"監督賞"編:第96回 米アカデミー賞 大予想!!
3月11日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。
最高峰の映画の祭典の開催まで、残り3日!
そんななかで今回は、オスカー主要6部門の中の一つである監督賞の予想をしたいと思います!
各部門のノミネーション一覧はこちら。
本命:クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)
大本命は、『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン。これは間違いないでしょう。
"原爆の父"ロバート・オッペンハイマーの栄光と苦悩。これまでのノーラン作品と比べれば一見地味に思える作風ですが、カラーと白黒の対比で描かれる2つの物語を纏あげたその手腕はさすがでした。
『ダークナイト』(2008)や『インターステラー』(2014)を世に送り出した、現ハリウッド最高のヒットメーカー。しかし意外にも監督賞ノミネートは『ダンケルク』(2017)以来2度目。賞レースには無縁と言われてきたノーランが、初の栄光を手にすることになるでしょう。
対抗:ヨルゴス・ランティモス(『哀れなるものたち』)
稀代のクレイジー監督ヨルゴス・ランティモスが、『哀れなるものたち』よりノミネート。『女王陛下のお気に入り』(2018)以来2度目のノミネートです。
まあ…とにかくあの世界観を作り上げたのは素晴らしい。まるで抽象画の世界へ飛び込んだかのような摩訶不思議な物語は、ランティモスにしか作れません。
単穴:ジュスティーヌ・トリエ(『落下の解剖学』)
昨年のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『落下の解剖学』より、ジュスティーヌ・トリエが初ノミネート。今回唯一の女性監督のノミネートです。
ヨーロッパ映画特有のゆっくりとした展開と、空白の多い物語でありながら、映画を全く飽きさせないという非常に高度な作品構成でした。監督とともに脚本も務めており、脚本賞にもノミネートされています。
ちなみに女性監督でパルムドールを受賞したのは、ジェーン・カンピオン(1993,『ピアノ・レッスン』)、ジュリア・デュクルノー(2021,『TITANE/チタン』)に次いで3人目。これからもっと増えてほしいですね…。
穴:ジョナサン・グレイザー(『関心領域』)
昨年のカンヌ国際映画祭にてパルムドールの次点グランプリを受賞した『関心領域』より、ジョナサン・グレイザーがノミネート。
アウシュヴィッツ収容所の隣に新居を構えた家族の話。社会に”無関心の恐ろしさ”を問いかける問題作です。
これまで『セクシー・ビースト』(2000)や『記憶の棘』(2004)など、大衆映画というより芸術映画を手掛けてきたグレイザー。ついにアカデミー賞初ノミネーション獲得です。
ちなみに本作は、5月24日に日本公開予定です。
大穴:マーティン・スコセッシ(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)
”生きる伝説”マーティン・スコセッシが、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』より、4年振り10度目のノミネーション獲得です。
アメリカ”負の歴史”「オセージ郡インディアン連続怪死事件」を描いた本作。3時間超という上映時間もさることながら、物語の展開や主人公の描き方など、まさにスコセッシ節全開の一作でした。また、ディカプリオとデ・ニーロというスコセッシ組の新旧看板俳優が揃い踏みしていることも胸アツでしたね。
ただ、まあ…もうオスカーを獲ることはないでしょう(笑)。
前哨戦の結果
ゴールデングローブ賞・英国アカデミー賞に加えて、全米監督協会賞も受賞しているので、これでクリストファー・ノーランが獲らなかったら、多分暴動が起きるレベルです。
ただ今回の監督賞で一番気がかりなのは、(まあ毎年のことなんですけど…)女性監督の冷遇ぶりですね。
全米監督協会賞新人賞のセリーヌ・ソンがノミネートされていないのは気がかりです。まあでも、『パスト ライブス 再会』は作品賞にノミネートされているので百歩譲りましょう。
…でも、『バービー』のグレタ・ガーウィングがノミネートされていないのはおかしいっ!思い返せば、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)でもノミネートされてなかったよなぁ!スコセッシとかもういいから、ガーウィングをノミネートしろよ、ガーウィングを!
とまあ、ライアン・ゴズリング並みに私も怒り心頭です。アカデミー賞が大好きなだけに、もっと公平な賞になるように願っております。
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