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読書録55 高鳥都著「必殺シリーズ秘史 50年目の告白録」

まず表紙が素晴らしい!中村主水が人を斬った直後のモノクロかつ陰影が効いていて動きもある写真がドンと目に入る。

思わずジャケ買いしたと言いたくなるくらいだけれど、本作の購入は山崎努さんのTwitterでとても楽しいインタビューを受けた事、併せて書籍化も決まっているとのつぶやきを見た瞬間から決めていた。

内容も表紙に負けず素晴らしい。
山崎努さんを除いては、ほぼスタッフサイド(役者さんもいらっしゃるが裏方よりの仕事の達人の方々)のインタビュー集なのだけれど、あれだけ尖った作品を作ってきただけあって、皆さん「職人気質」の塊のような方々で、過去の作品について語るにも熱量が凄まじい。

また、微妙な人間関係の機微もそのまま掲載されているので、演者やスタッフの関係性や人間性が様々な角度から立体的に視えてくるのも面白い。
ヌルい付き合いではなく、時にバチバチした関係性だからこそ素晴らしい作品を生み出す事ができたんだろう。

個人的な「必殺」との出会いは中学生の頃で、「仕事人V旋風編」からリアタイ視聴してドハマリした。
藤田まこと御大言うところの「まんじゅうにクリームだのフルーツだの乗っけた」状態からのファンなのであるが、年数を経て過去作を遡って「クリームやフルーツ」を取り払っていった結果、「新必殺仕置人」こそがシリーズの頂点だと思っているので、山崎努さんのインタビューも含めて話題が多く取り上げられているのもうれしかった。

昨今の「ケーキの上に無理矢理まんじゅう乗っけた」ような「名ばかり必殺」にはゲンナリしてたりもするのだけれど、石原さんが言うように今作られているのが「必殺」という考え方も、まあ「有り」なのかな?とは少し思ったな。あくまで読後の感想としてだけれど。

大ボリュームにして内容もギッシリなため、少しお値段は張るのだけれど、山崎努さんのインタビューと最後に「鉄のポーズ」の写真を見るだけでもプライスレスの価値があった。

「買って後悔なし」必殺ファンは必読書だと思う。



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