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宗教や信仰についての雑記 #350

◯自己コントロール

先日、マシュマロ・テストについての話を聞きました。
マシュマロ・テストとは、子どもにマシュマロ一つを与え、「今すぐ食べてもいいけど、15分待てばもう一つもらえる」と伝え、その子がどれだけ待つことができるかを観察する実験です。

この実験で、15分待つことができた子どもは、将来、学力が高かったり、ストレス耐性が高かったり、社会的に成功する傾向があるということが、長期的な追跡調査によって明らかになったそうです。

このことから、マシュマロ・テストで現れる「待つ」という行為は、単にマシュマロを我慢するだけでなく、将来の大きな報酬のために目の前の誘惑を我慢するという、自己コントロール能力の現れであると考えられています。

そこで信仰が自己コントロールに与える影響について調べたところ、これは非常に複雑で個人差が大きいもので、良い面と悪い面のどちらも考えられるとのことでした。

まず良い面は、
・信仰の規律による自制心の涵養
・目標設定と達成による自己効力感の向上
・信仰による心の支え、ストレスの軽減
・コミュニティからのサポート
といったことがあります。

一方、悪い面には、
・過度な規制による自由の制限
・外部からのコントロール
・非現実的な期待
・排他的な思考
などのことがあります。

現代の社会は個人主義が浸透し、価値観が多様化していて、信仰の形にもそのことが影響しているように思います。
従来の「教団」という形に対して敬遠や警戒をする人が増え、個人的なスピリチュアリズムに向かう人の割合が増えているような気がします。
そのような状況では、上記の悪い面の「外部からのコントロール」はありませんが、良い面の「コミュニティからのサポート」も得られません。ですから従来よりも、より高い自己コントロール能力が必要になるでしょう。

自己コントロール能力を高めるため、個人でできる方法には以下のようなものがあるそうです。

・具体的な目標を設定し、その目標を可視化する
・小さな目標を達成し、成功体験を積み重ねる
・誘惑を遠ざけ集中できる環境を作る
・マインドフルネスを取り入れ、今に集中する
・小さなことから始め、ルーティンを作る
・質の高い睡眠をしっかりとる
・ストレスを管理し、溜め込まない
・自分の行動パターンを知り、改善点を見つける

それでも自己コントロール能力を高めることは、なかなか難しいと思います。
現代社会の様々な問題や、世界の様々な紛争なども、人間の自己コントロールの限界が大きな原因のひとつとなっているのではないでしょうか。

その限界に対して私たちはどのように向かい合えばいいのでしょう。宗教や信仰はそれに対して何ができるのでしょう。
それはまた、後々考えてみたいと思います。

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