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『太陽の搭』を読んで
森見登美彦は森見登美彦でしか摂取できない
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『夜は短し歩けよ乙女』を読んだ時から
この作家の特異性には脱帽していたが
デビュー作には今まで手を付けていなかった
まぁ悪いが『舐めていた』んである
タイトルも微妙にパッとしないし
ゆうてもデビュー作やから
『夜は短し~』や『有頂天家族』ほど面白くはなさそうだと高をくくっていたのだ
しかしようやく読んでみて驚き、かつ納得
最初からこの文体は完成してたんやな
『処女作にはその作家が語る生涯のテーマの萌芽が全て詰まっている』という言葉がある
改めてシャッポを脱いだ
(ここまでで帽子を2個も失ってる俺)
試しに百人ぐらいの日本人作家の文章を匿名で1ページずつ持ってきてほしい
どれが森見登美彦か秒で当てられると思う
(俺が凄いとかでなく普通に当たると思う)
それほどオンリーワンなのだ
村上春樹や町田康なんかもそうだが
唯一無二の文体を持つ作家は圧倒的に強い
読者はその作家のお話を求める以前に
彼らの文章そのものを求めるようになる
本のあらすじをWikipediaで流し読んでも
森見登美彦を読んだ事には一切ならない
段落ごと一行ごと単語ごとの
文章の流れや言い回しやワードセンス
そういった細部が読みたいから
森見登美彦を読むのであって
有象無象の百鬼夜行の登場人物たちの
ハチャメチャのわちゃわちゃの果てに
ストーリーの伏線が回収されようが
収拾がつかなくなろうが
圧倒的な面白さに何ら影響は無いので
別に構わないのである
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森見登美彦の作品からは
『うる星やつら』や
『マカロニほうれん荘』の匂いがする
実際、作家本人も影響を受けた作品として
『うる星やつら』を挙げているようだ
カラフルでアニメ的で
読めばハッピーでポップな気分になれる
非常に稀有で実力の高い作家だなぁと思う
ほいで彼の作品は京都と切っても切れない
今作の学生たちは京大生だし
その他の作品も京都を舞台にしたものが多い
森見登美彦
万城目学
上田誠
綿矢りさ
このあたりの京都組の作家たちは
なんしか要チェックなのである
京大てのは昔から面白い人の製造工場だ
成天の宮島さんも京大卒やしね
あ、ちなみに
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下鴨幽水荘のモデルになった京大吉田寮
大学側とバトってたが裁判勝ったみたいで
おめでとうございます
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吉田キャンパス
時計台
タテカン
ずっと昔から
百万遍を通りかかっただけで感じる
タテカンまみれの
一年中、文化祭やってるみたいな
京大の自由な空気が俺は昔から好きで
むちゃくちゃカシコやのに
むちゃくちゃアホな京大に
ずっと憧れてたし、地元の誇りやった
景観に配慮とか
清潔さとかコンプライアンスとか
最近はつまらん台詞ばっかりで寂しい