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スティーブン・キング『悪霊の島』を読みました

正月休みに『悪霊の島』を読みました。

悪霊の島
スティーブン・キング 白石郎訳

交通事故で片腕・片足を失った主人公フリーマントルと妻と娘を失ったあとに拳銃自殺を試みるが弾が頭の中に残ったまま死ねなかった相棒ワイアマンの50代おじさんコンビの復活再生の物語です。

アクションシーンはありません、ワイアマンの『日々の務めをし、日々に務めさせよ』のことば通りに2人は予め与えられた役目を淡々とこなしていきます。最後の悪霊との対決でもパズルを組み立てていくように進んでいきます。派手さはありませんが上下巻1100ページを一気に読んでしまいます。

デュマ・キーに行く前に犬のガンダルフを失った右腕で安楽死させるシーンも不気味ですが、話の鍵になるのはフリーマントルの失った右腕が書き上げる絵画です。この絵画でデュマ・キーの過去をあばいていきますし、未来を変えることもできます。ダークタワーでも敵の親玉との対決で絵を書くことが使われていました。今作もダークタワーの最終話もキングが交通事故にあった後に書かれているので、このアイデアは事故からの復帰途中に得たものかもしれません。それにしても書き上がる絵画が増えるごとにフリーマントルの名声が高まっていき、同時にフリーマントルに悪霊の手が迫っていくところはキングのおそろしくすばらしい考えに驚くばかりです。

ラストのミネソタの湖に悪霊を沈めるのですがやりきった男2人を晴れやかに表現しており、1100ページを読み切った読者の感情と重なりすばらしいシーンとなっています。

この作品の中にも
『笑いは百薬の長だぞ、リーダーズ・ダイジェスト誌にもそう書いてあった』

『ちゃんと番号いりの整理券を受けとって、順番待ちの行列にならべよ』
等のアメリカンジョーク?が出てきます。こうゆうセリフがなければページ数がだいぶ減ると思うのですが、でもそこは問題ありません読書も私の人生の間埋めのようなものだからです。






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