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いいコンテンツをつくるなら、取材は「脱線」が命
いい取材・悪い取材ってなに?
こんにちは。
コーチング編集者の上大岡ハジメです。
取材って難しいですよね。特にその場では「やりきった」と思っても、書き始めたら「あれ?」ってなることがけっこうあります。
後から困らないように僕が最も大切にしているのは、その取材対象が他では話していないようなことを引き出せるか?ということです。
もちろん話してもらうことのすべてが新しい必要はありません。鉄板のトークとか、読者がその人に期待している話題もありますし。
でも、読者にとって「初めて聞いた」とか「へえ、そうなんだ」となるようなネタは散りばめていきたいものです。
ここのあたりを頑張らないと、「この話、前に聞いたことあるな」ということになってしまいます。
実際、同一の著者が全く同じ話題を同じように別の本で著したりしているケースもあります。(これは新書とかに多いのですが)
読者からすれば「あー、またその話か(苦笑)」となってしまいますので、著者や取材先の信頼を確保するためにも、新しい話、ここだけでしか得られない話、というのは盛り込めるようにしたいと思っています。
ただ、取材される側というのは、ある程度前提から整理して、体系だてて話したくなるものです。
そうなると、前に他のところで話したような内容のボリュームが増していきますし、構成全体としても見覚えのあるものになりがちです。
特に、講演会のような人前で話す経験の豊富な方であればあるほど、この点に注意が必要です。講演会でウケがちないわば鉄板の流れに持ち込もうとしてしまうからです。
その場限りの講演会は、たとえ内容自体は新味がなくても、そのときの話しぶりやアドリブによって、観客は新しさを感じることができます。
一方、文字テキストはそうは行きません。たとえ書きっぷりを工夫したところで、「読んだことある話」の域をでることはないからです。
結局のところ、コンテンツ勝負なんですよね。
というわけで、いかに取材対象が前に話していないようなネタを引き出せるかが取材の成否を握ることになります。
ここで大切にしたいのが、「脱線」です。
要は、聞き手も話し手も当初想定していなかったような話題へと、話が転じていくことこそ、オリジナリティにつながるということです。
取材を担当する編集者もインタビュアーも、ある程度事前に著作などの資料を読み込み、「おそらくこの人はこういう話をするだろう」と見当をつけています。
しかし、その見当のとおりにしか話が聞けないと、結局のところ取材までに想定したような話しか記事に盛り込めません。
あるいは取材や講演会、人前で話し慣れている人ほど、その人なりの筋書きがあるので、その筋書きのとおりに話すケースが多々あります。
聞き手の側は楽なんですけど、結局他で話したことと同じようなことしか記事にできません。
いわば、取材者も取材対象も事前に想定していなかったような話題に転じていくのが「脱線」であり、これが取材の撮れ高につながります。
たとえば、
「ここに来る途中で見たんですが〜」
「最近、こういう話を聞いたんですが〜」
「そういえば昔こういうことがあって〜」
といった話は、取材対象の「論」を肉付けする具体的なトピックになりえます。こうした話題が入るだけで、読者とってより取材対象に対して親近感のわく記事になります。
特に、実体験から離れて、抽象度の高い話をしようとしている人ほど、こうした脱線による具体的な話を引き出すのは大事だと思います。
読者の興味を引くのは、一般論ではなくて、その人にしか語れないストーリーのあるお話だからです。ここに記事としてまとめるコンテンツの良し悪しを決める分かれ道があると思っています。
よく、取材対象の方に「脱線してすいません」と言われることがありますが、「いやいや、今の話がいちばんおもしろかったですよ!」っていうのが、編集者の本音です。
ちなみに、うまく脱線させるポイントは、話し手の方から何か想定外の話題に触れそうになったときに、その点を深掘りするような質問をしてみる。特にその点に興味津々であること、喜んで聞いてみたいと思っていることをアピールして聞くと喜んで話してもらえるように思います。
ただし、過度な脱線にも注意が必要です。
話好きな人でもあればあるほど、本当に取材と関係ない話に脱線してしまうこともあります。
この見極めはなかなか難しく、僕自身まだまだ掴みきれてないところでもあります。取材の技術を磨くポイントの1つとして、うまく脱線するというのがあるのではないでしょうか。
というわけで、今日はオリジナリティーあるコンテンツを作るための脱線についてでした。みなさんも取材に取り組む時は思い出してみてくださいね!
コーチング編集者として、熱い思いを持ったみなさんの発信に寄り添える編集者になりたいと思っています。
note上で添削サービスを行っていますので、興味のある方はぜひこちらもご覧ください。