直線に対称な点と行列

早速だが次のような問題を考えてみる。

点A$${(1,1)}$$を直線$${y=2x}$$に関して対称移動した点A'の座標を求めよ。

よく受験で見る問題なので受験生なら10秒以内に解法が出てくると思う。
ここでは高校数学での解法と行列を用いた解法で解いてみる。
なお高校数学では数学II程度の知識が、行列の方は後述する動画が理解できれば読める(はず…)

まずは高校数学の解法

点A'を$${(p,q)}$$とする。
すると
$${\dfrac{q-1}{p-1}*2=-1}$$
かつ
$${\dfrac{q+1}{2}=p+1}$$なので
これを解いて
$${(p,q)=(\dfrac{1}{5},\dfrac{7}{5})}$$

なにをやっていたかというと
直線と線分AA'は直交するので傾きの積が-1
そして二点の中点は直線上にある。
この二つを連立方程式として解けばよかった。

行列を使う

この動画を理解できているとよりイメージしやすい。

まずすることは点$${(1,1)}$$を(1,1)ベクトルと読み替えておく。
そして基底の変換をする。
変換したもとで対称に移動して、
また戻す。
ということをやっていく。

$${A=\begin{bmatrix}1 &  {-2}\\ 2& 1\end{bmatrix}}$$

とおいておく。
これは(1,0),(0,1)を基底としている世界(標準世界としておく)から(2,1)(-1,2)(そのような世界としておく)を基底としている世界への変換だと思える。
そして$${A^{-1}}$$を考えると、これはそのような世界から標準世界への変換と思える。
そのような世界でy座標をひっくり返すことを考える。
これは次の行列で実現できる。

$${B=\begin{bmatrix}1 &  0\\ 0& -1\end{bmatrix}}$$

そして最後にAをかけて戻してあげよう。
つまり$${ABA^{-1}}$$を計算する。

行列部分は$${ABA^{-1}=\dfrac{1}{5}\begin{bmatrix}{-3} &  4\\ 4& 3\end{bmatrix}}$$

これに右(11/30訂正)から(1,1)ベクトル(の転置)をかければ先ほどの計算と一致する。

複素平面で点の回転を一度原点に移動して複素数をかけて、また戻す。といった操作と似ているかもしれない。

少し注意をしておく。
Aは標準世界からそのような世界への変換を与える。
しかし座標としてはそのような世界から標準世界へ与えることになっている。
これは先ほどの動画でも解説されているし、少し手を動かすことで確認できる。
このことに注意すると。
先ほどやっていたことは
まず標準世界の(1,1)をそのような世界のベクトル(座標)に変換する。
そしてそのような世界で対称に移動する。
そしてそのような世界内で移動したベクトル(座標)から標準世界のベクトル(座標)に変換する。
ということである。
これは任意のベクトル(座標)で成立するので、この行列さえ求めればほかの点も計算できる。

あとがき的な

幾何の授業のために線形代数を復習していたのだが、バイトでこのような直線に関して対称に移動するというものが出てきて、これにも使えるのでは?となった。
もちろん受験生がこのような解答を書くことは難しいし、そもそもこれよりも最初に紹介した方がより簡単で安全である。

線形代数を習ったことがある人が練習問題として解いてみるのは面白いのではないかと思う。

そしてこの解法では直線が原点を通らないと使えないが平行移動すれば使える(はず)なので線形代数を習った人はこれで解くのも面白いのかなと感じた。

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