『「おふたりさまの老後」は準備が10割』
「おふたりさまは、いつかおひとりさまになる」「おひとりさまになったら、老後の世話や手続きをしてくれる人がいない」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1973年北海道生まれ、父親が創業した石材店で墓石の営業に従事する傍ら、相続や終活などの相談を受けることが増えたため、行政書士資格を活かし、相続・遺言相談をメインとして行うようになった行政書士、ファイナンシャルプランナー、相続と供養に精通する終活の専門家で、行政書士松尾拓也事務所代表、有限会社三愛代表取締役の松尾拓也さんが書いた、こちらの書籍です。
松尾拓也『「おふたりさまの老後」は準備が10割』(東洋経済新報社)
この本は、おふたりさまの老後の準備、終活にあたって最低限知っておいてほしい知識と事前の備えについて、相続と遺言、身元保証人、老後の暮らし、葬儀とお墓という、本当に必要なことをQ&A方式でコンパクトにまとめた書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.じつは夫婦だけではすまない「相続」問題
2.おふたりさまには「遺言書」が必須です!
3.相続&遺言の「こんなときどうする?」を解決
4.配偶者が亡くなって「おひとりさま」になったら、
頼れるのは誰?
5.おふたりさまの老後の住まい方
6.おふたりさまの終活。葬儀・お墓についても考えておこう
この本の冒頭で著者は、「老後の準備、そして終活という『人生最後の宿題』と向き合うことは、あなたとあなたの回りの人たちを幸せにするためのものなのです。」と述べています。
続いて、おふたりさまに早めの老後準備が必要な7つの理由を次の通り挙げて説明しています。
◆ 財産の相続がスムーズにいかない可能性がある
◆ 住まいの整理や介護に関わる手続き、保険など日常生活がうまくできない可能性
◆ ふたりとも認知症や要介護状態になるかもしれない
◆ 認知症で資産が凍結されるかもしれない
◆ 施設入所や入院時の「身元保証」を頼める人がいない
◆ 死後の葬儀や手続きを誰にお願いするかを生前に決める必要がある
◆ お墓や仏壇を引き継ぐ人がいない
本書の前半では、「じつは夫婦だけではすまない相続問題」および「おふたりさまには遺言書が必須です!」について以下のポイントを説明しています。
◆ おふたりさまの場合、配偶者が亡くなると配偶者の兄弟姉妹も相続人になる
◆配偶者は1億6000万円までの配偶者控除があるが、申請期限内に申告書の提出が必要
◆ 兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書を書くことで配偶者に原則100%財産を残せる
◆ 遺言執行者は甥、姪など親族や専門家(士業)に依頼する
◆ 確実に遺言が執行される「公正証書遺言」がお勧め
この本の中盤では、「相続&遺言の こんなときどうする? を解決」および「配偶者が亡くなっておひとりさまになったら、
頼れるのは誰?」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 数代後の遺産相続まで管理でき、認知症対策にもなる「家族信託」
◆ 生前に渡す「贈与」なら贈与税、死後の「遺贈」なら相続税の対象に
◆ 生命保険は受取人固有の財産となり、非課税枠(500万円×法定相続人)もある
◆ 遺言書は書き換えできるので、早めに夫婦たすきがけで作成しておく
◆ 施設入所や病院への入院には身元保証人が必要
◆ 身元保証人は、緊急時の連絡先、費用の支払いを保証、退去時の精算を行う
◆ 地域包括支援センターは、介護保険制度を使う際の窓口で、様々な相談に対応
◆ 認知症対策として、成年後見制度と家族信託がある
◆ 埋蔵や納骨、各種未払い費用の支払いをお願いするのが死後事務委任契約
本書の後半では、「おふたりさまの老後の住まい方」および「おふたりさまの終活。葬儀・お墓についても考えておこう」ついて説明しています。とくに共感できるポイントは以下の通りです。
◆ 早めの片づけが人生を豊かにする、60歳くらいから始める
◆ 現在使っている以外のものは処分する
◆ デジタル資産は、パスワードなど大切な情報をわかりようにしておく
◆ 家事などの生活力には、社会的手続きやお金の管理も含まれる
◆ 介護保険や民間の介護サービスを活用する
◆ 機能的な都会暮らしと人間関係を重視する田舎暮らし
◆ 元気なうちに高齢者施設の研究をしておく
◆ エンディングノートは書きやすいところから
◆ 延命治療について意思表示を
◆ 葬儀は小規模化・簡素化の流れ
◆ おふたりさまにお勧めなのは、継承不問のお墓
◆ 実家の墓じまいはやることが多く、じっくり取り組みを
この本の締めくくりとして著者は、「事後の対応より事前の準備」と指摘して、本書に記載した具体的な知識や方法のほとんどは、本人が事前に対策を施すからこそ、有効に活用できる、と説明しています。
あなたも本書を読んで、老後の準備や終活を早めに進めていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3437日目】