勉強って何のためにするの?
勉強の目的は、教科の内容を理解したり、覚えたりすることではありません。
学生の間ってとにかくいろんな大人から、「勉強をしなさい」「勉強は今の内にしておいた方がいいよ」と言われがちじゃないです?
そういう大人に出くわしたら、ぜひ、「どうしてそう思うんですか?」と聞くようにしましょう。その理由には、その人の人生での経験や想いが詰まっています。
「学生の時、勉強をもっとしていたら今の仕事よりいい仕事に就けた可能性が高い」とほんの少しの後悔の匂いや、自分の可能性をもっと広げてあげたかったという気持ちを感じられたり。
または、「勉強をして自分の可能性を広げることは、君の将来の為になるんだよ」と、納得できるようで、今の自分にはちょっとピンと来ないような説明をされる事もあるかと。
私は、残念ながら、何のために勉強をするのか、誰しもが納得できるような説明をしたり、あなたのやる気が出ちゃうような内容を伝える事はできません。
でも、勉強が大の苦手で、定期試験で平均点を取るのもむずかしいような学生だったのに、どうして勉強が好きになってしまったのかについてのお話をする事はできるかもしれません。
そして、今の私が考える「勉強をする目的ってこういう事じゃないかな?」についてもお話ししてみようと思っています。
1、私が勉強を始めた理由
中学生時代、成績表には「2」ばっかりだった私が勉強を始めたのは、高校生になってからです。
実は、高校は公立へ行くようにと言われていました。しかし、受験生の時、勉強をしていなかったために、その地域で行ける公立高校がなくって、かと言って高校へ進学しないと言うのはハードルが高く感じたので、仕方なく私の成績でも入れる私立高校へ進学しました。
ここで父親ともめました。父は「公立へ行けと言っただろう!約束とちがう!1年浪人(入学を一年遅らせて受験勉強をもう一年)しろ!」と叫んでいたんです。
そんな父を何とか落ち着かせて私立高校へ進学できることになったのですが、この時、「大学受験をして有名大学へ入ること」という約束を一方的に結ばされました。そうです。「〇〇を許す代わりに、××をしろ」という形で、父との約束は双方が納得したものではなく、いつも一方的な交換条件なんです。こういうのって、やですね。
言ってしまうと、自分の意思というよりは、少し強引な形で、大学受験を始めることにはなりました。
ただ実を言うと、私の中に、少し、ほんの少しだけ、勉強をしてみたい気持ちもあったんです。
それはもしかしたら、欲求に近い気持ちだったかもしれません。
それまでの人生では、何かを意欲的に継続したことがなく、「飽きっぽい」「集中力がない」「何をやっても長続きしない」と言われてきました。
中学3年生の時には、「今更どうやって勉強したら良いのかわからない」「私なんかが何をしたってうまくいかない」と、誰に助けを求める事もなく、勝手にスネて、自分の世界に引きこもっていました。
だけど本当は、あきらめずに頑張ってみたかった。
私でも、もしかしたらできるかもしれないって、人生で一度くらい、自分に期待をしてみたかったんです。
当時受けていた予備校のカリスマ講師の先生たちの熱い言葉でやる気が出てしまったというのもあるかもしれませんが、とにかく、そんな理由から、人生で初めて、勉強をする事にしました。
2、私が勉強を続けられた理由
そんなきっかけがあって始めた大学受験の勉強は、わからない事だらけでした。
英単語のクラスを受ければ、毎授業後にある確認テストや再テストに全然合格せず、一人だけ居残りをしたり、高2で模試を受ければ偏差値は40くらい。
でも、続けていると、成績は上がりました。一気には上がりませんでしたけど、徐々に、わずかに、以前と比べてみると成長しているのがうっすらわかる程度でしたが、地道にコツコツ、私の成績は上がりました。
それが、うれしかったんです。
目標には全然足りていないけれど、わかるものが増えている。私でも継続して何かをする事ができている。
その事実が、私を幸せな気持ちにしました。
何かを続ける事に、人生で初めて成功した私は、さらに、「もしかしたら、このしょうもない私でも、できる(大学に合格しちゃう)かもしれない」と胸がとってもドキドキしたんです。
そうです。勉強を継続するに少し成功した私は、大いに自分へ期待するようになっていました。
つまり、ちょっとずつですが、自分を信じてみようと思えるようになっていたんです。
それまで、「どうせダメだろう」「何をやったってうまくいかない」と自分を見限ってばかりいて、自分を信じた事がなかった私にとって、「自分を信じてみよう」と思えた事自体が、初めてのことで、そしてこれって、とってもうれしい事だったんです。
もちろん勉強自体も楽しく感じていました。
ちょっとずつ何をしているのかわかる。何を解答したらいいかわかる。問題は解けなかったけど、解説を聞いたら理解できる。自分が何をしたら目標レベルの問題が解けそうかがうっすらわかる。
勉強をしていると、わかること、知っていることが増えました。そしてこれまで知っていたことが、「こことあそこがこんな風に関係をしているの?!」と、それまで見えなかった透明の糸がまるで光に反射してその存在を表すように、物事の関係(仕組み)が見えるようになって来るんです。
世界って、こんな風につながってたんだ!!!
世界ってすごい!!!人間っておもしろい!!!
そんな風に大興奮しながら、受験勉強をつい続けてしまいましたし、その後、勉強することの面白さにすっかり魅了されたのか、ついにはうっかり教員になってしまいました。笑
3、今の私が思う、勉強の目的とは?
大人になってから気が付いたのですが、「知らないこと(未知のこと)を、どう学ぶか」を知っているかどうかって、その人の人生に大きく影響するらしいんです。
学校の勉強が社会の中で活かせることは、そんなに多くありません。
会社員として働くようになると、会社に入ってから社会人マナーを勉強して、取引先へのメールの打ち方(文面)や言葉遣い、仕事(プロジェクト)の予算の立て方や進め方を、一から学ぶことになります。
もちろんそれ以外にも、ご近所との心地いい距離感で暮らす方法だったり、税金の納め方、自分にとって苦しい環境から抜け出して人生を大いに楽しむ方法、会社員意外で生きて行くためのサバイバル術など、学生時代には想像もしていなかったようなことを、大人はその都度、身に付けます。
例えば、その時に、テレビや雑誌で言われていることをうのみにするのか、本やブログなど、個人の意見も取り入れながら、自分に合ったやり方を考えて行動するのかでも、その人の生き方は大きく違ってきます。
世の中で「方法がない(どうしようもない)」と言われるような事であっても、実は調べ方や学ぶ方法によっては、「どうにかする方法」が見つかったりするんです。
そして、「これが常識だと言われているけれど、違う方法はないかな?」と検索するチカラは、誰かにとっての正解ではなく、自分にとってピッタリな人生の作戦を考えるために、とにかく大切な能力です。
あなたは。未知のことを、どう学びますか?
素直に教えられたことだけを吸収して、それを絶対的な真実だと信じて成長している大人は、少なくありません。
“違う世界の真実”を見つけに行くチカラがない人は、今いる場所が自分にとって息苦しく、居心地が悪かったとしても、他の世界へ行くという考えすら浮かばない事が多いです。
何とか方法を考えたり、自分にとって必要な情報を探すチカラを身につけましょう。
自分がどんな世界で暮らすかは、この部分が大きく関わります。
広い世界で暮らすのか、狭い世界で暮らすのかは、自分次第です。
勉強を通して、あなたは「学び方」を身に付けています。
教科の内容を覚えるかどうかは、オマケ程度の意味しかありません。
できるだけ多くの学習方法を身に付けてください。
そしてその学び方を、大人になった時に、いろいろな場面で活用してください。
あなたの世界が、あなたにとって住み心地のいい場所になりますように。