初等中等研究公正教育協会1

なぜ研究公正を学ぶのか?(移行版)

研究公正教育は,難しいものでも,あなたの日常からかけ離れたものでもありません。たとえば,アイディアを提案,まとめるときに「なにをしていいのかわからなくて戸惑った」,そんな経験はありませんか。研究公正は,あなたがアイディアをまとめ,提案するときの行動規範となるものです。研究公正を知ることで,あなたは,より独創的な活動をすることができるようになります。本記事はnote記事を移行したものです。

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研究公正は独創性を育てる

1 アイディアを提案し,まとめる能力が求められている

 あなたのアイディアで自由にやっていいと言われて,「どうすればいいのかわからない」と困った経験はありませんか。

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 昨今では,学校の勉強からビジネスまで,自らのアイディアを提案して実行できる機会が増えています。たとえば,大学の入試改革の一環として,高校生の探究活動の成果の大学入試への活用が検討されています(文部科学省,2016年)。中学校でもアクティブラーニングとよばれる「生徒が自身のアイディアを探究する活動」が行われています。アイディアの提案からまとめまで,ビジネスでも必要とされるスキームを実際に行う。大変重要な試みです。
 しかし,生徒さん,ときに学校教員からも「大事なことはわかるが,どうすればいいかわからない」という戸惑いの声を聴きます。もちろん,探究活動をどう進めるべきかという方法論はわかっています。方法論はわかっているのに「どうすればいいのかわからない」と感じるのは,方法論が作られた背景,つまり根底にある行動規範を知らないために起こる不安なのです。

2 提案のための行動規範を示す研究公正

 アイディアを形にするためには,基礎となる骨組みが必要です。研究公正は,行動の基準となる基礎骨格を行動規範として示します。

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 たとえば,サッカーでは足でボールを蹴る,手で相手をコントロールしないというルールがあって,さまざまなテクニックや戦術が組み立てられています。「なにをしていいのかわからない」という戸惑いは,サッカーのルールを知らないまま(戦術やテクニックだけで)試合に臨もうとしていることに起因しているのです。研究のルール,研究公正を知り,テクニックや戦術の意味を理解することで,この不安は解決されます。そして,局面に合わせた独創的なプレーも生まれるでしょう。
 大事なことはテクニックや戦術そのものではなく,それが生み出される背景,つまり行動規範なのです。しかし,日本の探究活動をはじめとしたアイディアの創出活動では,方法論(テクニックや戦術)が洗練される一方,根底にある行動規範(研究のルール)について語られないまま,行動だけが求められている現状があります。

3 行動規範があるからアイディアは形になる

 研究公正というルールは,アイディアに魅力ある形を与え,自信と情熱を補完する手助けをしてくれます。しかし,研究公正教育と言うと,どうしても堅苦しく,難しいものが多いのが現状です。

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 そこで,アイディアを形にするための研究公正について,わかりやすく,アイディアを提案し,まとめるための研究公正教育手法を開発しようと計画しました。研究をしたことがない方でも気軽に触れることができること,とくに探究活動などでアイディアをまとめることの多い子どもも活用できることを目標にしています。
 第一弾として,著書「13歳からの研究倫理(化学同人)」を,2018年8月に出版しました。最近では学校で一括購入されることもあり,お陰様で,第6版が現在好評発売中です。本書は,自由研究や探究活動に活用することを想定して,研究のテーマ選びからまとめまでを研究公正で捉え直しています。第3,4章には事例研究もあり,研究のルールに沿った活動を考える一冊です。
 現在は,もう少し普遍的な内容で学習できるよう,検討しているところです。今後についてご期待ください。

参考文献

文部科学省,「 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームにおける審議の取りまとめ(平成28 年8 月)」

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大橋淳史
いつもより,少しだけ科学について考えて『白衣=科学』のステレオタイプを変えましょう。科学はあなたの身近にありますよ。 本サイトは,愛媛大学教育学部理科教育専攻の大橋淳史が運営者として,科学教育などについての話題を提供します。博士(理学)/准教授/科学教育