見出し画像

本当のハタラキカタ改革ってなんだろうか

https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

年5日の休暇取得が義務化され、5年ほど経過しました。
上の厚生労働省の資料にはこんなことが書かれています。

年次有給休暇は、働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。しかし、同僚への気兼ねや請求することへのためらい等の理由から、取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっています。
このため、今般、労働基準法が改正され、2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

文章には一定程度の筋が通ってますので、主旨も理解できます。
もともと休暇を取得したいというのに取得できなかった、という人はこういった数値を指定しての取り組みはウエルカムでしょう。今は休暇取得の際に理由を言わなくてもよいルールになってるものの、なんとなく言い出しづらかった人が「休暇とります(ルールなので)」と言いやすくなる。

そんな風潮を受けてか、各企業のHPを見ていると休暇取得率をアピールしている会社も多いです。

平均休暇取 年間⚪︎⚪︎日!

みたいなやつですね。
休暇取得が企業評価や就職を考えている人に対してのアピールになることを味を閉めたのか、一部の会社では ”義務化の5日に限らずもっととりなさい!” みたいなことを強いている会社もあるようです。

なんとなく、休暇取得の多い企業 →   自分の自由な時間なり家族との時間が増えてハッピーな生活が送れそう →   良い企業だ
といった論理でしょうか。

最近の出来事

自分の同僚に、小さな子供を2人抱え、さらに奥さんが病気がちという人がいます。彼(男、です)は非常に優秀で仕事もそつなくこなす男なのですが、奥さんが入院する機会が少なくなく、その度に会社を休んでいます。

他にサポートしてくれる人がいれば良いですが、入院ともなれば着替えやお見舞い、小さな子の面倒と仕事なんぞしてられない状況であるのは自分もよくわかります。

一方で会社の仕事に目を向けてみると、誰かは彼の穴を埋めなければならない。
組織の人数が多ければみんなで少しずつ負担してというのも可能でしょうが、自分の所属するグループは担当が片手で数えるくらいしかいないという状況。

となると、入院期間にもよりますが彼の仕事をまるっと他の人が肩代わりするような形になることが多いです。
で、その役は子供も独立した仕事好きな上司がやってくれることが多い。

上で話をした休暇取得は、年間で計画的に取得せよというのが第一義なのでしょうが、業務の波によっては年度末に集中して取得せざるを得ないケースもあるでしょう。
そういった時に、例えば彼の肩代わりをしていた人が無理やりにでも休暇取得する、というのは、何かアンバランスなような気もします。


結婚をし、子供を育てるというケースを想定した場合、子供の年齢によってもいろいろなステージがあります。
育休をとって育児に全振りする期間、保育園や小学校低学年など、まだまだ手がかかる時期、ある程度自分のことは自分でできるようになる時期、そして独り立ちする時期。

もちろん、今は昔と比べるとだいぶ子育て世代を支援する仕組みもルールも整いつつあるので、休暇の取得の問題と単純に結びつけることはできません。

でも、自分の置かれている立場からすると、
 ・意図せずとも家庭のために休まざるを得ない同僚
 ・ある程度自由に時間が使える仕事大好きな上司
という2人を見ていると、上司サイドに無理やり「何日以上休暇を取れ!」と指示するのは上司の仕事したいという意志を削いでないか?とも思うわけです。


一定の数値を決めてそれに向かってある程度強制的にでもやらないとなかなか社会に浸透しないというのは理解できますし、今のご時世的に社員休暇取得率の高い”ホワイト”な会社が人気を博すという構図もわかる。

でも、仮にゴールが ”万人にとってより良い社会、会社” というのであれば、働きたい人がもっと自由に働けるルールづくりも意外に大事なんじゃないの?と思った次第でした。

いいなと思ったら応援しよう!