男の教科書 北方謙三 ブラッディドールシリーズから学ぶもの
2024年中に中断していたブラッディドールシリーズを全て読破した
ブラッディドールはN市あるいはS市を舞台として男たちがよその町から流れてきてそこで事件が起きて解決していくを繰り返した小説だ
登場人物たちがいちいちキャラが立っているのと、ストーリーを引き立てる小道具の演出が多いのもまた魅了の一つであろう
例えば、主人公毎によって好きな酒と乗る車はそれぞれ分かれていたりする
また、ある人物同士の繋がりが深いと、その人物の持ち物を引き継いでいくのも味な要素であると思う
カッコいい生き方を提示してくれるだけではなく、それぞれの年齢に適したハードボイルドがあることも教えてくれる
30代は地に足が着いてきているものの、どことなく爪の甘さを感じさせる行動
40代は何事も紳士に受け止め、性分ごとの戦い方を行う
50代にもなると各々の性分がさらに研ぎ澄まされ、敵わないとさえ思わせる
そして、70を越えた老人であっても行動ができずともハードボイルドという生き方が出来ることを作中では証明をした
カッコいいとは意識をした瞬間から老成が進むものであると言えるかもしれませんね
また、北方節の文書のいいところは心理描写を極力省いてある(ハードボイルドにある手法らしいです)のですらすらと文書が読めるのも良いところです
そのせいか、時間軸が実際に読んでいる読み手の速度と合っていて、早い展開でどんどん話が進んでいきます
オチもだいたいワンパターン(カーチェイスとか)ではありますが、使い古された手法だとしても登場人物が立っていれば物語は進行することをよく感じさせてくれます
古い本なので今と時代背景はほぼ合っていません
けれども、その時代ごとのハードボイルドは間違いなく存在しえるし、生き方を固執して貫ければまずはいいのかなと思案します
カッコいい男を見つける旅は一度終わりました
繰り返し読むか、新しい男を探すか、、
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