アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯』②
モンテ・クリスト伯パリにあらわる
第3巻と4巻ではモンテ・クリスト伯がいよいよパリに現れ、徐々に復讐する相手に近づいて行く様子が描かれていきます。この2冊のクライマックスはモンテ・クリスト伯のパリでの住まいであるオーティユ・ラ・フォンテーヌ町二十八番地でのパーティになります。
そこに集まったのは・・・
モンテ・クリスト伯・・・主人公ダンデスの変名、脱獄後に手にした莫大な財産をつかって自分を牢獄送りにした人間に復讐する
ベルツェチオ・・・モンテ・クリスト伯の家令、ヴィルフォールに恨みがある
カヴァルカンティ少佐とその令息アンドレア・・・モンテ・クリスト伯の財力によって仕立てられたニセの親子
ヴィルフォール・・・検事総長、検事補時代にダンデスを牢獄送りにした
ヴィルフォール夫人・・・ヴィルフォールの二番目の妻
ダングール男爵・・・ダンデスと同じ商船の会計係だった、ダンデスの出世をねたみ、牢獄送りにするアイデアを思いつく
ダングール夫人・・・ヴィルフォールの子どもを生み、小さな箱に入れ、オーティユ・ラ・フォンテーヌ町二十八番地の庭に埋める
マクシミリヤン・モレル・・・ダンデスの乗っていたファラオ号の船主モレル氏の息子、ヴィルフォールの娘ヴァランティーヌと恋仲
アルベール・ド・モンセール・・・モンセール伯爵の息子、ヴァランティーヌと政略結婚する予定、モンセール伯爵は元の名をフェルナンといいダンデスを牢獄送りにした実行犯、ダンデスの許嫁メルセデスを妻としている
リュシアン・ドブレー・・・内務大臣秘書官
シャトー・ルノー男爵・・・祖先は円卓に列したこともある名門
モンテ・クリスト伯主催パーティ
本人たちがわかっていないだけで、もしくは関係がバレてないと思っているだけで、ほぼ全員がなにかしらつながっています。皆が知らず知らずのうちにモンテ・クリスト伯の仕掛けた定置網の奥にどんどん追い込まれて行く感じが伝わってきます。このパーティでもモンテ・クリスト伯はことばたくみに全員の心を捉えていきます、それが復讐の始まりであるかのようにです。
ヴォルガ河からチョウ鮫を、フサロ湖から八目うなぎを取り寄せて同じ食卓に並べることで客の度肝をぬきます。この時点で出席者はモンテ・クリスト伯に完全に操られているのです。
ここまで読むと復讐は簡単に行うことができそうですが、モンテ・クリスト伯は簡単には終わらせてくれそうもありません。自分が受けた苦難を何倍にもして返すつもりであることが伝わってきます。正直、読んでいてかなり都合がよすぎるなと感じますが、それ以上にこのさきどうなっていくのかが楽しみでなりません。
謎が多すぎる
そして、あらたにでてきた事柄もたくさんありました。ベルツェチオが殺したはずのヴィルフォールが生きていたこと、同じくベルツェチオが箱から助け出したヴィルフォールの子どもの行方、マクシミリヤンとヴァランティーヌの恋の行方、アルベールがモンテ・クリスト伯の本性にあやしさを感じ始めたこと、カヴァルカンティ親子がどのような役割をはたすのかといったことがどんな進展になるのかも気になります。