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転職エージェントとの付き合い方

コンサルティングファーム未経験にとって転職エージェントはコンサルティング業界のことを知り尽くしているプロと思っていませんか?

転職エージェントは人事のプロでもあるため、コンサルティング業界の実務面からのニーズ、求職者のスキル、を十分に理解した上で案件を紹介していると思っていませんか?

転職エージェントは求職者との長期的な関係性を構築し、将来のキャリアが向上するような真剣なアドバイスをしてくれる存在だと思ってませんか?

残念ながら、これらは全て求職者の幻想にすぎません

転職エージェントはコンサルティングファームからお金を貰って求職者の転職をサポートしているビジネスモデルであるために、極論、求職者の将来のキャリアがどうなろうと関係ないのです。コンサルティングファームの機嫌を伺いながら仕事をしているのです

つまり、求職者自身が転職エージェントの業界構造や思考実態を熟知した上で、転職エージェントを上手く活用しきる必要があるのです

目次

  1. はじめに

    • 想定する読者層

    • 筆者の略歴

    • 本記事を読むことで期待できる効果

  2. コンサルティングファームへの応募の進め方

    • 直接応募vs転職エージェント経由応募

    • リファラル応募の効用

    • 入社難易度が下がるタイミング

    • コンサルティングファームへの再応募

  3. 転職エージェントとの付き合い方

    • 転職エージェントの業界構造

    • 転職エージェントの思考実態

    • 信頼できる転職エージェントの見つけ方

    • 信頼できる転職エージェントの特徴

    • ダメな転職エージェントの特徴


1.はじめに

想定する読者層
年齢:20代から30歳前後
学歴:6大学(東大、京大、早稲田、慶応、一橋、東工大)+医学部&海外大学以外の出身者
職歴:日系大手企業にて勤務されている方
転職先の希望:戦略コンサルティングファーム、総合コンサルティングファーム(戦略チーム、事業再生チーム)

■筆者の略歴
Fランから浪人を経て中堅大学卒業。その後、大手日系企業からキャリアをスタート。大学入試センター試験の英語は200点満点中123点(偏差値50)から英語を勉強して、米国MBAを取得。最難関の外資系戦略コンサルティングファーム及び外資系総合コンサルティングファームで10年超の勤務。元面接官

本記事を読むことで期待できる効果
コンサルティングファームへの応募の進め方、転職エージェントとの付き合い方が理解でき、コンサルティングファームへの応募に際して「ダメな転職エージェントの目利き」ができるようになる
特に、コンサル未経験にとっては転職エージェントを上手く味方に付ける必要があるものの、転職エージェントの業界構造や思考実態を理解することで、求職者自らが主体的に転職活動を行うことで可能となる


2.コンサルティングファームへの応募の進め方

■直接応募vs転職エージェント経由応募
コンサル未経験者については転職エージェント経由でコンサルティングファームへ応募することをお勧めする
。理由としては、転職エージェントとのコミュニケーションの過程で、求職者はコンサルティング業界の最新情報、各社の採用意欲、面接の準備、を提供して貰えるためである。事業会社は採用予算を多く確保していない会社も存在するために、事業会社は転職エージェント経由ではなく、支払い金額が抑えられる直接応募の求職者を好む傾向はある。一方で、コンサルティングファームは潤沢な採用予算を持っているために、転職エージェントへ支払う費用は惜しまない傾向にある

転職エージェント経由ではなく、直接応募がより効果を発揮する求職者とは、コンサルティング経験者でコンサルティング業界を熟知している方、友人や知人経由でのリファラルをお持ちの方である

なお、トップティアの外資系戦略コンサルティングファームは学歴スクーリングが厳しいことで知られているが、転職エージェントから希望するコンサルティングファームへの応募を断られた場合、ご自身で直接応募したとしても書類でアウトとなる可能性が極めて高い。各社から転職エージェントに対して、求職者の学歴基準が事前に連絡されているからである

■リファラル応募の効用
コンサルティングファームではパートナーが採用権限を有しているため、面接過程でいずれかのパートナーから合格を貰うと、そのコンサルティングファームからオファーを貰える。仮に、ご自身の友人・知人経由にて、パートナーからのリファラルを持っているのであれば遠慮なく使うべきである。但し、お手持ちのリファラルがマネージャーやシニアアソシエイトからであれば、リファラルの効力は懐疑的である。リファラルを出してくれるマネージャーやシニアアソシエイトが社内のトップパフォーマーであれば、リファラルはプラスに働く。しかし、彼らのパフォーマンスが普通であればリファラルの効果はニュートラル、パフォーマンスが低ければリファラルの効果はむしろネガティブである

リファラル応募であれば一段階程度、採用基準が緩くなるのが実態である。求職者の面接での評価が採用基準のボーダーラインを多少下回っていたとしても、採用して貰える可能性が高まる。採用においてリファラルは非常に強いツールなのである

ただ、リファラルにも留意するべき点は存在する。求職者がリファラルで採用プロセスを進め、オファーが出たにも関わらず転職を内定を辞退すると、リファラルを出してくれた人に迷惑がかかるケースもあるために要注意である。リファラルを出してくれた人が社内調整をしてくれているために、彼らの顔がつぶれるというわけである。リファラルは礼儀をもって活用するべきである

■入社難易度が下がるタイミング
各コンサルティングファームは時期によって採用意欲が大幅に変化するために、入社難易度も大きく変化する。入社難易度が最も下がるのは、One day採用(1日で最終面談までが完了するイベント)している時期である。One day採用を開催するコンサルティングファームでは人員が明らかに不足しているために、入社難易度がかなり下がり転職のチャンスとなる

また、各コンサルティングファームでは会計年度前後にてボーナスを支給する。従って、ボーナス支給時期に各ファームからの退職者が増えるために、退職者を補充する目的にて入社難易度が下がる。米系コンサルティングファームであれば12~1月前後、会計系の総合コンサルティングファームであれば6~7月前後である

■コンサルティングファームへの再応募
コンサルティングファームは事業会社と異なり、中途採用者を積極的に受け入れる文化があるため、仮に、不採用となった場合でも1年から2年以上(コンサルティングファームによって異なる)経過すると再応募が可能となる。但し、性格診断や面接にて、人物面で不合格と判断された場合、再応募不可能な期間が延びるコンサルティングファームもあるために要注意である。人物面での不合格とは、面接での態度が明らかに悪い、あるいは性格診断にて求職者とコンサルティングファームとの間で大幅な不一致があるという意味である。筆者が知るコンサルティングファームであれば、再受験できない期間が最大10年という設定のケースもある

再応募の2年というのは、求職者のバックグランドが大幅に変更するために必要な期間という考え方である。例えば、海外MBAや総合コンサルティングファームから戦略コンサルティングファームへティアを上げての転職などである。仮に、総合コンサルティングファーム所属であり、戦略コンサルティングファームから書類で不採用となった場合、同じ総合コンサルティングファームでプロモーションを果たして2年経過したとしても、バックグランドの大幅な変更とは認識されない可能性が高いため、戦略コンサルティングファームから再度不採用となる可能性が高い

3.転職エージェントとの付き合い方

■転職エージェントの業界構造
大前提として、求職者は転職エージェントがキャリア相談するべき相手ではないと認識するべきある。勿論、転職エージェントにも長期的なつきあいでのキャリア相談にのってくれるケースもあるが非常に稀である

転職エージェントのビジネスモデルは、求職者がコンサルティングファームへ転職することで、コンサルティングファームから貰える成功報酬である。転職エージェントはコンサルティングファームから成功報酬を貰うために、求職者ではなく企業サイドに立ったビジネスとなる。従って、転職エージェントは各コンサルティングファームのネガティブなポイントを求職者へ正直に伝えることはない

また、転職エージェントは業界全社と取り引きがあるわけではないために、求職者へ提示することができる案件には偏りがあることも理解しておくべきである。この偏りを防ぐためにも、1~2名の転職エージェントと転職活動を進める前に複数の転職エージェントと会話して、求職者自身が事前に情報を整理しておく必要がある

■転職エージェントの思考実態
転職エージェントは、一期一会の成功報酬というビジネスモデルで商売をしているため、不動産仲介やM&A仲介と同じ業界構造である。従って、求職者をコンサルティングファームへただ転職させればよいという安易な転職エージェントも存在しており、求職者の人生を全く考えていない転職エージェントも多い。求職者が初対面の転職エージェントに職務経歴書を渡すのは自殺行為である

多くの転職エージェントは、新卒から転職エージェントのみのキャリアか、企業の元人事というキャリアである。つまり、ビジネスのフロント(要するに、営業関連や開発関連)という実際に売上を立てる部門での経験が全くなく、ビジネスへの理解が残念ながら乏しい。従って、彼らの多くも残念ながら強いキャリアを構築できておらず、求職者へ価値のあるキャリアアドバイスをすることは現実的に困難である

転職エージェントは求職者の転職を後押しするポジショントークとして、給与よりも遣り甲斐、という言葉を頻繁に使う。しかし、彼らのトークを真に受けて、基本給を下げての転職はお勧めしない。一旦、基本給を下げると基本給を上げるには相当の時間とエネルギーが必要となる。戦略コンサルティングファームであれば各職位の給与テーブルが明確に定まっているために、数年在籍すれば元の給与以上となる。しかし、総合コンサルティングファームや事業会社の場合、給与テーブルが明確に定まっていないため下げた基本給を回復するには相当の時間を要する。回復までの期間、モチベーションも上がらない

また、あまり語られないのであるが、転職エージェントはコンサルティングファームと真剣に給与交渉してくれるわけではない。理由は、転職エージェントはコンサルティングファームからの成功報酬を受け取るビジネスモデルあるために、コンサルティングファームの機嫌を損ないかねないようなアグレッシブな交渉は絶対にできないのである(給与をアップさせるためのノウハウは、別途有料で開示予定である)

一方で、転職エージェントは成功報酬モデルであるため、求職者の転職意欲が疑われるケース、例えば、何か月も書類を応募しないケース、転職活動が4か月以上も停止しているケース、であれば積極的なサポートを受けることができなくなる。また、転職エージェントは常時30~40名程度の求職者の転職活動を支援しているために、求職者が転職エージェントへ職務経歴書の書き直し、ケース面接、を複数回お願いすることは現実的ではない

■信頼できる転職エージェントの見つけ方
まず最初にやるべきことは、ビズリーチへ登録すると同時に、コンサルティングファームに強みを有する転職エージェントへ複数登録することである。複数の転職エージェントと会話し、転職活動をお願いする価値のある転職エージェントを見つけることから転職活動は始まる。コンサルティングファームへの転職に強い転職エージェントは、「コンコード」、「フォルトナ」、「ムービン」、「マイビジョン」、「エグゼクティブリンク」である。次点としては、「アンテロープ」、「コトラ」、「キャリアインキュベーション」、「アクシスコンサルティング」などである

未経験からのコンサルティングファームへの転職であれば、コンサルティングファームでのマネージャーを経験した上で、転職エージェントとなった方を見つけるのがベストであるコンサルティングファームの元面接官であればなおよい。コンサルティングファームの内情を踏まえた、より有益で現実的なアドバイスをして貰えるはずである

初回面談から職務経歴書の提出を急がせるような転職エージェントは信用できない酷い転職エージェントであれば、ビジネス経験もないにも関わらず、求職者へマウンティングしてくるような態度の悪いエージェントも存在する。求職者からの同意なしで、企業へ職務経歴書を開示する悪徳な転職エージェントも存在する、特に、外国人の転職エージェントは更に節操がない人が多いために要注意である。一方で、職務経歴書を修正、更新してくれるような転職エージェントは最高に信頼がおけると言える面接準備もお願いできる転職エージェントであればなアタリである。(実際、そこまでしてくれる転職エージェントはほぼいない)最後に、求職者と転職エージェントとの相性を基準に誰にお願いするかを決めればよい、求職者の経歴に共感して貰えると更によいであろう

■信頼できる転職エージェントの特徴

  • コンサルティングファームでの勤務経験がある

  • 主要コンサルティングファームの過去問題を共有してくれる

  • 職務経歴書の記載内容へアドバイスしてくれる

  • 通常面接、ケース面接に向けたアドバイスをしてくれる

  • 求職者と似通ったバックグランドを有しており、求職者を理解しようとしてくれる(相性があう)

  • 転職を無理に急がせない

  • コンサルティングファームも悪い噂も共有してくれる

  • コンサルティングファームでマネージャー以上を経験しており、面接官の経験もある(かなりレア)

■ダメな転職エージェントの特徴

  • コンサルティングファームでの勤務経験がない

  • 職務経歴書の記載内容へアドバイスする能力や意思がない

  • 通常面接、ケース面接に向けたアドバイスをする能力や意思がない

  • 転職活動開始と同時に、10社近く同時応募することを勧めてくる

  • 求職者の転職活動に至った背景や気持ちを聞くことなく、コンサルティング業界や転職成功事例の話ばかりする

  • 初対面にも関わず職務経歴書の開示を急がせる

  • 求職者の許可を得ることなく職務経歴書を企業へ開示する

  • 求職者と企業の間に入ってメール連絡するだけ

  • 求職者へ横柄な態度を取ったり、マウンティングするような言動がある

  • 「やりがい」という言葉を頻繁に使い、基本給の切り下げを積極的に促す