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「あなたの不幸はあなた自身が決めていることである」アドラー心理学「嫌われる勇気」を要約まとめ

筆者は、心理カウンセラーの資格を取るために勉強しました。
本来なら、「臨床心理士」や「公認心理士」といった国家資格を取りたかったものの、大学の心理学部で学んでいることや大学院を卒業していることが受験要件であったようで、断念して民間資格を取得しました。
国家資格が、かなりハードルが高いものであったことに驚きつつも、
心理学を学ぶだけでも価値はあると考えました。

臨床心理士
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会による認定資格です。心理学の資格の中でも信頼性や認知度が高く、資格取得者は、病院などの専門施設で臨床心理士として働いたり、教育現場でスクールカウンセラーとして活躍したりしています。

公認心理師
公認心理師は、登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。

さて、その学習のたびに出てくる人物名が、アルフレッド・アドラーでした。

アルフレッド・アドラーは、オーストリアの精神科医、精神分析学者、心理学者。ジークムント・フロイトおよびカール・グスタフ・ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。 初期の頃のフロイトとの関わりについて誤解があるが、アドラーはフロイトの共同研究者であり、1911年にはフロイトのグループとは完全に決別し、アドラー心理学を創始した。

ここからは、いくつかの参考資料に基づいて記載します。

特に、
自給人・斉藤様のブログ記事を大きく取り上げ、筆者が引用、補足という形をとっています。

本著は大変話題にもなり、ベストセラーになった作品ですから、既読の皆様も多いことかと思います。


アドラー心理学は「人生の嘘」を否定する


たとえば、「結婚は二人だけの問題じゃない。両家の両親に祝福されないと」という女性。アドラーはこのような姿勢を否定します。

なぜなら、これは自分の人生の選択を他人のせいにする姿勢だからです。この女性は、結婚生活が失敗したら親のせいにするでしょう。つまり、はじめから責任転嫁するつもりなのです。

アドラーはこれを「人生の嘘」と厳しく批判しています。

もしあなたが「人生は複雑で大変だ」と考えているなら、この「人生の嘘」に陥っている可能性があります。

結論から言いましょう。あなたは自分の人生を、自分の責任だけで選択しなければいけません。そうすればすべてがシンプルになります。そうできず人生を複雑にしているのは、ほかならぬあなたなのだ、と認識してください。


ちょっと話はそれますが、筆者のよく取り上げている、パンクバンドに、「ライヤー」という曲があります。
日本語なら「嘘つき」ですが、軽快でノリの良い曲調とは裏腹に「人間関係の衝突と相手へ疑念」が大きく表されているシリアスな内容です。

歌詞の主人公が、嘘つき呼ばわりして標的となっているのは、一体、誰なのでしょうか??
歌詞を書いたのはボーカルのジョニー・ロットンですが、ベーシストのグレン・マトロックは、「これは俺のことか、もしくは、当時のイギリスの首相のことかも知れない」と自著で述べていました。

筆者は、ひょっとして執拗に嘘つきと糾弾しているのは「彼の恋愛相手なのではないか」であれば、かなり意味深で複雑な疑念に包まれたラブソングであると解釈したりもしました。深読みでなければですが。

男女関係においても、嘘はつきものですから、深刻にして深淵であると考えられなくもありません。


Sex Pistols - Liar 歌詞
Writers: Paul Cook, Steve Jones,
Glen Matlock, Johnny Rotten

対訳は筆者ですが、英語にそれほど自信はありませんので、参考までとしてください。

Lie lie lie lie liar you
Lie lie lie lie
Tell me why tell me why
Why d'you have to lie
Should've realised that you
Should've told the truth
Should've realised
You know what I'll do

   嘘、嘘、お前は嘘ばかり
   嘘、嘘、嘘、嘘
   何故なんだ、教えてくれよ
   何故、嘘つかなきゃならないんだ
   気が付けよ
   真実を言わきゃならないことを
   気が付けよ
   オレがこれからしようとすることを

You're in suspension
You're a liar

   おまえは誰からも相手されない
   嘘つきだからな

Now I wanna know
Now I wanna know
Why you never look me in the face
Broke a confidence just to please your ego
Should've realised
You know what I know

   オレは知りたいんだ
   オレは知りたいんだ
   何でオレの顔を見ないのか
   自分を満たすためだけに信用を壊したのさ
   気が付けよ
   オレが何を知っているってるかってことを

You're in suspension
You're a liar

   おまえは誰にも相手されない
   嘘つきだぜ

I know where you go everybody you know
I know everything that you do or say
So when you tell lies
I'll always be in your way
I'm nobody's fool and I know all
'Cos I know what I know

   おまえが誰とどこに行くのかお見通しなんだ
   おまえの行動も言葉も全て分かってる
   だから嘘をついたって
   いつだって先回りさ
   誰にも騙されないし、全て分かってる
   お見通しなんだよ

You're in suspension
You're a liar
You're a liar
You're a liar
Lie lie lie lie lie lie lie lie

   おまえは誰にも相手されない
   嘘つきだよ
   嘘、嘘、嘘、嘘ばかり

Lie lie lie lie liar you
Lie lie lie lie
I think you're funny, you're funny ha ha
I don't need it don't need your blah blah
Should've realised I know what you are

   嘘、嘘、おまえは嘘ばかり
   嘘、嘘、嘘、嘘
   おまえは滑稽だ、笑えるぜ
   おまえのバカげた戯言にはうんざりってもんだ
   気が付けよ
   オレがおまえをお見通しだってことをな

You're in suspension
You're in suspension
You're in suspension
You're a liar
You're a liar
You're a liar
Lie lie

   おまえは誰にも相手されない
   嘘つきめ
   嘘つきめ
   嘘、嘘!!

「嘘」をつくということは、人の心を惑わす大変厄介な行為であり、自分の気持ちまで偽り、何ごとも他責にしてしまう、愚かなことであると、思えますよね。

では、またアドラー心理学へと戻ります。

「自由とは、他者から嫌われることだ」


さて、他人の目ばかり気にしていた筆者にとって、このフレーズが衝撃的すぎて、アドラー心理学にのめり込みました。


かなり前に、香里奈さん主演で、フジテレビでドラマ化も決定した

「嫌われる勇気!」

記憶に残る方もいるのではないでしょうか?

嫌われる勇気は対話形式でわかりやすいんですが、体系がわかりづらいですよね。筆者もまた、ここで、ややつまづきました。

そこで、要点を1つの図にしてみましょう。

図解にすると、アドラー心理学はかなりシンプルに思えます。
まずは課題の分離、そして共同体感覚を持つことに導かれています。


それでは、段階的に説明してみましょう。

原因論と目的論

アドラーは、フロイト、ユングに並ぶ、3大巨塔とされている心理学者ですが、アドラーは、フロイトとは正反対の立場として、目的論を強調。

原因論が、過去の経験から現在を考えるのに対し、
目的論は、現在から過去を意味付けする立場です。

時間の流れで見ると、以下のようになります。

・原因論:過去→現在
・目的論:現在→過去

つまり、「今までの過去は人生において、何のためにあったのか?」と考えることによって、過去の経験は、現在の自分で再定義しよう、ということです。

例えば、原因論の立場であれば、コミュニケーションが苦手な人が、過去に恥ずかしいトラウマがあるから、苦手になっているんだと考えます。

対して、目的論の立場だと、コミュニケーションで失敗したくないから、トラウマを理由に逃げている、ということになります。

ですが、この過去を再定義すれば、人は変われるとアドラーは言っているんですね。

コミュニケーションが苦手な場合は、普通の人よりコミュニケーションのことを考えているわけで、もしかしたら、勉強をするためにその過去があったのかもしれません。それを突き詰めれば、仕事になる可能性もありますよね。

「過去を再定義して、今ここに生きる。
そうすれば、あなたは変われる」
これが、アドラー心理学の根本となります。

全ての悩みは対人関係である

さらに、アドラーはすべての悩みは、対人関係にあると断定しています。
劣等感というのは、自分の中だけの悩みだと思われがちですが、これも他者との比較や競争からくるものですよね。

そして、この対人関係の悩みは、人生のタスクと向き合うことで解決することができます。

人生のタスクとは、「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」の3つです。

■仕事のタスク
仕事上の付き合い(他人からの評価など)

■交友のタスク
友人の数ではなく、距離と深さ

■愛のタスク
恋愛関係、親子関係

これらの人生のタスクに向き合わず、さまざまな理由を付けて、逃げようとすることを、アドラーは「人生の嘘」と呼んでいます。つまり、環境のせい、人のせいにすることで、人生のタスクから逃げているということです。

アドラーの立場だと、自分が変わる決意さえすれば、自分も環境も全て変わると言っているんですね。

これが、アドラー心理学が、“勇気の心理学”と言われる所以です。

課題の分離とは

そこで、アドラーは対人関係を解決するための入口として、“課題の分離”を掲げます。

課題の分離とは、「自分の課題」と「相手の課題」を分けて、相手の課題には介入するなということです。

近年の芸能人の不倫騒動、インフルエンサーらの差別発言など、ああいうニュースがトップニュースになる時点で、課題の分離ができていない人が、非常に多いことがわかりますよね。

ある精神医学者は、これを「正義中毒」と表現しています。

不倫や差別はけしからんとばかりに、必死になってSNSなどで、個人攻撃するのです。まるで、自分は聖人君子であるかのように。

不倫や特定した差別問題なんて、当人や周りにとっては重大な課題ですが、わたしたちにとっては、全く関係ない課題です。

そして、それらは、わたしたち個人単位では、解決出来うる問題でしょうか? 答えは限りなくゼロでしょう。
不倫やヘイトスピーチは無論、批判あって然りですが、わたしたちは何一つ、それを止めるべき力は持っていません。

騒ぎたてれば、騒ぎたてるほど、炎上に油を注ぐだけではないでしょうか。
さも、芸能人やインフルエンサーが、自分たちの知人や友人であるかのように錯覚して余計なバッシングをして、冷静になってみると、ただの自己満足に浸っているということに気づくでしょう。

不倫も差別も自分がしなければいいだけ。なんの関係もない赤の他人に憤りをみせたところで、世の中は微塵も変わりはしない。

こうした他人の人生に踏み込もうとする人たちは、つまり、自分の人生を生きずに、他人の人生を生きているということです。

身近な例で言うと、LINEやインスタなどで反応がなくて、苦しむ人がよくいますが、あれも反応をするのは相手の課題であって、自分の課題ではありません。LINEの未読無視や既読無視で頭を悩ませたり、インスタに写真を上げたり、自慢をするのも、他人から認められたくてすることが多いですよね。

よくいう「自己承認欲求」というものです。

さらに、親子関係で、親が子に「勉強しなさい!」というのも、親が課題の分離ができておらず、子の課題にずかずか踏み込むから、両者で苦しむことが多いんです。

そこで、アドラーは、
「他人の課題に介入する事こそ、自己中心的な発想なのだ」
と言います。

「他人の為に!」と思っているようで、
実は、“他人を自分の承認欲求を満たす道具”にしてしまっているのです。

アドラー曰く、他人の課題に介入する人は、「誰からも嫌われたくない」という意識が強い。しかし、これは非常に不自由な生き方ですよね。

そこで、アドラーは、

自由とは、他者から嫌われることだ
と断言しています。

この嫌われる勇気を持つことこそが、対人関係のスタートになるんですね。

共同体感覚とは

嫌われる勇気を持てということは、自己中心的に生きろってことなの?と思われるかもしれませんが、これは対人関係のスタート。目指すべきは、共同体感覚です。

“共同体感覚”とは、他者を仲間だとみなし、そこに自分の居場所があると感じられること。

“共同体”とは、家庭、学校、職場、地域、国家、人類、宇宙全て、時間軸においては過去から未来まで全てを含みます。

つまり、課題の分離をして、まずは他人の人生ではなく自分の人生を生きろ。

だけど、「あなたは、共同体の一部であって、世界の中心ではない」ということです。

そして、共同体感覚を持つために必要なことは、以下の3つ。

①自己受容
今の自分をありのままに受け入れる

②他者信頼
無条件に相手を信じる

③他者貢献
他者・共同体に貢献すること、与えること
見返りは求めない

この自己受容→他者信頼→他者貢献の循環が共同体感覚であり、対人関係のゴールです。
そして、アドラーは、この他者貢献こそが、幸福であると言っています。

アドラー心理学の面白いところは、他者貢献は、他者の見返りを求めるものではなく、貢献をした時点で幸福だということ。つまり、「私は誰かの役に立っている」という主観的な感覚こそが、貢献感となります。

人は、貢献感を得るために、承認を求めようとしますが、これには自由がありません。他者貢献という貢献感を持てば、承認欲求は完全に消えるとアドラーは断定しているんですね。

アドラー心理学まとめ

アドラー心理学は、目的論の立場を取り、自分が変わる決心をすれば、「いまここ」で人生を変えることができます。

人生は空しいという虚無感があるならば、それも自分の人生の意味を、自分で定義することで解決することができる。

過去を再定義して、今ここに生きる。
「人生における最大の嘘は、”いまここ”を生きないことだ」とアドラーは言います。

人生の意味や使命感は、その時々で、もしかしたら変わるかもしれません。でも、それはそれで良いんです。人生の意味が変われば、過去や未来の意味も再定義することができます。過去の自分、未来の自分が、今の自分を応援してくれるイメージですね。

変わる決心をすることは、かなり勇気のいる決断ですが、人生は決断と覚悟で、いくらでも変わります。

筆者は退職したり、転職したり、特に起業したときなどは。

「今はしないほうがいいよ」

「悪い商売でも始めるんだろう」

「家庭を持たないお前はのんきでいいな」

「会社を作って潰れたらどうするんだ」

「責任を取れるのか?」

「お前なんかに何ができる」

「倒産したら生きていけるのか?」

「ベンチャー企業の経営者などは稼げない。タカが知れている」

などなど、ご心配の意見を山のように頂きました。

これらのアドバイスとやらを真に受けて、筆者が動かなければ、
ひとつの進歩もいない、好機を無駄にして、ただのサラリーマンで一生を終えていたかも知れません。

井の中のかわずは大海に出ることすらままなかったことでしょう。

成功をしたのなら、この人たちと何かを分かち合うのでしょうか?

失敗をしたのなら、この人たちと痛みを分かち合うのでしょうか?

そのようなことは絶対にあり得ませんよね。

他人は他人。
行動を共にしない人や共感を持たない人とは未来永劫に接点は持てません。

起業や挑戦に失敗はつきものですが、自分の人生は、他人の人生で決められてはたまりません。
それでは、自分の意思を押し殺して、人の目を気にしながら、死ぬまで、

「自由をつかむことはできない」ということになります。

まずは自分の人生を生きて、
同じ共同体の仲間として、共同体感覚を持てるようにしていきましょう。

幸せになる勇気についても、こちらの記事でまとめました。
アドラー心理学・幸せになる勇気の要約まとめ(図解あり)
嫌われる勇気は、1章ごとにまとめたので、良かったら参考にしてみてくださいね。

第1章:トラウマを否定せよ
第2章:すべての悩みは対人関係
第3章:他者の課題を切り捨てる
第4章:世界の中心はどこにあるか
第5章:「いまここ」を真剣に生きる

大変、長くなりました。

優れた分析や解説を参考とさせて頂きました。
筆者の駄文をカバーする形にもなってしまいました。

ここまで、お読み頂きありがとうございました。

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