夏休みの宿題 ベン・ハー
高校1年の夏休みの宿題に、洋書で「ベン・ハー」一冊、和訳せよ!
というものがありました。
学校から、文庫サイズの「ベン・ハー」の本を貰いました。
まずは英文で読もうと思っていた時、剣道の『玉竜旗』の大会があり、一時間以上かけて、試合場に応援に行く事になり、電車の中で、座る事ができたので、読む事にしました。
同じ剣道部の同級生2人もそれぞれ、夏休みの宿題を持って来ていました。
電車で、30分程経った時、着いた駅から外国人の男性が乗ってきました。
40代くらいでしょうか、背が高く、茶色い髪をしたスタイルの良い人です。
で、私が読んでいた「ベン・ハー」の本を見つけるなり、喜んで目の前に立ち、話しかけてきました。それも、英語でです。
よっぽど、「ベン・ハー」が好きだったのか、英字の本を、読んでいるので英語がわかる人と思ったのか一方的に英語で話しまくり、私は半分ひきつりながらも相槌を打っていました。
何を喋っているのかよく分からなかったのですが、どうも、
「私は、ユダヤ人です。
ベン・ハーのストーリーを知っていますか?
ローマ時代のイスラエルの話です。私はイスラエルから来ました。ベン・ハーと同じです。
映画も見ましたか?良い映画です。」
てな具合だった様です。
30分程の電車の中、そのユダヤ人はずっと喋っていて、私はただひたすら相槌を打って聞いていました。
長い30分でした。
助け舟も出してくれず、友達2人は「クスクス」と私を見るだけでした。
よっぽど話し相手が欲しかったのでしょう、電車を降りる時、握手を求めてきて、ニッコリ笑顔で別れました。
まぁ大変でしたが、なんとなく良いことをした様な気にもなりました。
そんな事もあり、洋書一冊丸々和訳の宿題は
因縁付きになりました。
夏休みいっぱいかけて、和訳しました。
それにしても、変な宿題があったものです。
その後、テレビで「ベン・ハー」を観る機会がありました。
古い映画で、「チャールトン・ヘストン」主演の大スペクタル映画です。途中休憩まである長いもので、アカデミー賞で11ものオスカーを受賞した様な映画です。
裕福な家庭から奴隷にまで落ち、そこから裏切った者への復讐の為、運も味方に這い上り、最後には復讐を成し遂げる物語です。
一番の見せ場は、戦車競走です。
敵は戦車に007ばりの細工までして、どうにかベン・ハーを阻止しようとします。
結局、ベン・ハーに、脆くもやられてしまうのですが、この戦車シーン、まだCGが無く、クロマキーくらいしかない時代です。迫力がすごくあります。
「スターウォーズ」のポットシーンもここからインスパイアされたとか、、、
あのユダヤ人の男性がニコニコ話しかけて来たのもわかる気がしました。