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#43 脳神経内科の付き添いを始めて一年の振り返り

アルツハイマー型認知症である両親の通院に付き添うようになって一年。今回は節目に振り返りです。

地元で認知症を診ていただくなら最善、とされる医師の元に通院を始めたきっかけは叔母です。

[#7特別養護老人ホームの入居申込について〜叔母の場合]で取り上げた、70代で認知症を発症し、グループホームでの生活を経て、80歳で病院にて息を引き取った独身の叔母が、ホーム入居前に診て頂いていた医師の元に現在母が通院しています。

父は別の医療機関を受診していましたが、通所していたデイサービスでの問題行動への対策として、ケアマネジャーの勧めもあり、叔母が受診していた医師の元に父が通院することになりました。

転院の必要性は私も認識していましたが、叔母の受診に付き添っていた母が、認知症である自身の夫を同じ医師の元へ連れて行くことに抵抗を抱いていることが伝わっていたので、当初は最前医の受診を勧めることは控えました。しかしながら、父が非常に厳しい状況に陥ったことから、転院することにしました。

当初、父の受診には母が付添っていましたが、叔母の死が近くなった辺りから、母の認知症の傾向が急速に現れ始め、叔母の死を境に両親2人での受診は無理になった事から、私が2人に付き添うようになりました。

叔母に付き添う母から話は聞いていましたが、実際にお会いすると、医師として診断・治療が素晴らしい、というだけではなく、人として素晴らしい人格者であることが伝わってきました。正直、この医師だから付き添いを続けられています。

受診後、調剤薬局で処方薬を受取帰宅した後、次回予約まで薬が足りない事に気づきました。担当医が週一のみ通院先で診察くださっていることから、事前連絡の上、別日に別の先生が処方頂いたのですが、次回受診の際にお詫び頂きました。

間違えたら謝罪することは人として当たり前、という考えの方もいらっしゃると思います。しかしながら、医師、それ以外の職業の方に関わらず、言い訳する事なく、間違いを認めて謝罪ができる、ということは誰でも出来る事、簡単な事というように私は捉えていません。

躊躇なく謝罪が出来るだけでなく、認知症の患者にも家族にも、感情的になる事なく、寄り添った対応をしていただけます。

特別養護老人ホームに入居して数ヶ月の父は、一年前より介護度が上がったにも関わらず、発語が増えています。想像ですが、週3回のデイサービス通所、そこで長時間を過ごす事等、在宅中は精神的肉体的な負担だったようです。入居後の方が、精神的に穏やかさを取り戻せたように見受けられます。

在宅中の通院も相当な負担だったのか、診察中、自ら会話をすることはありませんでした。それでも、医師は必ず、父の名前を呼んで、本人に体調を尋ねてくださいます。その話しかけも、私に対する会話の調子と同じで、見下すような態度は一切見せません。認知症を診察する医師の全員が本人に話しかけてくださるという訳ではなく、父の前医に話しかけはありませんでした。

患者だけではなく、家族にも寄り添ってくださる一例です、数ヶ月前から私が実家を出て母が一人暮らしとなったことを伝えると「えーーー」と驚きを隠しませんでしたが、非難されることもありませんでした。その後の受診でも、2、3日おきに実家を訪ねてますか?と責めることも、過度に憐憫の情を表すこともなく、実にさり気ない口調でした。

うっかりお気持ち面の話題ばかりになってしまいましたが、具体的な治療の事も。

認知症の治療と言えば主に投薬ですが、先に記した様に、父は問題行動に対する治療の為に、転院しました。

まずは認知症の治療薬を変え、漢方薬の追加に始まり、さらに問題行動悪化に対して、2つの候補薬を提示くださいました。効果が期待できるものの転倒の危険性が高まるお薬と、効果はまろやかながら転倒リスクが低いお薬でした。

当時、自宅で暮らしていた父は、階段移動が必須だったことから、まろやかな方を希望させて貰い、幸いこちらでも効果が現れました。

特別養護老人ホーム入居後、精神科を受診する必要が生じて付き添いをしましたが、残念な診察を経験した事で、現在母の診ていただいている医師の診察と人柄の良さをこれまで以上に感じる様になりました。

幸い、父の通院は一回で、その後往診の医師はスマートに対応くださっているそうです。

実際に認知症の方と接することはかなりの負担です。一般的に酷い物忘れ=認知症と捉える方がいらっしゃると思いますが、実際の症状は、物忘れ+認知力の低下が合体しています。認知症の方とのコミュニケーションは実に辛い。

それまでも薄々感じてはいたものの、母の認知症発症前後、つまりお互いにかなりの年齢になって、母も娘お互いの性格に大きな隔たりがあることを認識しました。

性格真逆+認知症なだけにコミュニケーションがとても難しい。

私は、母と距離を置くことで、精神的負担を軽減し、自身の心身の健康維持を優先しました。こうした選択を、良からぬことする考え方があることは承知しています。こうしたことを責めることない医師の元には、躊躇なく付添が出来ることが救いです。

先ほど、母に対して怒り心頭な出来事がありました。いやはやですが、自身の乳癌治療と安寧な暮らしを最優先に、程々の距離感で介護続けるようにします。

以上です。



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