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『テナント』『ストーナー』読みました

バーナード・マラマッド『テナント』とジョン・ウィリアムズ『ストーナー』を読んだので感想を書きます。

『テナント』

バーナード・マラナッド著 青山南訳
マラナッドはユダヤ系ロシア移民の子でニューヨーク生まれらしいのですが、小説は初めて読みました。この本はユダヤ系作家レサーと黒人小説家志望ウィリーの物書き同士の壮絶な戦いとあらすじにあったので、なんじゃそりゃと思いすぐに静岡市立図書館で借りてきました。1971年出版されたのですがまったく古く感じられません、翻訳されたのが2003年というのもあるし解体寸前の廃墟マンションが舞台というのもあるのでしょう。
サラーは2冊の小説を出版した実績があるのですが3作目の執筆に10年掛かっています、ウィリーはアマチュア作家です。単に物書き同士の対決というより白人と黒人の人種の違い、女性をめぐっての男同士の争いが主に語られていきます。どちらかと言うとサラーがウィリーを挑発しているように感じます。その結果ウィリーがサラーの書きかけの小説を焼いてしまうという悲劇が起こるのですが、サラーは意外と冷静なんです。サラーは小説を完成させるのが怖かったのではないかと思います。
著述するとい行為がものすごく大変なことでるとわかりました、サラーがどんな形でもよいので小説を終わりにしたいという執念が感じられました。

『ストーナー』

ジョン・ウィリアムズ著 東江一紀訳
有名な音楽家と同じ名前であるのと裏表紙に「美しい小説・・・文学を愛するものにとって得難い発見となるだろう」とあったのでこちらも静岡市立図書館で借りてきました。ストーナーさんという不器用な男の人生が語られています。すべてがまったく上手く行きません、なに一つ楽しいことがない人生です。でもストーナーの英文学への頑な愛とちょっとした反骨心に共感するところもあり読み込んでしまいます。

どちらの小説家も初めて読むのですが、他の小説も読んでみたいです。本当にきりがないのですが、新しい小説家を知る楽しみがありますね。


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