「新生児は15時間寝る」は嘘じゃないけど本当じゃない話【子育てエッセイ】
私は先月から親友の生まれたての赤ちゃんのお世話のサポートを週に1~2回している。
育児書やネットを見ていると、「新生児は1日15時間以上寝る」なんてことがよく書いてある。
でも、実際に自分の子どもたちをお世話していたときも、今親友の赤ちゃんをお世話していても思うんだけど、そんなに寝ないことがほとんどだ。
もちろん、15時間寝る赤ちゃんもいるんだろうけど、みんながそういうわけじゃない。赤ちゃんって、もうその時点でひとりひとり全然違う存在だから。
育児書やミルクの量の目安の「呪縛」
睡眠に限らず、ミルクの量も同じ。粉ミルクの缶のフタあたりに、
だいたいのミルクの量
赤ちゃんの体重
1日何回ミルクを飲むか
などの目安が必ず書いてある。でも、これも実際にはその通りにいくことなんて少ない。
たとえば、120ml飲む月齢の赤ちゃんでも、今日のこのタイミングでは60mlしか飲まないなんてザラにある。逆に「えっ、こんなに飲んじゃって吐かない?」ってくらい欲しがる時もある。
でも、目安が書いてあるから、それに合わないと「どうしてうちの子はこれ通りにならないんだろう」と不安になってしまう。特に初めての育児だとなおさら。検索魔になってしまったり。
目安が必要なのはわかるけど…
もちろん、目安を提示する理由も理解できる。何の基準もなかったら、何をどうしたらいいのかわからなくなるし、特に初めての育児では混乱することが多い。だからこそ、「これが普通ですよ」というモデルケースを示しているんだよね。
でも、目安が「全員に当てはまるもの」ではないっていうことが、もっと広まればいいと思う。目安はあくまで目安。赤ちゃんによって、全然違うのが当たり前。
なぜなら、赤ちゃんは機械じゃないから。
赤ちゃんって、人間なんだよね。
当たり前のことだけど、人間なの。
大人だって、「毎日同じ量を食べる」「同じ時間に寝る」なんて無理なのに、赤ちゃんにそれを求めるのはちょっと難しい。
ミルクを飲むことに気分が乗らない日があれば、寝たくない日もある。体調によって食べたり飲んだりする量が違う日もある。
生まれたばかりの新生児の頃から、すでに「よく寝るタイプ」と「寝るのが苦手なタイプ」がいる。大人でもショートスリーパーとロングスリーパーがいるように、赤ちゃんにもそういう違いがある。
赤ちゃんって、ただ小さくて「未完成」な存在じゃなくて、その時点でもう一人ひとりが個性を持っているから。
「みんな違う」がもっと広がってほしい
みんな違うことを最初から知っていたら、初めての育児はもう少し気持ちが楽だったかもしれないと親友の赤ちゃんを抱っこしながら思う。
新生児の頃って、赤ちゃんが「こうしてほしい」と自己主張することは難しい。泣くことでしか意思を伝えられないから、親としては「なんで泣いてるんだろう」と手探りで動くことになる。
だからこそ、育児書や目安に書いてある「これが普通」という基準にどうしても頼ってしまう。でも実際には、「普通」なんてものはなくて、目の前の赤ちゃんの現状がすべてだ。
第一子ちゃんは生後1ヵ月過ぎたばかりのうちに1度に母乳とミルクで180mlを飲んでしまうほど大食いだった。でも第二子くんは生後4ヶ月でも80mlのミルクを飲むのに苦労していた。二人は同じ両親から生まれたのにも関わらず、全然違った。
赤ちゃんの頃から彼らは個性豊かなのだ。
そんな認識がもっと共有されていたら、最初の育児ももう少し楽に感じられるんじゃないかな。
新生児の頃から、赤ちゃんは「その子らしさ」を持っている。それに合わせて育児をしていければ、それで十分なんじゃないかなと思う。
育児書や目安に追われるのではなく、目の前の自分の子どもに向き合っていくことが一番大事なんだと思う。
疲れちゃったらさ、ぜひ私を呼んで。電車で片道1時間くらいなら、本当にどこでも助けにいきたい。お手伝いしにいきたい。
私なんて完璧からほど遠い人間だけど、そういう気持ちで今も親友の赤ちゃんのお世話のサポートをさせてもらっている。
赤ちゃんも親も、完璧じゃなくていい。ちょっとずつ慣れていって、なんとかなっていく。私もいるよ。
明日もいい1日になりますように。