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“ちょっとズルい”法人営業×心理学で断られにくい仕組みづくり

はじめまして、Sです。
今日は、法人営業で成果を出すための心理学について書いていきたいと思います。

特に新規開拓営業では、で無下に断られたり、初回商談までたどり着いても「うーん、また今度で……」と言われてフェードアウトされたり、心が折れることも多いですよね(私も本当に泣きそうになったこと、何度かあります…)。そこで今回は、そんな新規開拓営業において“心理学の力”を使って成果を伸ばす方法をお話ししようと思います。

「そんな心理学とか、小難しいことわからないよ!」と思われるかもしれませんが、なるべく実務でパッと使えるように、難しい用語は最小限に抑え、具体的なトーク例を盛り込みました。


1. 新規開拓アポ取得時に使える心理学テクニック

1-1. 好意の返報性

人は、好意を向けられると同じように好意を返そうとします。新規アポ取得の場面で、電話やメールのやり取りが中心になりやすいですが「好意を“先に”渡す」つもりで臨むと、返報性が働きやすくなります。

具体的な使い方・トーク例

  • 電話で「〇〇社さんの取り組みを以前プレスリリースで拝見しまして、その独自のプロモーション戦略がすごく面白かったです」と相手を褒める。

  • メールなら「先日の〇〇のニュース記事を拝見しました。まさに私自身が学びたい内容で、非常に刺激を受けました」と冒頭で好意を示す。

「お世辞はわざとらしくない?」と心配になるかもしれませんが、ちゃんと相手企業の情報を調べてから、本当にすごいと思った部分を素直に伝えれば大丈夫。こちらがピュアな好意を示すと、先方は「とりあえず話を聞いてみようかな」と思ってくれる可能性が高まります。

1-2. 単純接触効果

人は、何度も接するとだんだん好感度が上がるという心理的傾向があります。新規開拓では一撃必殺を狙いがちですが、実は「ちょこちょこ接触する」ことが大事。二度目の電話のほうが断られにくい、といった経験はありませんか?

具体的な使い方

  • 「3回Touch(接触)プラン」を自分で組む

    1. メールで簡単な自己紹介&ご挨拶

    2. その2~3日後に電話で「先日のメールをお読みいただけましたか?」と問い合わせ

    3. さらにフォローのメールや、資料の郵送(あれば)

この段階で「単純接触効果」がじわじわ効いて、相手にとってもなんとなく馴染みのある存在になります。

1-3. ドア・イン・ザ・フェイス

「最初に大きめの要求を提示して断られ、そのあとに本命の要求を出す」という交渉技法。新規アポ取得では、おおげさに大きな要望をするのではなく、「断られて当然の少しハードルの高い要望」をあえて最初に出すイメージです。

具体的なトーク例

  • 最初の電話で「あの、可能でしたらお時間2時間ほど頂いて、御社の課題をじっくり伺えれば…」と言う(少し長すぎる印象をあえて出す)。

  • 先方が「いや、2時間は無理だよ」と断れば、「では、1時間だけでもお時間をいただけませんか?」と切り出す。

不思議なことに、最初の要求を断った相手は、次の“小さな要求”を「まあそれならいいか」とOKしてくれることが増えます。もっとも、やりすぎると「なんだこの人?」となるので、あくまで自然な範囲に留めるのがコツです。


2. 初回アポイント(商談の導入)で心を掴むテクニック

2-1. ハロー効果

相手が最初に受けた印象が、その後の評価を左右します。特に身だしなみや話し始めの第一声が、商品やサービスのイメージにも影響するんですね。

具体的な使い方

  • 清潔感のある服装や名刺入れ、笑顔での挨拶(基本ですが意外と見落としがち)。

  • 「本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます!」と元気よく伝え、明るい雰囲気を作る。

「うわ…テンション高すぎ…」と思われない範囲で、ほんの少しオーバー目にやるくらいがちょうどいいです。

2-2. メラビアンの法則

コミュニケーションにおいて、言葉よりも“見た目や声のトーン”のほうが相手の印象を左右しやすい、という有名な法則です。新規開拓の初回商談では「何を言うか」だけでなく、「どう言うか」「どんな表情で言うか」が同じくらい重要。

具体的な使い方

  • プレゼン資料を見せるときは、相手の目を見るのが半分、資料を見るのが半分くらいのバランス。話しながら相手の反応をしっかり確認する。

  • 声のトーンは少しゆっくり目で落ち着いた感じ、かつ語尾はハキハキ。

2-3. バーナム効果

「誰にでも当てはまりそうなことを、自分だけに当てはまると思い込ませる」心理現象。初回のアイスブレイクで「最近、どの企業さんでも〇〇な課題を感じているようで…」「実は私の他のお客様でも、似たような状況が続いていて…」などと切り出すと「うちもそうかも」と自然に思ってもらいやすいです。

具体的なトーク例

  • 「私が伺った企業さん、皆さん口をそろえて“人手不足で新事業にリソースが割けない”と苦労されてます。御社のように事業多角化されてると、やはり似たような課題ありますよね?」

こうした“多くの企業で起きている一般的な話”から入ると、相手は「そうそう、うちも人手不足は悩みなんだよな」と共感しやすくなります。


3. プレゼンで「なるほど!」を引き出すテクニック

3-1. マジカルナンバー

人間が短期的に記憶できる情報は「4±1」個と言われています(マジカルナンバー4)。情報を3~5個程度に絞ってあげると、スッと頭に入ります。

具体的な使い方

  • 提案のポイントを「3つ」にまとめる。「今日は3つだけ、要点をお話しさせてください!」と宣言する。

  • 資料の見出しや箇条書きも3~5個に絞って読みやすく。

「結論としては3点です!」と区切るだけで、先方にとって記憶の負担が減り、好印象を持ってもらいやすくなります。

3-2. フレーミング効果

同じ内容でもポジティブな表現かネガティブな表現かで相手の印象が変わるのがフレーミング効果です。

具体的な使い方

  • 「今、このソリューションを導入すると、1カ月でリード獲得数が約1.5倍に増やせます!」(ポジティブフレーム)

  • 「もし導入しない場合、同業他社との競争で取りこぼしてしまうリードが増える可能性があるんです」(ネガティブフレーム)

両方を上手に使い分けて、最終的には相手がポジティブに導入をイメージできるように話を閉じるのがポイント。ネガティブな要素ばかり押し付けると、押し売り感が出てしまうので注意です。

3-3. 両面提示の法則

商材のメリットだけでなくデメリットも先に伝えることで「この人、正直だな」という印象を与えられます。結果的に信頼度が増し、「そのデメリットを補ってでも導入すべき理由」へとつなげやすくなります。

具体的な使い方

  • 「実は初期導入時にサポート費が少しかかるというデメリットがあります。ただ、その後の維持費はほぼゼロで、1年通して見ると総コストはかなり低いんですよ」

  • 「導入後、社内周知に時間がかかるかもしれません。ただ、それを見越して最初に丁寧な研修サポートをつけています」

デメリットを包み隠さず伝えると、一時的には「え、マイナス要素?」となりますが、同時に「誠実に話している」と評価され、最終的には導入のハードルが低くなることも多いです。


4. クロージングで成約率を高めるテクニック

4-1. 希少性の原理

「残りわずか」「期間限定」「特別枠」など、人は手に入りにくいものほど価値を感じます。新規開拓だと「そんな限定とか希少性は作れない」と思うかもしれませんが、あえて“期間限定のキャンペーン”や“早期導入割引”などを設ける工夫が有効。

具体的な使い方

  • 「実は今月だけ、導入時に追加オプションを無料でお付けできる枠があと2社分しかなくて……」

  • 「先着順で、最初の3社は特別プランを用意しています」

もちろん“嘘”は厳禁ですが、社内調整などを行って少しでも特典や数量限定を設けられるなら、相手の心理を動かす上でかなり強いカードになります。

4-2. 社会的証明の原理

人は他の人(特に第三者)が良いと言っているものを信じやすい、というのが社会的証明の原理。さらに、営業本人がいくら「うちの商品はすごい」と言っても限界があるので、他社の導入実績やユーザーの口コミを示すのが効果的です。

具体的な使い方

  • 「すでに〇〇業界の△△社さんにも導入いただいて、成果が出ています。皆さん最初は同じ不安を抱えていましたが…」

  • 「こちら、実際に導入されたお客様の声です。“1カ月でアポ取得数が倍に伸びました”とコメントされています」

一言、他社の具体的な事例や導入社数を提示するだけで「みんなやっているなら安心かも」という安心感が出ます。

4-3. ピークエンドの法則

人の評価は、最も印象的な部分(ピーク)と終わり際(エンド)で決まるという心理法則。クロージングの場面では、最後にプラスの印象を残すように意識しましょう。

具体的な使い方

  • 商談を締めるときに「本日は貴重なお時間、本当にありがとうございました。御社の課題感をしっかり理解できて、自分自身も勉強になりました!」と、相手の貢献を認める言葉を添える。

  • 提案がまとまった際に「ご決断いただいて感謝します!しっかり成果を上げられるよう、一緒に頑張らせてください!」と力強く、かつ笑顔でまとめる。

最後のひと言で「あ、この人に頼んでよかった」と感じてもらえれば、契約後の関係性もずっとスムーズになります。


5. 実際のトーク例

5-1. トーク例:新規アポの電話編

「はじめまして、私、○○会社のSと申します。実は、先日御社の△△というプレスリリースを拝見しまして、正直“なんだこの素晴らしい取り組みは…”と感動したんです。もしよければ、そのあたりの詳しいお話を伺いながら、弊社のソリューションとの相乗効果を検討していただけないかと思いまして、ご連絡させていただきました。」

ポイントは、相手をほめる(好意の返報性)。

5-2. 初回商談の入り方例

「今日はわざわざお時間頂きありがとうございます!資料を3つ用意してきたんですが、実はこの3つさえ把握していただければ、弊社のサービスだいたいわかっちゃうんですよ。」

とにかく「これを聞けばOK」「余計な話はしないから安心して」という安心感を伝えるのも大事です。


6. まとめ:心理学を道具にして、長く使いこなそう

ここまで、新規開拓営業の各ステップ(アポ取得 → 初回商談 → プレゼン → クロージング)で使える心理学テクニックを紹介してきました。正直なところ、覚えるだけなら本やネットでいくらでも学べますが、現場で活用して初めて血肉になるもの。「セリフを丸暗記してもうまくいかないんじゃ……」と不安に思うかもしれませんが、最初は真似でもいいんです。

たとえば「好意の返報性」を意識して相手を素直に褒める。「単純接触効果」を狙って自分の名前と顔を徐々に覚えてもらう。「両面提示」でデメリットも正直に話す。「社会的証明」で導入事例を伝えて安心してもらう……。これらを自分の言葉に落とし込み、定期的に振り返りながら実行を継続することで、確かな手応えが出てくるはずです。

私自身、いまも試行錯誤の連続ですが、心理学のエッセンスを取り入れるようになってから「とりあえず話を聞いてみようかな」と言ってもらえる機会が格段に増えました。「営業ってしんどいなぁ」と感じていたマインドセットが変わり、「こうやればけっこう話してもらえるんだ」「むしろ相手に喜んでもらえるんだ」という感覚に変わっていったのは大きな収穫です。

新規開拓に苦戦している方、ぜひ今日の仕事終わりにでも“心理学ワザを一つ”だけ試してみてください。そして、何か小さな成功があれば、自分自身をしっかり褒めてあげてください。小さな成功体験の積み重ねこそが、営業のモチベーションを支える燃料になります。
ではまた、お会いしましょう!


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