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感想が揺れ動く映画PERFECT DAYS

観よう観ようと思いながら時が経ち
漸く鑑賞しました

東京都渋谷区の公衆トイレ
黙々と丁寧に仕事をするトイレ清掃員/平山という男の物語り

自分自身の感想が木漏れ日みたいに
揺れ動きました

注)ネタバレがあります

感想その1
役所広司の演技が素晴らしい

これは映画鑑賞前から信頼していた点です。既に他のnoterさんが色々な角度から語ってくださっています。役所広司が公園の掃除なんてするわけないのに、存在感が凄いから説得されてしまいます

今回、私はトイレ清掃員です

はい、わかりました

粛々と日々のルーティンをこなす平山(演/役所広司)は東京押上の古いアパートで一人暮らし、独身に見えます。場所柄、スカイツリーが常に平山の生活の傍らにあります。

起床→歯磨き→口髭を整えて
→鉢植えにミストして→いざ出勤

無駄なく朝の準備を完了して割り当てられたトイレの掃除へ出向きます。ここで驚くのが現場のトイレの素晴らしいこと

それもそのハズ
THE TOKYO TOILETというプロジェクトが協賛して作られた本作品。名だたる著名な建築家の手によるトイレが次々に登場します。まるで遊園地のアトラクションのように巡りたくなる名所ならぬ名トイレがズラリ。それらを平山は真剣に掃除しています。手際よく熟練の技で磨いていき、便座のウラは手製の鏡に映して汚れをチェックするくらいの入念ぶり。こんな人が掃除してくれていると思うと外でトイレに行くときは襟を正さなければと決意せねばなりません。

平山は、自宅と職場だけを往き来しているだけではありません。行きつけの居酒屋、銭湯、カメラ屋、古本屋からコインランドリー、スナックに至るまで平山の静かな生活に欠かせない場所が紹介され、説明口調がないので淡々とした会話と東京の映像が美しく滑らかに脳内に入り込んできます。平山は昼休憩中の公園で木漏れ日をオリンパスのフィルムカメラで撮影しています。これは彼のルーティンの一つで、木々の間からキラキラ漏れ出て差し込む日光を捉えたいと願う贅沢なひとときと言えるかもしれません。同時に、公衆トイレを清掃する平山自身からは隠し通せない品と知性、溢れそうな情緒がジワジワ漏れ出ています。そういう意味で平山の役を役所広司が演じていることに納得させられます。ヴィム・ヴェンダース監督が美しい日本の景色として東京の公園で味わえる「木漏れ日ーKOMOREBI」を美しく切り取ってくれます。木漏れ日というワードは英語にするのが少々難しいようで、監督が日本の情緒を大切にしてくれているのが分かります。

感想その2
トイレが立派

前述の通り、平山が清掃するトイレはもはや聖地巡りしたくなるような芸術作品です。このトイレなら私でも掃除するわよ、大して汚れていない...そんな胸の内はさておき、今後渋谷を散策するときに覗いてみようと思う「映える」トイレ達です。このプロジェクトが渋谷区だけでなく日本全国へ知れ渡ったら治安面の向上やインバウンドの更なる呼び込みの一助になるだろうと思いました。

一例を載せます 
写真は全てTHE TOKYO TOILETのHPから抜粋しました

恵比寿東公園トイレ 恵比寿1-2-16   
槇文彦デザイン

タコ公園にあるイカ型のトイレ
ユニバーサルトイレブースも広々

はるのおがわ
コミュニティパークトイレ 
代々木5-68-1  
坂茂デザイン

人がいない時はスケルトン
中から鍵をかけたら不透明になる
夜のライトアップも綺麗
トイレが楽しい時間

鍋島松濤公園トイレ 松濤2-10-7
隈研吾デザイン

森の入口のような外観
木材の断面がオシャレ
もはや住めるな

東三丁目公衆トイレ 東3-27-1
田村奈穂デザイン

エッジの効いたレッド
線路沿いに建っています
男性トイレ

汚したらMOTTAINAIトイレが
そこにあります。

感想その3
映画のサブタイトルに違和感

こんなふうに生きていけたなら

この映画のサブタイトル
これには違和感を持ちました。物語の主人公は何やらワケありの独居男性です。修行僧のように私欲を抑え、
優しく寡黙で仕事熱心。年下の同僚から金を無心されても動じません。スナックのママには特段気に入られてしまう人徳者、人格者にも思えます。

こんな風に生きていけたなら

一見、世捨て人の様でいて来るものは拒まない平山はみんなに好かれています。コミュニケーションは必要最低限なので会話が少ないものの、訪問者が求めているものをそっと差し出したり寄り添ってくれます。

こんな風に生きていくのは
至難の業

平山が選んだ上でトイレ清掃員という職業に就いていることが映画の後半で分かります。何なら上級国民の匂いすらします。世捨て人に見えて、愛し愛される家族が少し離れた距離にいる環境、選べる立場にあることが分かってしまいます。本当に没交渉ならば、不仲ならば、あの場で妹を抱きしめることはない..ここも違和感がありました。

選べる立場なら
独居は豊かな時間

持っている人からのメッセージによるファンタジーの世界

平山の表情を豊かに表現している
役所広司の演技が素晴らしかったです。

研ナオコが出演していたそうで...
全く気がつきませんでした。

配信されたら確かめたい
Junko Summer

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