未来予想_happy ever after
私たちは、何度もすれ違ってきた。でもそれは摩擦ではなくて、時の運の巡りだった気がする。お互いに記憶をたどりながら、心ではいつも未来予想がすっと浮かんできて、過去のことも今のように蘇ってくる。
彼女が纏う純白のドレス。僕は前世から君を知っていたんだ。こんなふうに二人でこの日を迎えられること、なぜか確信していたんだ。でも今は、なぜか怖い。君がこのまま光の中に消えてしまいそうで、怖い。この恐怖にも前世の裏付けがあるような気がする。だから怖い。
「僕たち、ずっと一緒だよね。」
「どうしたの?」
「いや、あのさ。僕が小さい頃プロポーズしたの、覚えてる?覚えてるわけないよな。だって、僕は5歳だったし、君なんて3歳だったもんね。笑」
「覚えてるよ、ちゃんとね。碧の方こそ、。」
「そうだったの?再会した時、なんにも覚えていないように見えたよ。今になって、5歳の時の話するのもなんだけど。」
「ううん。大切な思い出。あの時は、恥ずかしくて、どう接したらいいかわからなくて。」
彼女がそう言った時、何か寂しそうにしているように見えた。この表情も、プロポーズを覚えていたっていうことも、僕は知らなかった。すごく綺麗で、どこか儚げで。
「ねえ、僕たちずっと一緒だよね。」
「怖いの?」
「え?」
「私が消えて、いなくなりそう?」
「どうしてそれを…。」
彼女は、僕を優しく抱いて、白いヴェールが風に揺れる。思わず、強く彼女を抱きしめる。どこにもいかないように。怖くて。そのまま彼女は言った。
「私、前世から碧を知っていたんだ。こんなふうに二人でこの日を迎えられること、ずっとずっと確信していたの。
でもね、私、前世でこんなふうに素敵なウェディングドレスを着て、こんなふうに小さな頃の思い出をあなたと懐かしむことはできなかった。私はずっと病気だったから。それでも、あなたはずっとそばにいてくれたの。
こんなことを思い出したのは、このウエディングドレスを着た時。私は、こんな純白のシーツで永遠に眠ろうとしたのよね。だから、この人生は神様からの贈り物だって思う。」
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