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おすすめのマンガを紹介します≪幼女戦記≫

『幼女戦記』(漫画:東條チカ、原作:カルロ・ゼン、キャラクター原案:篠月しのぶ)の紹介文を書いてみようと思います。

『幼女戦記』とは、カルロ・ゼンによる長編小説。表紙・挿絵は篠月しのぶ。本作の大元は自作SS投稿サイトで公開されたものだが、順次書籍化。
2017年1月よりテレビアニメが放送開始、2019年2月には劇場版アニメも公開。
漫画版は、東條チカにより月刊コンプエース2016年6月号から連載中で、既刊20巻。
(以上、ニコニコ大百科より引用)

私が『幼女戦記』を知ったのは、放送開始したアニメの第一話を「ニコニコ動画」で視聴してからです。
ニコ動で第一話を視聴して、ストーリーに興味を持ちました。
アニメのキャラクターデザインが個人的に合わなかったのと、ニコ動では第二話以降の無料配信がなかったので、アニメは続けて見ませんでした。

私は歴史物が好きなせいか、過程を楽しむタイプで、あまりネタバレを気にしません。ファンや有識者、職人のコメント付きで見るのが好きです。
当時はアニメだと「けものフレンズ」の盛り上がりが楽しかったです。
「幼女戦記」のアニメはしばらくたってからAbemaTVで全話を視聴しました(続編となる映画も見ました)。
声優さんの熱演、硝煙の臭いがしそうな戦場の描写、戦闘シーン(空中戦)の作画や音響など、見所が多くて素晴らしかったです。

ストーリー展開を知りたかったので、原作小説を購読しようかと思いましたが、漫画版の評判が非常に高かったため、コミックを購読するようにしました。

『幼女戦記』の漫画版をおすすめするに当たって、
魅力的だと私が思う点を3つ書こうと思います。

① 主人公の設定

『幼女戦記』というタイトルから、幼い魔法少女たちが登場するいわゆる「萌え」系の作品のように思われるかもしれませんが、違います。ある意味「タイトル詐欺」ですが、「欧州大戦」をモチーフにした世界における、いわゆる「異世界転生物」です。

「異世界転生物」はライトノベルやネット小説でテーマにされますが、よく主人公で設定されるのは(読者層を意識してか)「オタク気質の高校生」とかだったりします。
しかし、『幼女戦記』の異質なところで、最初に私に興味を持たせたのは、主人公が「大企業の人事課長」というエリートであったことです。

また、異世界への「転生」に当たり、まず現世で死ぬ必要がありますが、ラノベ等では不慮の事故により主人公が死亡するのが一般的です。
もっとも、この作品では、主人公はリストラ(解雇)を通告した社員に駅のホームで突き飛ばされ、殺されます。主人公は徹底的な合理主義者であり、血も涙もないような言動をとったため、解雇された社員に逆恨みされた結果です。(ただ、この社員は無断欠勤の常習犯で解雇自体に同情の余地はありません)
死ぬ際に「創造主」が現れ、自らの行いを悔い改めて懺悔するか聞かれますが、主人公は「存在X」と呼んで信仰心の欠片もない言動をとります(科学が重んじられて、男に生まれ、戦争のない平和な日本で社会的な地位を築き、精神的に安定している自分は信仰する必要がないといった発言をします)。
この言動が「創造主」の怒りを買い、「非科学的な世界で、女に生まれ、戦争を知り、追い詰められるが良い」ということで、異世界に転生させられます。

異世界で「ターニャ・デグレチャフ」と名付けられた主人公(見た目は女の子だか、人格は成人男性)は、「魔導適性」(魔法を使える素質)があったため、9歳で戦場に送られます。
なお、孤児院での生活からの脱却と、軍での立身出世を望んで、ターニャ自身が志願し徴兵されています。

以上のような、他のラノベ等にはない主人公設定に、最初に興味を持ちました。
異世界においても介入する「存在X」への敵意、人材の登用や運用における現世での経験、非合理的な行動をとる人間の存在を認める達観的な視点、趣味であった戦史やミリタリーの知識など、この主人公設定はストーリーにおいて根幹となっており、魅力的に感じました。

『幼女戦記』の「幼女」は、『見た目は幼い少女、頭脳は成人男性のサラリーマン。その名は…』という出落ちみたいな面もありますが、「なぜ幼女なのか」という意味付け(主人公設定)が面白いと思います。
なお、「幼女」はターニャだけで、登場人物のほとんどは男性の軍人です。

②「欧州大戦」など実在の戦史をモチーフにしたストーリー

ターニャが生まれ育った「帝国(ライヒ)」は、第一次世界大戦頃の「ドイツ」をモチーフにしています。
他の国々や地勢も当時のヨーロッパ(欧州諸国)に似た世界観です。
戦争の形態は第一次世界大戦(欧州大戦)をモチーフにしつつ、米ソ参戦やパリ陥落など第二次世界大戦の要素もかなり取り込んでいます。

各大戦における背景や局地戦(戦い)をオマージュして描かれているためか、教養が身に付きます。
朝鮮戦争の仁川作戦など、世界大戦以外の「戦い」も出てきて、原作者であるカルロ・ゼン先生による戦史の応用が面白いです。

私は世界史をあまり勉強していないので、このあたりの知識があやふやですが、コミック(漫画版)には解説ページがあって、ストーリーを理解しやすいよう配慮がされています。
また、各国の情勢や背景事情もコミカルな絵で分かりやすく描かれているため、理解に役立ちます。
「一見して分かる」のが、コミックの良い点ではないかと思います(アニメではここまで丁寧な描写や説明はされていませんでした。小説は基本的に文字なので、読解力と想像力が要求されます)。

主人公は魔導部隊の指揮官をしており異世界ファンタジーでありながらも、実際の戦史をモチーフにしているので、大河ドラマのような重厚感のあるストーリーが魅力的だと思います。

③ コミカルで丁寧な描写

ストーリーの分かりやすさだけでなく、セリフ回しについてもコミック(漫画版)は丁寧で分かりやすいと思います。

ターニャは戦果をあげて「後方勤務」をしたいと考えていますが、その言動から上司に前線へ行きたいと誤解されて「最前線」ばかりに送られます。
こういったコント仕立てのようなセリフ回しが、コミックでは分かりやすく丁寧に描写されていて、魅力的だと思います。

アニメでも同じ内容が描かれてはいましたが、少し分かりづらかったと思います。
コミックでは20巻かけて描いた内容を、アニメでは1クール(12話)で描いており、アニメでは重要でないシーンを丁寧に描写する時間がなかったためではないかと思います。
アニメは、丁寧なセリフ回しというよりも、表情変化のインパクト(いわゆる「顔芸」)によって、『意志疎通のすれ違いコント(どうしてこうなったー!!)』を演出していたように思いますが、私は同じシーンでもコミックのほうがより面白く感じました。

『幼女戦記』のコミカルな部分は、このコントのようなセリフ回しにあると思います。
『幼女戦記』のコミカルさを、漫画版は上手く表現できていて、魅力的だと思います。

アニメには、声優さんの熱演もあって、ダキア首都への砲撃前の警告シーンのように、アニメだからこそできるコミカルな描写もあり、良さがあります。


最後に

以上の3点、魅力的だなと感じるところを書いて、
『幼女戦記』の漫画版を紹介してみました。
見出し画像は東條チカ先生が描いたイラスト(ポストカード)を撮ったものですが、漫画版のクオリティの高さが分かると思います。

魔法が存在する第一次世界大戦頃のヨーロッパ風の異世界に、性別転換して転生したが、軍隊という企業で現世と同じようにサラリーマン勤めする主人公(幼女)の物語(戦記)です。

原作小説は続刊中で、コミックも現在20巻出ていて最終何巻になるか分かりませんが、具体的にどのような「戦記」が繰り広げられるのか、興味がある方はぜひご一読ください。

思っていたより長い文章になりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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