「孫子の兵法」から学ぶ 就活での『自己分析』の重要性 ~ 彼を知り己を知れば百戦殆うからず ~
1 最初に(「孫子の兵法」とは)
「孫武」とは、中国の春秋時代末期に現れた偉大な兵法家であり、武経七書の一つにして中国最高の兵法バイブル「孫子」の原作者と言われる人物です(ニコニコ大百科より)。
マンガ「キングダム」の舞台が戦国時代末期なので、「孫武」は「キングダム」の一つ前の時代を生きた人物です(「春秋戦国時代」は中国統一が長くされず、群雄割拠の時代です)。
「孫武」という古代中国の兵法家が書いた「孫子」という書物には、色々な言葉(兵法)が書かれていて、「兵は詭道なり」や「風林火山」などがあります。
長いので「風林火山」と略しましたが、日本において「孫子の兵法」を合戦や外交等で活用した戦国大名が「武田信玄」です。
「孫子の兵法」の中でも有名な言葉(兵法)の一つが、
『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』
(かをしり おのれをしれば ひゃくせん あやうからず)
です。(「殆」は「危」と同じ意味です)
2 彼を知り己を知れば百戦殆うからず
「彼を知り」とは、「相手(戦いを挑む相手方)の情報を知って」ということを意味します。
「己を知れば」とは、「自分(味方を含む)自身のことを知っていれば」ということを意味します。
「百戦殆うからず」とは、「100回戦っても負けはしない」ということを意味します。
よって『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』とは、「相手の情報を知って、自分自身のことを知っていれば、100回戦っても負けはしない」ということです。
この言葉(兵法)には続きがあり、私は続きが一番重要だと考えています。
続きは、
『彼を知らずして己を知れば一勝一負す』
『彼を知らず己を知らざれば戦うごとに必ず殆うし』
です。
『彼を知らずして己を知れば一勝一負す』とは、「相手の情報を知らないが、自分自身のことを知っていれば、戦うと勝ったり負けたりする」ということです。
『彼を知らず己を知らざれば戦うごとに必ず殆うし』とは、「相手の情報を知らず、自分自身のことも知らなければ、戦うと必ず負ける」ということです。
以上から、「孫子の兵法」によると、「戦い」に勝つためには、少なくとも「自分自身のこと」を知る必要があります。
逆に言えば、「自分自身のこと」さえ知っていれば、どんな相手でも勝てる可能性があるということです。
3 就職活動での『自己分析』
就職活動(就活)においては、『自己分析』と『企業研究』が重要とされています。
就活生にとっての「戦い」は「就職活動」で、その「相手」は「企業」で、「勝ち」は「内定をとること」、「負け」は「内定をとれないこと」です。
「孫子の兵法」に当てはめると、
「己を知る」が『自己分析』、
「彼を知る」が『企業研究』です。
もうお分かりだと思いますが、就活で最も重要なのは『自己分析』です。「孫子の兵法」によると、『自己分析』ができていれば勝てる可能性があるからです。
4 『自己分析』の方法について
『自己分析』の方法論については、色々な本が出ているので、自分に合ったものを選べばよいと思います。
就職アドバイザーに教えてもらった一人でできる簡単な方法を紹介します。
まず、あなたが生きていくに当たって大事だと思うものを3つ書いてください。
お金、家族、信用、自然環境、自分の命、アニメを見ること…何でも構いません。
次に、その3つの中で一番大事なものを1つだけ選んでください。
この3つはあなたが生きていくのに大事なものです。
そのため、仕事を選ぶにしても、この3つを基準に考えます。
「お金」なら「給料の高い仕事」、「家族」なら「休暇の取りやすい仕事」、「信用」なら「社会的なステータスの高い仕事」、「自然環境」なら「自然の中で環境を守ることのできる仕事」、「自分の命」なら「危険の少ない室内での仕事」、「アニメを見ること」なら「アニメを見る時間を確保できる仕事」といった具合に、仕事に絡めて連想します。
そういった仕事のできる企業を探すことになります。
色々な企業が選択肢にあり、どれも甲乙つけがたい中で優先順位をつける必要がある場合は、「その3つの中で一番大事なもの」として選んだ1つを基準にして順位をつけてください。
仕事は1日8時間労働であれば人生の3分の1の時間を費やすことになります。
自分の価値観に合った仕事ができる企業に就職できるのは幸せなことなので、自分の幸せを考えながら就活したほうがよいと思います(どんな仕事でもシンドイから給料が出ます。自分の価値観に合った仕事は、シンドイのがいくらかマシになります)。
では、どうしてその3つをあなたが生きていくのに大事なものと考えているのでしょうか。
これを自覚するのが『自己分析』です。
昔読んだ本、小学校の頃の先生の話、高校での部活動での経験、親が常日頃言っていること、過去の被災体験など、答えはあなた以外に持ち合わせていません。
3つそれぞれでエピソードを思い出してください(3つとも共通するエピソードの場合もあります)。
「こういったエピソードを通じて、私は○○が人生において大事だと考えます」と語ることができるのが『自己分析』の出発点です。
その上で、その3つの中で一番大事なものを1つ選びました。なぜその1つを選んだのでしょうか。
あなたが生きていく中で一番大事だと思っているものです。
「どういった経験をして一番大事だと気づいたのか」「一番大事だと思うものについて、今までどういうことをしてきたのか」を語ることができれば、『自己分析』としてまずまずだと思います。
以上が就職アドバイザーに教えてもらった方法です。
昔の方法なので、今は変わっているかもしれません。
他にも「あなたの周りの人は、あなたをどんな人と思っているか」等、『自己分析』は多角的に検証されます。「志望動機」との関係だけでなく、メンタル面の強さや能力面の適性も見られますので、やり始めると意外にむずかしいです。
就活で分からないことやテクニック等は、所属大学のキャリセンや若者のサポステ等の無料で相談できる窓口を利用したら良いのではないかと思います。
なお「キャリアコンサルタント」は国家資格なので、試験合格等の所定の要件を満たさないと名乗ることはできません(私は「キャリアコンサルタント」ではありません)。
5 最後に(就活における「真の勝ち」)
「孫子の兵法」は約二千年前から現在まで使われているので、私は普遍かつ不変の考えだと思っています。
「孫子の兵法」から、就活における『自己分析』の重要性を分かっていただけたと思います。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の考えは現在でも通用し、就活だけでなく婚活や移住、受験など、新たに長期的なパートナーや環境を決断する際には、「己を知る」と「彼を知る」は大事だと思います。
最後に、就活の「勝ち」を「内定をとること」と説明しましたが、厳密には違うと思います。
就活における「真の勝ち」は、「ミスマッチの少ない企業に就職すること」だと思います。
マッチするかどうかは実際に働いてみないと分かりません。また完全にマッチすることはありえないと思います。
しかし、早期退職するほどのミスマッチは、自分にとっても企業にとっても不幸であり、完全敗北です。
『自己分析』ができた上で、『自己分析』に沿った企業や職種を選択し、『企業研究』をして悔いのない選択ができれば、「真の勝ち」に近づくと思います。
「過去」と「現在」の自分を、「未来」の働く自分につなげる作業が、『自己分析』と『企業研究』だと思います。
私はこの道のプロではありませんが、この文章が参考になれば幸いです。
長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。