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ペルソナvsアーキタイプ どう使い分ける?その境界線とは

こんにちは、丸山潤です。
日本では「ペルソナは必要か、不要か」という議論をよく目にしますが、海外ではむしろ「ペルソナ vs アーキタイプ」というテーマが話題になっている印象を受けます。ただし、日本で「アーキタイプを使っています」という話を耳にすることはあまりありません。そこで今回は、海外の記事を参考に、この「ペルソナ vs アーキタイプ」について深堀りしてみたいと思います。


ペルソナ・アーキタイプについて

以下の記事を参考に解説します。

ペルソナとは?

ペルソナは、特定のタイプのユーザーを仮想的な人物像として表現したものです。名前、年齢、職業、住んでいる場所、経歴などの具体的な情報が設定され、実際のユーザー像をイメージしやすくします。

アーキタイプとは?

アーキタイプは、共通の行動や考え方でユーザーをグループ化したものです。1つのアーキタイプには、異なるタイプのユーザーが複数含まれることがあります。例えば、購入や情報検索、求人への応募など、共通の目的や行動パターンに基づいてまとめられています。

以下の図は、ペルソナとアーキタイプの違いを示しています。

下記のサイトから引用したものですが、それぞれのフレームワークの特徴を示しています。一見すると、大きな違いはないように感じるかもしれません。

ペルソナ・アーキタイプの違い

アーキタイプレームワーク

アーキタイプフレームワーク

ペルソナフレームワーク

ペルソナフレームワーク

ここからはもっと深掘りするために下記を参考に要約していきます。

それぞれの視点の違い

ペルソナの視点

ペルソナは、客観的な視点に焦点を当てており、会社やチーム、製品に対する世間の期待を具体化します。その役割は、「私たちはどのような価値を顧客に提供すべきか」を定義する枠組みを作ることです。

アーキタイプの視点

アーキタイプは内省的な要素を持ち、会社やチームのビジョンや姿勢を具体化します。ペルソナが顧客やそのニーズを描写するのに対し、アーキタイプはつまり、「私たちはどのように行動し、考えるべきか」を問いかけます。具体的な行動指針を縛るものではなく、最終的な成果を導くための方向性を提供するものです。

シンプルさ vs 豊かさ

ペルソナはシンプルで具体的な目的を持ち、不要な解決策が生まれるリスクを減らします。この手法は「還元主義」に基づき、情報を簡素化してリスク回避を図る点で優れています。ただし、人間にとって特に刺激的・創造的な手法とはいえません。
一方で、アーキタイプは「現象学」に関連が深いとされ、主観的な視点を重視します。多様な解釈や選択肢を広げ、リスクを取る余地を提供するため、ペルソナよりも変化を生み出す力が強いといえます。一方、ペルソナは、デザインの範囲を外部的に定義することには適していますが、アーキタイプほど柔軟性や創造性を持たせることは難しいでしょう。

戦略か戦術か

ペルソナとアーキタイプを区別するもう1つの特性は、その適用範囲です。戦略が成功するには、ビジネス、テクノロジー、デザインの決定を行う際に適用される一連の価値観を伴い、会社もしくはチーム全体にとって普遍的な意味を持つ必要があります。
ペルソナは規範的で、料理本のレシピのような戦術的アプローチに適しています。「十分な結果を得るために従うべき手順」を示し、具体的な行動指針を提供します。ただし、戦略性には乏しい面があります。
アーキタイプは、戦略的な要素を備えています。その性質は開放的で可能性に満ち、「何のために戦うべきか?」「何が理にかなっているのか?」「誰の役に立つのか?」といった問いを引き出します。チームや個人に共通の価値観を基にした「課題」を定義するのに適しており、具体的な計画や行動指針ではなく、挑戦するための枠組みを提供します。

下記の記事でUXリサーチの戦略と戦術の違いを説明していますが、こちらも読むとより理解しやすいと思います。是非ご参考にしてください。

まとめ

ペルソナとアーキタイプのどちらを使うべきかは、「どの視点で考えるか」「戦略的か戦術的か」によって異なります。さらに、NNGの記事(こちら)にもあるように、チームのメンバーがペルソナに対して懐疑的だったり、マーケティング重視のペルソナ設定に偏りがちな場合には、アーキタイプへの切り替えが効果的な場合もあります。
個人的には、両方の手法を正しく理解し、それぞれを適切に使い分けることが重要だと考えています。

その他私へ直接ご相談をしたい方は下記よりお願いします。


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