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ブルーベリーとピーピー鳥

先日実家に帰った際に、庭に植えてあるブルーベリーの実がなっていたのでそれをいただいた。
ある程度は手をかけてはいるけれど、農家のように出荷するために手厚い管理をしているわけではないので、サイズも小さく甘さもほんのりといった感じで、自然の木の実を食べているようだ。

素朴な味わいだけど、それはそれで美味しい。
数がたまってくると、母が砂糖と煮てジャムを作ってくれる。量はそこまでできないので、ヨーグルトに入れて食べることが多い。果肉も粗目に残しているのでブルーベリーの食感や香りを感じてとても美味しい。

今年は、春先が暖かかったので花が咲くのが早く、虫たちがあまり活動していなかったため受粉が上手くいかなかったらしく、収穫量は少な目だ。
ただでさえ少ないこのブルーベリーには天敵がいる。それは、ヒヨドリだ。
我が家では、ヒヨドリはピーピーうるさく鳴くことから、ピーピー鳥と呼んでいる。
そのピーピー鳥が、庭の食べごろのブルーベリーをつつきにやってくる。
もう熟してきて明日にでも収穫しようかと思って油断していると、次の日の朝にはもう食べられてなくなってしまう。
しかも、奴らは食べてみてすっぱいとそのままポイっと投げ捨てるのだ。
また、スズメなどに比べて身体が大きいので、我が家の小さなブルーベリーの木に乗るとかなり枝がたわむ。ひどいとそのまま折れてしまうこともある。まったく、自分の体重ぐらい考えてほしいものである。
そして、なにもブルーベリーの実がなっている時にだけ敵というわけでもない。
ピーピー鳥は、花の時点から食べにやってくるのだ。今年の春先に庭を見ている時に白い花を食べ散らかす姿を目撃した。
本当に困った鳥なのだ。まあ、別に我が家はブルーベリーで生計を立てているわけではないので、鳥にもおすそ分けと思えば許せるけれど。

そんなピーピー鳥を、母が一度助けたことがあるらしい。
ある日、母が庭を見ていると、こちらを見ながらピーピー鳥が激しく鳴いていた。目が合ったかと思うと、二階に向かって飛んでを繰り返す。
これはどういうことだと、母が二階に向かってみるとベランダの洗濯物を干すためにガラスで覆われている空間に、ピーピー鳥の子供が迷い込んでいた。
母は、なんとか頑張ってピーピー鳥の子供を外に出して逃がしたそうだ。

言葉はなくとも鳥と通じ合った感じで、ちょっと不思議なお話である。
そんなピーピー鳥は、今日も恩も忘れてブルーベリーを食べにくる。
もしかしたら、あの時の子供が大きくなって、自分はこんなにも成長できた、ありがとうとアピールしているのかもしれない。
そう思うと、なんだか可愛く思えてしまって、やっぱりブルーベリーが食べられるのを許してしまうのだ。

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