膝の痛みを推理(4)空回りヒーローの 外側
目次
4・空回りヒーローの 外側
4・空回りヒーローの 外側
膝の外側の痛みの代表的なものは、腸脛靭帯炎です。
ランナー膝とも呼ばれ、その原因は、トレーニングのし過ぎの他、柔軟性の低下や筋力の低下と言われています。
この痛みが、激しいスポーツをしていないのに発生するときは、
コミュニケーションの中に、ランナー膝の原因に似た行為があるのかもしれません。
(症例1)ランさん60代女性
右膝外側の痛み 右股関節の痛み
発症時期:2020年9月から
足上げテスト:コミュニケーションに関するメッセージ
反射点:範囲(自分がサポートできる範囲の見極め)・複数対1のコミュニケーション
問題のコミュニケーションの相手:1人(誰かと自分、あるいは、自分対自分)
相手の性別:女性
というキーワードが出てきたので、
心当たりがないか聞いてみると、
ラン「孫のために、必死にサポートしていたのですが、何だか1人で空回りしている感じなのです」
山口「お孫さんにはランさんのサポートが必要なのは確かなのですが、問題はその方法、あるいは範囲みたいですね」
その後の数週間、ランさんは、キーワードに当てはまる自分の行動を検証しました。
ラン「山口先生!解りました!わたしが孫のためにできることは、注意をすることよりも、近くでお手本を見せ続けることでした!」
この症例は、非常に難易度が高いものでした。
最初に相談にみえた時は、ランさん本人の症状のことではなく、
お孫さん(0歳)のお顔の湿疹でした。
かなり酷いもので、病院からの処方箋でステロイドが出されています。
こんな強い薬、塗りたくない。
でも、塗ってあげないと痒そうで辛そうで見ていられない。
赤ちゃんのお母さんは、毎回胸を絞めつけられる思いで薬を塗っています。
0歳の赤ちゃんの症状は、ほぼ100%身代わりです。
そこで、おばあちゃんのランさんが、わたしに解読を依頼してきたのです。
赤ちゃんは、誰を助けようとしているのか。
最初に疑ったのは、赤ちゃんのお母さん。
今までの同様の症例を参考にすると、その確率が高いからです。
ところが、お母さんのお体をチェックすると、違うと出ます。
誰だ誰だ?と探して、浮かびあがったのが、今年小学校1年生になったお姉ちゃん。
その子が使う言葉の中に、知らずにお友達を攻撃している表現があったのです。
小学校1年生の子どもが使う言葉の大半は、身近にいる大人の真似です。
そのため、まずは大人が問題の言葉に気づく必要があります。
ここで体は考えます。
0歳の赤ちゃんの育児をしているお母さんの体に症状を出しても、自分のことは後回しにしてしまう。
どうすれば大人たちはこの問題に真剣に取り組むのか。
そこで体は、0歳の赤ちゃんのお顔に湿疹を発生させたと思われます。
体の思惑どおり、周りの大人たちが動きはじめます。
2020年の9月といえば、新型コロナウィルスの影響で、新学期のが9月ころにずれ込んでスタートしていました。
小学校1年生のお姉ちゃんは、その危険な言葉で、孤独になってしまうかもしれない危機に瀕していました。
解読によって、その言葉はすぐに見つかりました。
そこからお姉ちゃんの言葉の矯正プロジェクトが始まったのですが、少しでも早く赤ちゃんの身代わりの症状を消したいばかりに、ランさんは必死になります。
お姉ちゃんの言葉に神経をとがらせ、気がついたらその場で注意をする。
必死なあまり、お母さんとランさん2人対1で注意をしてしまう。
そのタイミングで、ランさんの右膝の外側に痛みが発生しました。
この時のことをランさんはこう振り返っています。
ラン「あの時は、自分が孫を救うんだー!って気負いすぎて、空回りしていました。
頑張っても頑張ってもやり終えた感覚がなく、嫌な疲れが残るんです」
右膝の外側からはじまった痛みは、右の股関節まで広がり、足を踏み込むときに特に痛むようになりました。
この痛みの特徴が、ランさんのひらめきをサポートします。
踏み込みすぎ
ランさんは、自分が踏み込みすぎているのかもと感じ、
あらためて自分がお姉ちゃんのためにできる範囲を模索しはじめます。
そして、
ラン「先生、やっと解りました。自分はにできることは、
お姉ちゃんの言葉を逐一注意することではなく、
お手本の言葉を近くで聞かせ続けることなのですよね。」
ランさんがそのことに気づき、その役割に徹し始めると、赤ちゃんの湿疹がみるみる消えてきました。
山口「おー!そうですかー。それで膝の痛みはどうなりましたか?」
ラン「全く痛くないです。痛みが続いていたときは、ああこれが年配の人がよく言っていた持病ってやつなのかと思って、あーあ、いよいよわたしもこのまま一生この痛みと付き合っていくのかと覚悟していたので、もう、嬉しくて」
山口「以前は頑張ってもやり終えた感じがなかったとおっしゃっていましたが、今は以前より頑張る分量はかなり減ったと思うのですが、やり終えた感はどうですか?」
ラン「それが不思議なんですが、ほんとうに今は自分が使う言葉に注意をはらうだけなのに、充実感があるんです」
膝の外側の痛みの代表的なものは、腸脛靭帯炎です。
ランナー膝とも呼ばれ、その原因は、トレーニングのし過ぎと言われています。
この症状を出すスポーツ選手の中で、主将やエースのような、みんなを引っ張っていく立場にいる割合がとても多いことにわたしは注目しています。
チームのためにという責任感が、気負いとオーバーワークにつながった時、
体は、膝の外側の痛みを使って、一旦立ち止まらせ、
自分がチームのためにできる範囲を確認させているのかもしれません。
同様に、愛する人が辛い思いをしている時、自分が助けなければという責任感が、
気負いとオーバーワークにつながった時、
体は、膝の外側の痛みを使って、一旦立ち止まらせ、自分が愛する人のためにできる範囲を確認させているのかもしれません。
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