墓暴き小説『インヴェンション・オブ・サウンド』チャック・パラニョーク
私の読んだ墓暴き小説の第三位です。ちなみに1位はスティーヴン・キングの『ダーク・ハーフ』、2位はチャド・ハーバックの『守備の極意』です。
『インヴェンション・オブ・サウンド』
チャック・パラニョーク著
池田真紀子訳
正直、この小説の内容を理解したとは言い難い心境です。ただわかることはミッツィ・アイブズとゲイツ・フォスターの力関係が180°変わった箇所です、それはフォスターが墓暴きをしたところです。
墓暴きをするには条件があります。
・土葬であること
・葬儀の終わった死亡したか死亡したことになっている知り合いがいること
・墓暴きをするほどに解明したい事象があること
以上のようなところでしょうか。フォスターにはこの3つの条件が当てはまるのです。
フォスターは墓暴きをすることによって、今までなんとなくわかっていた事実を受け入れなくてはならなくなります。そして、今後生きていくためのヒントのようなものを得ます。
逆にミッツィは真実を受け入れることができないため、すべてを失っていきます。フォスターは支配される側から支配する側へ、ミッツイと入れ替わるように変化して行くのです。
私は小説の中だけですが、墓暴きをすることによって人生が変わっていくことを知っています。スティーヴン・キング『ダーク・ハーフ』では小説家がペンネームを捨て本名で勝負しようとすることから悲劇が始まります。チャド・ハーバックの『守備の極意』では若者たちが新しい人生の始まりの儀式となっています。
フォスターは支配する側になって生き続けるのですが、それは悪夢の中でただ生きていくだけの用な感じがします。墓暴き前の狂気に支配された人生のほうが生きているという実感があったのかも知れません。
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