「どうせ」とか思い込んでて、ごめんよ。
いまさら「断乳」することになった。
昼寝前と、夜寝る前しか吸っていなかった。
そしてたぶん、ほぼ出ていなかった。
けど、やめ時がなくて続けていた。
惰性で、ダラダラと。
しかも、吸うのは左乳だけ。
偏りまくる、マイ乳。
しかし、きっかけは突然おとずれた。
来月、「親不知」を抜くことになった。
わたしが。
麻酔ありで。
奥歯のすべてに「親不知」があり、下二つは横向きで、骨や神経に接している。
ていねいに手術の話を聞いていると、だんだん気分が悪くなってきた。
すると、先生が麻酔を提案。
うつらうつらしている間に、抜く方が安心して挑めると聞いて、お金はかかるけど、お願いすることにした。
その麻酔をするにあたって、授乳を控えるよう言われた。
ほな、やめなければ。
「2日だけでも、やめられる?」と心配そうに聞いてくださったが、わたしは「いや、もう終わりにします!」と高らかに宣言した。
そうだよ。
もう2歳なんだから。
授乳はもう、必要ないんだよ。
こうして、「断乳」に踏み切ることとなった。
◇
結果から言うと、「断乳」してよかった。
「イヤイヤ期」に「断乳」なんて、キレるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、全然。
何度か服をめくって、「おっぱい」と言いにきたが、「もう出ないんだ〜」と終わりを告げると、キョトンとするものの、概ね納得した態度で諦めてくれた。
あ、終わりなんだね。
そんな、分かってくれている感じがする。
そうだよね。
てか、出てなかったしね。
昼寝は車でおこない、夜は抱っこで揺らして寝かすことにした。
しかし、抱っこも居心地が悪いのだろう。
自ら「ごろーん」と言いだしたので、暗い部屋の布団に転がしてやる。
もぞもぞしている次男の隣に、寝転ぶ。
しばらく、見つめ合う。
「‥おっぱい」
「‥もうないんだよ〜」
そんなやりとりをもう一度交わすと、次男はニヤニヤして、起き上がった。
そのまま、うんしょうんしょと言いながら、わたしの腹の上によじ登った。
そして、胸のあたりを枕にして、眠り出した。
‥‥‥重。
熱い‥。
でも、かわいい‥!!
ぺっちゃんこのカエルみたいな次男が、わたしの上に乗っかっている。
そのまま深く寝てくれたので、しばらくして、横にゴロンと落とした。
この腹の上で寝るのが良かったのか、いつも夜中にキレながら何度も起きていたのに、すっかり寝つきが良くなった。
朝も、4時起きがザラだったのに、6時近くまで眠るようになった。
__なんだ。
コレで、よかったのか。
こんなことで、いろんなことが解決するのか。
拍子抜けしてしまうくらい、呆気ない。
ずっと、「断乳」が怖かった。
次男の要求を跳ね除けて、耐えられる自信がなかった。
「オッパイはおしまいだよ」って言えばいい。
そうアドバイスをもらったりもしたけど、「どうせ、言っても分かんないやん」と、次男を信じる気になれなかった。
だってまだ、ちょっと喋れるくらいのさ。
まだ2歳やで?
泣いて、わめいて、今よりも散々なことになったらどうするの。
これ以上イライラして、ますます辛い気持ちになったら、わたしは、わたしは。
でも、次男はちゃんと分かってくれた。
それどころか、うまく寝られないのを次男のせいにしてたけど、寝方を変えたらうまくいった。
つまり、次男にはちゃんと「寝る力」があった。
それならもっと、早くそうしてやればよかった。
ごめんよ次男。
信じてなくて、ごめん。
どうせ、とか思っちゃってごめん。
君はちゃんと、すごかった。
あ、あと、長々と授乳させてくれて、ありがとう。
おかげで、お母さんのお乳はヘニョヘニョです。
ねえ。どうするこれ。ねえ。
そんなわけで、ひとやま乗り越えたような気分のわたしと、次男。
まだ「イヤイヤ期」とか、向かってくる壁や山が近づいてきてるのを感じるけど。
とにかく、ひとつ乗り越えた。
それだけで、誇らしい。
今週、次男にとっても、わたしにとっても、一大イベントが待っている。
それを乗り越えたら、私たちまた、いっしょに成長できるよね。