見出し画像

トマス・ピンチョン『LAヴァイス』を読みました


たまにいく本屋に並んでいるトマス・ピンチョンの小説。このかっこいい名前の小説家の小説をいつか読んでみたいと思っていました、その中でも『LAヴァイス』という一番かっこいい題名の小説を読んでみました。『LAヴァイス』は邦題で、『inherentVice』が本当の題名になります。海上保険用語の『内在する欠陥』から来ていて、元からある悪というような意味でしょうか詳しくは478ページ読んでください。人間があらかじめ持っている悪意、変えられない性根というように感じました。

読み始めて思ったのがとにかく登場人物が多いということです。ほとんどが一瞬しか登場しないのですが、新しい人物が出てくる度に遡って読んだりしてなかなか進まないので、登場人物をメモってみました。

  • ドッグ・スポーテッロ 主人公の探偵

  • シャスタ・フェイ・ヘップワース ドックの元恋人

  • リード ドックのおばさん 不動産業界の情報通

  • ミッキー・ウルフマン ドイツ系マフィア 不動産業界の新興勢力

  • ビックフット・ビョルセン LAPDの警察官 過去に相棒が殺害されている ヒッピー嫌いの狂犬

  • デニス ドックの近所に住む友人

  • エンセナダ・スリム ドラッグストア経営

  • バティ・チューブサイト ドックの事務所に間借りするあやしい医者

  • ペチュニア バティの医院で働く女性

  • タリク・カーソル ドックに仕事を依頼したあとに殺害される 黒人

  • グレン・チャーロック タリクと刑務所で一緒 ミッキー・ウルフマンの用心棒 なにものかに殺害される

  • スレッジ・ポティート タリクにドックのことを教えた

  • ソンチョ・スライエクス ドックの顧問弁護士

  • コーイ・ハーリガン ザ・ボーズのサックス奏者 行方不明になっている

  • ホープ・ハーリガン コーイの妻

  • エル・ドラド ドラッグのディーラー 本名レナード

  • バッド・デュボネット ゴルディーダビーチ署の警官

  • フリッツ・ドライビーム ドックの相棒

  • スローン・ウルフマン ミッキーの妻

  • リッグス・ウォーブリング スローンの愛人 ゾームの設計・施工が仕事

  • ルス ミッキーの愛人の1人

  • ルルドとモーテラ ドッグの友人のCA

  • フラットとボーダライン FBIの捜査官

  • クッキーとホアキン ルルドとモーテラの友人

  • ジェイド マッサージパーラーチックプラネットの従業員

  • スパイク ベトナム帰還兵 エンジニア

  • ソルティレージュ スパイクの友人

  • ヴェヒ・フィールド ソルティレージュの師匠

  • ファーレン・ブランチ スパイクの仲間 カメラマン

  • バンビ ジェイドの友人 シビル・ブラント女子更生施設で知り合う

  • ケヴィン コズミックバナナのオーナー

  • クランシー・チャーロック グレン・チャーロックの妹

  • ボリス・スパイビー ミッキーの用心棒

  • パック・ビーバートン ミッキーの用心棒 グレン死亡の原因となる

  • ジェイソン・ヴェルヴィータ 白いロールスロイスに乗るポン引き

  • ドクター・ブラットノイト 黄金の牙企画㈱にいる歯医者

  • ジャポニカ・フェンウェイ ドッグの昔の顧客 精神病院の患者

  • クロッカー・フェンウェイ ジャポニカの父

  • アーサー・ツィード海軍兵器局で働く民間の技術者 市民警備隊の一員

  • トリリング・フォーナイト UCLA音楽講師 木管楽器奏者

  • アイナー バックのビジネスパートナー

  • デルウィン・クワイト ラス・ヴェガスの古物商

  • ティート ビアというバンドのメンバー ドックのいとこ

  • アドルフォ ティートの友人

  • ラーク ノースラスヴェガスのカジノキスメットにいた女性

  • フェビアン・ファツォ キスメットのディーラー

  • ペペ エルドラドの友人

  • エイドリアン・プロシア 高利貸し 殺し屋

  • ヴィンセント・インデリカート 刑事X プロシアに殺された ビックフットの相棒だった

  • バーク。ストッジャー カリフォルニアの光る目の一員 俳優

だれかに会ってヒントをもらって次の人に合うみたいな話の流れがわかってきました、RPGゲームみたいです。あと、ドックは映画が好きで映画の題名・俳優の名前がたくさん出てくるのですがそれも調べていたら進まないので流しました。

主人公のドックはヒッピーと既得権益を確保している白人のあいだで上手く立ち回り捜査を進めていくんですが、その感じをうまく表現しているのが427ページ恋人のシャスタの『警察で働きたくない警官なわけ。本当は警察とおんなじことをしているのに、サーフィンだ、スモーキンだ、ファッキンだ、ってそれい以外のことがしたいみたいなフリをしている』というセリフです。報酬もでないのに頑張っているところは本当にいいやつなんだと感じます。痛いところをつかれて落ち込むところもかわいいです。

ニクソンが大統領の時期なので、舞台となっているのは1969年から1974年のはず。2009年にこの小説が出版されたのにはなにか意味があるのでしょうか。365ページにある支配と制御のエージェントという言葉が象徴する世の中になってきたためかもしれません。

492ページの小切手が送られてくるところは、この小説で一番たのしいところです。コーイが帰ってくるところもドックの頑張りが報われる最高のエンディングだと思います。



いいなと思ったら応援しよう!