ランナーのビジネススキル
隠キャ、コミュ障、排他的、偏屈、臨機応変な対応ができない、自己中、ひたすら自慢話をする、意外とガラスハート、運動神経が悪い、美的センスがない…。
ランナーは基本的に社会不適合者です。
そしてそれはランナー自身が1番痛感しているはず。
けれど彼らには彼らなりの強みがあります。
そこで社会に気付かれてないランナーの埋もれた能力を紹介していきたいと思います。
PDCAサイクルを回す習慣
これはアスリート全般の特徴としてよく言われることですが数字が全ての陸上競技では特に顕著です。
Plan・・・ターゲットレースを定め目標タイムを設定し、練習計画を立てる。
Do・・・メニューをこなしていく。レース出走。
Check・・・計画通りメニューをこなせているか?、レースを走ってどうだったか?
Action・・・練習、レースでの課題点を見定め、それを克服する練習を実施していく。
ポイント練習が週2回と考えると年間100サイクルを回していることになります。
さらに練習日誌をみながら、「このタイムの時はこうだったが、このメニューを取り入れてはどうか」とかひたすら数字と睨めっこしています。この数字的根拠をもって仮説(練習計画)を立て、検証(レース)をして振り返るという作業がランナーの基本習性です。
あとはこれを仕事に置き換えるだけで、常にアップデートされるビジネスマンの誕生です。
反復性ストレス耐性
スポーツでは優秀な成績を収め、もてはやされてきたトップアスリートの心は、案外脆いものです。上司の厳しい指導を受ければひとたまりもありません。ですが、ある一定のストレスに対しては強力な耐性を持ちます。
それは繰り返し作業の継続です。
ランナーの練習は基本"走る"ことです。いろいろなメニューがありますが、結局は"走る"です。それも単調な練習を何度も繰り返すことで、筋力・酸素運搬能力を獲得していきます。
しかしランナーはこの同じに思える練習の中にもそれぞれに意味を見出してひたすらに耐えることができます。今日の練習はオーバーペースで入る練習、今日は後半を耐える練習、この練習は乳酸耐性を獲得するため、などなど。
この能力が長期的なプロジェクトには大きな差を生み出します。
思考に没頭する時間
ランナーは比較的に深く思考するタイプの人が多いように思います。場当たり的に走るより、なぜその練習をするのかを考えるような人が多いです。もちろん仕事においても、この作業は何のためにやっているのかを考えます。
これはタイムを競う競技性もあるのでしょうが、それ以上に根本的に日常生活での思考時間が長いことに起因していると思います。
現代社会においてはスマホを置いて頭の中の世界に浸ることは極端に少なくなったと思います。スマホからの情報収集は非常に効率的な反面、蓄えられた情報を咀嚼して取り込む時間が圧倒的に足りていません。
火を扱い、稲作を発明し、産業革命が起こり、"暇"が増え続けたことで、比例して脳の活動時間を増やしてきた人間史において、スマホの普及は脳の活動時間を逆戻りさせました。
しかしランニング中は何も持っていません。物理的には外界と隔てるものは何もないのに、完全に孤立した世界に入ることができます。そうすると必然的に思考を巡らせる時間が増えるのです。言うなればドライブ中の感覚が近いと思いますが、車の運転には脳の容量を多く使うため、思考の効率はやはりランニング中が抜群です。
例えばロングジョグをするば2時間ひたすらに思考に没頭することができます。これがランナーの思考力の源泉なのです。
この他にも「とりあえず実行する力」、「KPIを長く細かく取る能力」、「全てをかなぐり捨てる術」などたくさんありますが、長くなるのでまた次回に。
ランナーの埋もれた才能資源は社会の潜在価値です。