃんて!」
「とっても嬉しいですにゃ!」
三姉妹で顔を見合わせてウキウキしています。
『PUBペんぎん』とは、
ペんぎんさんが気が向いた時に開店する、海の中にある、隠れ家的なPUBです。
母ちゃんから話を聞いてはいたけれど、三姉妹は「わたしたちは海の中を泳げないから行けないにゃあ。」と諦めていました。
「とっても嬉しいにゃあ!せっかくなので、ちょっとオシャレしてきても良いですか?母ちゃんにも伝えなくっちゃ。」
「それでは、3時のおやつの時間に森の芝生広場に集合しましょう。」
三姉妹はあいあい傘をしながら、ペんぎんさんにペコリと頭を下げて、一度お家に帰りました。
・
家に帰ると三姉妹は、早速母ちゃんに話しました。
母ちゃんは、お揃いの淡い水色のワンピースを着せてくれて、ペんぎんさんとペンちゃんへのプレゼントを2つ、そして庭のヒマワリを持たせてくれました。
「母ちゃん、これは何だにゃ?」
「いい香りがするにゃあ。」
クンクンクン…
「これはね、バラとマカロンの入浴剤なの。ペんぎんさんとペンちゃんは、温かいお風呂に入るのか分からないのだけど。
深めのお皿に水をはって入れると、ほのかに良い香りがして、キラキラとバラの花びらが広がっていくのよ。
マカロンは美味しそうだけど、食べれないですよ!って伝えてね。じゃあ、みんなで楽しんできてね。」
「はーい。行ってきにゃーす!」
・
ぴったり3時。
三毛猫三姉妹は芝生広場に着きました。
芝生広場とは思えないくらい、お洒落な『PUBペんぎん』が出来上がっていました!
「にゃんともステキだにゃあ!!」
「絵本の中に出てくる、夢のパーティーみたい。」
「見て!ハート型の葉っぱもある!雨の雫でキラキラ輝いてるよ。」
美しい模様の花瓶には雨よけの大きな葉っぱが生けられ、大きな丸テーブルには大切に使い込まれたかき氷機と、いちごのシロップ。かき氷のカップとシルバーのスプーン。
小さな丸テーブルには、丁寧に磨かれたカクテルグラスと、シェイカーが置いてありました。
花びらのような形の椅子も用意されています。
「ペんぎんさん、お招きありがとうございにゃす!」
「いらっしゃいませ、三姉妹さん。」
ペんぎんさんは真っ赤な蝶ネクタイをしていました。
肩や蝶ネクタイには、準備の時にかかった雨の雫が輝いています。
「すごいにゃあ!どうやってこんなにステキなお店をご準備されたのですか?蝶ネクタイもかっこいいにゃあ。」
「ペンちゃんが沢山手伝ってくれたのですよ。三姉妹さんの傘代わりの葉っぱも、あちらの花瓶に生けてくださいね。」と、花瓶に手を向けるペんぎんさん。
ペんぎんさんの後ろから、可愛いペンちゃんが、光沢のある赤いスカーフを首に巻いて、『キリリ!』と出て来ました。
「三毛猫三姉妹さん、はじめまして!」ちょっと照れて、ほっぺたをピンクに染めたペンちゃんが、ニコっと笑いました。
「ペンちゃんはじめまして!私が長女です。」
「私は次女です。これから仲良くしてくださいにゃ。」
「ペンちゃん、私が一番可愛くてしっかり者の三女ですにゃ!ペンちゃん、スカーフとってもお似合いです!」
「えー?三女ちゃんがしっかり者?」みんなで笑います。
「僕はfluteさんの相棒のペンちゃんです。大好きなペんぎんさんに『今日は、小雨のお外でPUBペんぎんを開店するんです』と聞いて、嬉しくてお手伝いに来ました。そうしたら、三姉妹さんも来られると聞いて、ウキウキ準備していたんですよ!」
「わたしたちも楽しみにしてましたにゃ!」
「三姉妹さん、ワンピース可愛らしいですね。」
「ありがとうございます!母ちゃんの手作りにゃんですよ。」
裾を持って、それぞれポーズをとりました。
「それでは、スペシャルメニューをお持ちしますので、三姉妹さんは椅子におかけになってくださいね。」
ペんぎんさんがお席に案内してくれました。
三毛猫三姉妹はドキドキワクワクしてメニューを見ます。
三姉妹は声を揃えて「スプモーニと南極かき氷をお願いしにゃす!」
次女ちゃんは「わたしはフィッシュ&チップスも食べたいにゃ。」
「わたしも!わたしも!」長女ちゃんと三女ちゃんも嬉しそうにオーダーしました。
「はい、かしこまりました。お作りしますので、少しお待ちくださいね。」
ペんぎんさんが、あらかじめ揚げておいてくれたフィッシュ&チップスを丁寧にお皿に盛り付けてテーブルの後ろに置き、透明で美しい南極氷をかき氷機にセットします。
『シャッシャッシャッ…』っと、氷を削る涼やかな音が芝生広場に響きます。
ペンちゃんは、ヒラリ!と小さなテーブルに乗り、手際よくシェイカーを振り始めました。
「ペんぎんさんも、ペンちゃんもカッコイイにゃ。」三姉妹は椅子に座って、ウットリと眺めます。
ペんぎんさんは、雪のように白くて細かいフワフワのかき氷の上に、たっぷりとイチゴシロップをかけました。
「お待たせしました。南極かき氷です🍧」
「まずは三女ちゃんからどうぞ。」三女ちゃんに手渡してくれました。
カップも冷たいかき氷を受け取り、
「わぁぁ、可愛くて美味しそう!」
くりっとした丸い目でかき氷を見つめています。
「僕も、スプモーニ🍹出来上がりましたよ!」
ペンちゃんのテーブルに、虹色の美しいスプモーニが並んでいます。
「わたしたちからも、ペんぎんさんとペンちゃんに、プレゼントがあるんですにゃ!」
長女ちゃんはヒマワリを差し出します。
「これは母ちゃんから預かったプレゼントですにゃ。」
次女ちゃんは、可愛くラッピングされたプレゼントの袋を手に持っています。
「ありがとうございます。わざわざ気を使ってくださって。」
「とても嬉しいです!」
ペんぎんさんも、ペンちゃんも喜びました。
「それでは、ヒマワリは花瓶に生けて、プレゼントは後で見させてもらいますね。」
長女ちゃんと次女ちゃんが、三女ちゃんを見ると、もうかき氷を食べはじめているではありませんか!
「三女ちゃん!まだ、みなさんで『いただきます』していませんよ。」
長女ちゃんが、三女ちゃんをたしなめると、
「一口味見しただけにゃ。だって、待ちきれなかったんだもん。」えへへと笑う三女ちゃん。
「全然しっかり者じゃにゃいわよ。」と、あきれ顔の次女ちゃん。
ペんぎんさんとペンちゃんも笑っています。
「まあ、いいじゃないですか。かき氷が溶けないうちに、みなさんでいただきましょう!」
「いただきまーす!」
みんなでかき氷をパクリ🍧
フワッフワのかき氷がシャリっとヒヤッとしたかと思うとサーッと溶け、口の中いっぱいにイチゴシロップの甘酸っぱさが広がります。
「こんなに、にゃんとも美味しいかき氷、食べたことがにゃい!」次女ちゃんがビックリしています。長女ちゃんも、ペンちゃんも、三女ちゃんも頷きながら食べました。
「喜んでいただけて、とっても嬉しいです!」
笑顔のペんぎんさん。
「それでは、スプモーニも冷たいうちにどうぞ。」
ペンちゃんが、みんなにサーブします。
虹色に輝くスプモーニ🍹
「うわぁキレイ!爽やかな味で、口の中で不思議とパチパチしますにゃ!美味しーい。」
「ペんぎんさんに、作り方を教わってから、お家で何度も練習して、fluteさんに味見してもらっていました。」
「ペンちゃん、とっても美味しくできていますよ。」ペんぎんさんも喜んでいます。
ペンちゃんは照れながらみんなと一緒に飲みました。
「こちらはフィッシュ&チップスです。どうぞ召し上がってください。スプモーニに合いますよ。」
フィッシュ&チップス🐠
フィッシュフライは食べると、サクッと音がして、モチモチのお魚の中からはジュワっと旨味があふれます。
プライドチップスは、パリパリと歯応えがよく、丁度よい塩加減でパクパク食べちゃいます。
「フィッシュ&チップス初めて食べましたにゃ!スプモーニに、とても合います!」
みんなで楽しくおしゃべりしながら食べました。
「プレゼント、見ても良いですか?」
とペんぎんさんが言うので、
「ぜひ、見てみてくださいにゃ!」
次女ちゃんが嬉しそうに応えました。
ペんぎんさんとペンちゃんが、中身はなんだろう?と、ラッピングを開けようとすると三女ちゃんが、
「今開けると、雨で濡れちゃうので、お家に帰ってからのお楽しみにしてくださいにゃ!あと、母ちゃんが『食べないでください』って言っていました。」
あら、こういう時は意外としっかりしてるのね。と、次女ちゃんがニコニコしました。
「深めのお皿に水をはって、プレゼントを入れてみてください。」
長女ちゃんも母ちゃんの話をニコニコしながら伝えました。
みんなでお片付けをして、PUB ペんぎんは閉店に。
芝生広場も、いつもの広場に戻りました。
「今日は、美味しいお料理と、みんなで楽しくおしゃべりできて、ステキな時間を、ありがとうございにゃした。」
三毛猫三姉妹がペコリとおじぎをしました。
ペンちゃんも、
「とても幸せな時間でした。初めてお会いできた三姉妹さん、そしてお招きくださったペんぎんさん、本当にありがとうございました。」
みんなの顔を見て言いました。
すると、ペんぎんさんが、
「今日はご来店ありがとうございます。みなさんに喜んでいただけて、とても嬉しいです!実はわたしからも、みなさんにお土産があります。」
みんなにそっと、小さな袋に入ったお土産を手渡しました。
「三毛猫三姉妹さん、お母さんに『プレゼントありがとうございます』と、お伝えください。
ペンちゃん、fluteさんに『スプモーニの練習の味見をありがとうございます』と、よろしくお伝えください。」
手を振りながら、それぞれのお家へ帰りました。
🏠🎁
ペんぎんさんは、三姉妹のお母さんからのプレゼントのラッピングを開けてみました。箱の下には小さなカードがありました。
「わぁ、美しくしいバラ。」
早速、水をはったお皿に黄色いバラを浮かべてみました。
すると、水の中で花びらがゆっくり広がり、キラキラと輝き、お部屋の中は優しいバラの香りに包まれました。
そして、小さなカードを見てみると、
『ペんぎんさんへ
我が家の三姉妹と仲良くしてくれてありがとう。
私はいつも、ペんぎんさんの美しいお花の写真や詩に癒やされています。
ペんぎんさんも、お花の香りでリラックスできますように。
じゅんみはより。』
三姉妹のお母さんからのお手紙でした。
わたしの写真を喜んていただけて嬉しい。これからまたバラの季節がやってくる。写真を撮りたいな…。バラの香りのお部屋で、いつの間にかウトウト眠っていました。
ペンちゃんはfluteさんに、
「とっても楽しかったよ!練習したスプモーニも喜んでもらえたの。三姉妹ちゃんと、ペんぎんさんから、プレゼントもいただいたよ。」
一緒に三姉妹からのプレゼントを開けてみました。
「バラとマカロン!マカロン美味しそう!」
「あらペンちゃん、『食べないでね』って三姉妹ちゃん達に言われたのでしょう?」うふふと笑います。
fluteさんがお水をはったお皿にマカロンを入れてくれました。すると、
『シュワシュワシュワ』っとマカロンから泡が出てきて、甘ーい香りがしました。
「魔法みたい!」ぴょんぴょん跳ねて喜ぶペンちゃん。
「バラはfluteさんがお風呂に入る時に使ってみて!僕にも見せてね。」
「私にも分けてくれるの?ペンちゃんありがとう。」
「箱の下に、小さいカードがあったよ!」
三姉妹のお母さんからのお手紙でした。
「ペんぎんさんのお土産は何かな?」
「もう夜遅いから、お土産とお手紙は明日の朝のお楽しみにしましょう。」
「はーい!おやすみなさい。」
三毛猫三姉妹は、いっぱい楽しい時間を過ごしたので、お家に帰ってすぐに寝てしまいました。
朝起きて、母ちゃんと一緒に、ペんぎんさんからのお土産を開けてみると…。まるで海のような色のビー玉が入っていました。母ちゃんがガラスの器にビー玉を入れてくれたので、三姉妹で器の中を覗き込みました。
「母ちゃん!ビー玉を見ていると、海で泳げないわたしたちも、海の中のキラキラした世界にいるみたいだにゃ!」
「そうだね。ペんぎんさんは、ふるさとの南極の海を、きっとあなた達にも見せたかったんだね。」
三姉妹も母ちゃんも、幸せな気持ちになりました。
ペンちゃんとfluteさんも、朝になってペんぎんさんのお土産を開けてみました。
「ペンちゃん見て、ビー玉だよ!なぜだか、私とペンちゃんが出会った北海道の動物園を思い出すね。」
fluteさんが一つ、ベランダに置いてみると、ビー玉に太陽の光が差し込んで虹のような光が輝きました。
「雨の後には虹がかかるって本当なんだ!」ペンちゃんはまた、飛び跳ねて喜びました。
三姉妹ちゃんのお母さんからのお手紙も見てみようね。
『ペンちゃんとfluteさんへ
お二人の優しいお話や声、そして楽しいお出掛けの写真に、幸せをおすそ分けしてもらっています。
ありがとう。
マカロンの甘い香りと、バラの柔らかい香りで、リラックスできますように。
これからも我が家の三毛猫三姉妹と仲良くしてくださいね。
じゅんみはより。』
☀
「楽しかったね!またみんなで会いたい。幸せな時間を作ろう。そのために自分のできることをやってみよう!」
みんなが、それぞれのお家で、同じ気持ちで晴れた空を見上げていました。
『大切な夏の思い出』が心の中で輝きました。
おしまい。
🍧🍹🐟 😺😺😺🐧🐧
・あとがき・
6月半ばから始めた、絵と童話のようなお話のコラボ作品作り。
気付けば、すっかり風が凉しく、景色も秋色へと変わった9月に、やっと完成することができました!
私の絵は、けっして上手ではありません。けれど、頭や心に浮かんだイメージを何度も何度も描いたり直したりしながら一生懸命描きました。
写真撮影も下手で、描いた絵の色が出ず、何回も撮りました。
それでも、原画の色とはかなり違います。難しいですね。
いろいろな事がある中で、絵や童話の創作はとても楽しい、幸せな時間となりコラボ作品を作れて、本当に良かったです。
この作品は、ペんぎんさんの「withかき氷」を拝見して、わぁ!コラボしたいです!と、ペんぎんさんにお願いして出来た作品です。お話も「PUB ペんぎん」を読んで考えました。
創作過程をnoteに何度も上げて、その度に、沢山のnoterさん達に優しく温かく応援していただき、とても励みになりました。ありがとうございます。
コラボを快諾してくださった、ペんぎんさん、ペンちゃんとfluteさん、ありがとうございます。
今、この童話を読んでくださったみなさん、ありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいです☺
これからもみなさんの心に
「小さな幸せと笑顔を届けられますように!🍀」と思っております。
じゅんみは
・このコラボ作品の紹介です・
コラボ作品の創作過程マガジン
ペんぎんさん🐧
美しいお花の写真やステキな詩、とってもキュートでラブリーな絵も時々描かれます!
ペんぎんさんの「PUB ペんぎん」
fltutさん🐧
心が柔らかくなり落ち着くお話や、ペンちゃんとの楽しいお出掛けの写真、絵を書かれます!
コラボ作品の創作過程の画像を観るペンちゃん♪
fluteさんが、ステキなnoteでこの記事を紹介してくださいました!また感謝の涙です
去年の夏の、ペんぎんさんとのピクニックのコラボ作品です
去年の、ペんぎんさんとのハロウィンパーティーのコラボ作品です
小さな幸せをみつけて笑顔でいたい🍀
秋も楽しみたい♪と思っております☺