国語教師が団鬼六をすすめちゃいます
『真剣師・小池重明』をオススメします。
著者は団鬼六氏。
団鬼六とは、そう、あの団鬼六です。知っている方はもちろんご存じの、団鬼六です。代表作は『花と蛇』シリーズ。いくどとなく映画化されています。出演された方で、有名どころだと杉本彩さんかな?他にもね、団作品にご出演の女優さんといえば、まずはなにをおいても谷ナオミさんでしょ、麻吹淳子さんでしょ、忘れちゃいけない高倉美貴さんでしょ、そう、いわゆるSMですね。
官能小説の大御所、SM界の鬼才、日活ロマンポルノの重鎮の団さんは将棋を趣味としていて、腕前はアマ六段だったとか。死後七段を追贈されたそうな。
団さんは1989年、断筆宣言をします。赤字にあえぐ日本アマチュア将棋連盟の機関誌「将棋ジャーナル」を個人で引き継ぎその経営に専念するためだったといわれています。しかし、努力むなしく赤字はかさみ1994に廃刊。一度は引退した小説家として復帰します。ふくらんだ赤字を返済するためだったとか。人生とはなかなかうまくいかぬもの。そう簡単には引退などさせてはくれないようです。しかしまあ、そのおかげであの「異形」シリーズが読めるんだからファンにとってはありがたかった。団さんは復帰後、官能小説を執筆するとともにまったく違うジャンルの小説も発表しました。『真剣師・小池重明』です。
真剣師とは?賭将棋で生きる人のこと。小池重明は実在の人物です。「新宿の殺し屋」と呼ばれました。恐ろしく強かったとか。プロよりも強いアマ、だったらしいですよ。(いろんなご意見はございましょうが)
官能小説の天才が賭将棋の天才を描くとどうなるか?「真剣」の語が示すように、まさに剣豪小説です。生きるか死ぬか、最後の一指しでばっさりと相手を切り捨てる、そんな勝負が繰り広げられます。
告白しますが、私、将棋はまったくわかりません。よく「駒の動かし方を知っているぐらい」といいますが、私は銀の動かし方はちょっと怪しかったりする。そんな私にも、ホントに手に汗握る勝負のありさまが伝わってくる。理屈じゃなくって感覚で読者をつかまえる技は、さすが官能小説家。官能小説もねえ、あれは理屈じゃないからねえ。感覚的につかまれちゃうともう、ホントに・・・。
その他に、自伝小説やエッセイも多数。官能抜きでもかなりおもしろいですよ。
私は知らなかったんですが、優れた官能小説に与えられる「団鬼六賞」というのがあるそうな。うーん、やっぱり読んでみたい。
ところで、団鬼六さんと私には共通点があります。なんだと思います?
え?○○ですか?いや、そういうことじゃなくて。いっそのこと××?いやいや、それでもなくて。(○○、××にはお好きな言葉をどうぞ)団さん、一時期、高校の先生をしていたんですよ。私もそのうち官能小説を、へへへ・・・・